二物二価や6.1号機、新たな可能性が生まれた11月とコロナ禍で揺れた今年を振り返る
11月と今年を振り返って
「思ったよりも凱旋の撤去遵守率が高い」これが最新の業界の一般的な現場感だ。大阪のように撤去期限が来年の1月に集中している幸運な地域もあるが、全国的に多かった撤去期限は11月だった。
11月はかなり特殊な月だった。
もともと11月は毎年、年間を通じてぱちんこ店にとっては最も営業成績が悪い月である。しかし、11月の前半はコロナ禍での営業的には回復基調が目立った。前年同月比で85%くらいの売上に回復していたのだからいつもの11月とは違うイメージであった。
やはり新台の人気機種が出てくると市場は回復する。
ぱちんこなら今はやはりとある。
パチスロなら吉宗。
ともに市場評価が高いことから再販も(台数に限りはあるようだが)決まっている。
当たり前だが「遊技客は楽しんでナンボ」であって、吉宗もとあるも今の中では出玉性能的にも客の支持は強い、ということなのだろう。相変わらず源さん韋駄天は中古相場がものすごいが、こちらは増産再販分の設置も増えており、店によって集客状況に差が出てくる状況にはなった。
年末年始は遊技機メーカーにとっては入替需要が高まるという見込みを今年の前半から持っていたので新機種リリースも増える。この見込みから少なくとも11月前半はぱちんこ業界的には明るい兆しを感じることができるようになっていた。
しかし後半は一変。新型コロナウィルス感染拡大の勢いが急増したため、全国的に集客状況悪化が目立つようになっていった。もともと春や夏に第一波、第二波を経験していた地域とそうではない地域とで影響度合いも異なるようで、経験済み地域の方が集客状況の落ち込みが少ないという話も聞こえるが、こういう状況が悪い方向になるのはぱちんこ営業が店舗型客商売である以上、自明である。
業界的に最も注目されていた大阪のレート変更と二物二価系の営業。レートはいわゆる特殊景品と呼ばれる換金可能な賞品の市場価格の再調査で最高で10.2割分岐まで可能になった。
貸料金が4円、20円で言えば、1万円になる個枚数は2550個、510枚ということになり、かなり等価交換に近くなる。それ以前は最大レートで11.2割分岐だったため、大阪はレート変更が始まりつつある。
二物二価系は少し専門的な話だが、たとえばぱちんことパチスロ、あるいは通常貸と低貸とでレートを異なる分岐割数にできるというもの。
これらを11月から始動というのが大阪の注目されていた点だが、今のところいずれもあまり目立った変化はない。10.2割分岐営業も増えてはいるが、府下全域に浸透しているわけではなく、二物二価系営業も同じ。これらはもう少し推移を見ていかないとわからないということである。
パチスロの型式試験の試験方法が10月15日から一部変更となって、保通協での型式試験のハードルの一つがなくなったことは良い影響となる。しかし現在、型式試験の処理期間がとても長くなっており、一か月程度では結果が出ない。このため、この良い影響を受けたパチスロ新機種が世に出てくるのは、はやくても年末あるいは来年の1,2月ということになる公算が高い。適合率を勘案すれば下手したら来年のゴールデンウィーク商戦に、ということもあり得る。
試験方法の変更はそれなりに影響してくるが、「6.1号機」ということを謳って新機種案内をするメーカーが増えてきた(サミーや大都など)。業界視点でいえば、6.1号機の注目点は低ベース値化ということになり、現在のところ35G/千円くらいのゲーム数が各メーカーの目標値になりがちである。高ベース値の6号機は50G/千円くらいあるわけだから、これはかなり違う。玉持ちが悪くなるということは遊技客にとってはゲーム数あたりの消費金額が高くなるということだからホール側の売上増ということにつながる。
ただし遊技客にとっても悪い話ばかりではなく、ほとんどAT抽せん的に無駄なゲーム区間を減らせるとか常にそれなりの確率の初(直)当たりが期待できるということにもつながるので私はずっと低ベース値化はとても重視してきた。
今のところはAT中の純増枚数を下げることによって低ベース値化を実現している新機種ばかりが目立っているが、この点は各パチスロメーカーたちによれば、今後は状況は変わってくることになりそうだ。今は、各メーカー、申請リスク(シミュレーション適合率が低くとも試射試験運を狙ってギリギリの設計で申請する)を敢えてとりながら開発企画をするところが多い。
ぱちんこの方は、遊タイム機であるとあるのヒットで、各メーカーがb時短(遊タイム)の可能性を評価するようになっていった。またc時短(図柄時短)やリミッタ緩和の性能に旧1種系や旧2種系及びそれらの混合機の組合せ、メイン設計(大当たり確率とか)、あるいは旧3種系の組合せなどで、開発企画の多様性がより狙えるようになっている。前半のヒット機である源さん韋駄天はb時短非搭載であるから、それらを使わないものもあり得るわけで、この点、今後のぱちんこメーカー動向としては、新機種の出玉性能がメーカーごとに色濃く違いを打ち出してくるようになる。
春の第一波では休業要請が各地で頻発したしぱちんこバッシングも急激に台頭したが、今の第三波ではそれらはほとんど目立たない。やはりぱちんこ店でのクラスター化の事実が今まで確認されていないことが一番大きいのだろう。ある地域で先月末「遊技施設」でクラスター発生の報告を自治体がしているが、聞いたところではこれはぱちんこ店ではなかった。全国の青年部会(若手ぱちんこ営業者オーナーらの有志の集まり)による店内感染リスクの低さの実証実験動画も寄与しているかもしれない。有名お笑い芸人が自身のtwitterで動画を引用RTしたこともあって、その認知も拡がっただろう。たしかRTした粗品さんと井上さんだけで足してフォロワーが150万人レベルである。11月14日には全国のぱちんこ店の最大組織である全日遊連が読売新聞に一ページの広告を出したが、コロナ対策が万全であることをアピールする内容となっている。
遊技はその名のとおり「技を駆使して遊ぶ」もの。技の有無は客の自由だが、パチプロでもない限り「遊び」であることは間違いない。となれば、遊ぶかどうかは客が自由に決めるべきもの。遊びを誰かに強制されることなんてあり得ないわけだから、客が行きたいと思えば打ちに行けばいいし行きたくないと思えば行かない。だから、年末年始もそれ以外も、打ちたければ打つという人によって、この市場は支えられている。
今年は残念ながら、日本中が大きく変化した年になった。予定されていた五輪は来年に延期となったし、まさかの経過措置延長の規則改正もあった。イレギュラーなことばかりが目立っていたが、これはコロナ禍が来年にも持ちこされること必定の今、来年も同様の心構えが必要である。第一波、第二波そして第三波の今を経験している以上、少なくとも精神的には変化への耐性を持っている消費者も業界関係者も増えており、あとはコロナ禍が沈静化するのを待ちながら、ぱちんこパチスロともに出玉性能の規制緩和を来年の早い段階で勝ち取る、というのが業界の目標となる。
凱旋非撤去の店が組合員資格停止になったりしたが、これは規定路線。思ったよりも撤去遵守率が高く、今のところ通報システム運用も現地確認まで含めて機能している。非撤去店のうち規模がそれなりのところは2社あるが、もとから非遵守が予想されていたグループだ。今後、海や沖ドキなどもあって、最終的には北斗無双も来年12月にはなくなっているはず。ならば今の規則下での遊技機の市場評価が高くならないとやっていけないのであり、ホール団体の助力を得ながら今のところメーカー団体はギリギリの水面下での取組みを実施し、いろんな作戦を講じている。
ぱちんこ店の店舗数が激減したのも今年の特徴だ。もはや全国に1万店舗を切っているのだからこれが最終的にどこまで下がるかも来年の注目点となる。あと1年以内に廃業せざるを得ないところが撤去非遵守となるのではないかという予想もあったが、遵守率の高さから来年の店舗数減少スピードが弱まることも、淡いながら期待できるかもしれない。
まあ、ぱちんこ業界っていうところは、外から見ると魑魅魍魎のように見えるかもしれないが、案外中では関係者が努力している世界である。そして同時にヒット機が出るだけで状況が好転する。
だったら来年はたくさんヒット機が出てくるように業界の偉い人たちは努力して動けばいい。激動の1年間だったが、結論ははじめから一つだったことを再認識もした。
はやい時期に私もコロナの話を原稿に入れずに書ける日が来ることを願っている。
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