おだち氏ではない!?ぱちんこ業界が総力を挙げて参院選に木村義雄氏を推す理由
木村義雄氏応援表明のこと
今週15日、ヒルトン東京お台場で日本遊技産業政治連盟が業界紙向けの記者会見を開催した。これは業界紙のHP等でご存じの方も多いと思う。
この連盟は基本的には業界団体の中心である21世紀会の13団体がメインとなって、さまざまな政治関連の活動などを担うために3年前に設立されたものだ。先週16日付で全日遊連の阿部理事長が連盟の会長になっている。
記者会見の内容ははっきりしており、ぱちんこ業界として木村義雄氏を応援することを正式に表明したというものである。木村義雄氏は今年の1月31日に、今年の参議院議員選挙の全国比例代表の候補予定者として自民党から公認を受けている。3年前とは人は変わったが、ぱちんこ業界が今年木村義雄氏を応援していくということだ。
会見には業界の重鎮たちが勢ぞろいした。私も業界紙の人間として会見取材に行ってきた。会見に臨んだのはメインの木村義雄氏はもちろん、全日遊連阿部理事長、日遊協西村会長、日工組榎本理事長、日電協兼次理事長、全商協中村会長、回胴遊商大饗理事長、MIRAI東野代表理事、余暇進千原副会長となった。業界の中心であるホール4団体、メーカー2団体、販社2団体からトップが勢ぞろいしたわけだ。
3年前の参議院議員選挙にて業界は初めて職域候補を応援するというチャレンジをした。しかしそのときはこのような会見を主要団体トップらが集まってやったわけではない。当時は業界の主要団体の間でも職域候補応援についてその熱量の温度差がかなり大きく、積極的に応援する団体もあればそれを避けようとする団体もあった。一応3年前も21世紀会全体で、という話の流れではあったが、こういう会見がなかったことはその当時の状況としてはすべての団体が積極的に応援するということをしていなかったことも意味する。
今回はそれとはまったく異なる。会見に集まった8団体は21世紀会の中でも中心団体であり、会員や組合員数もとても多い団体が多い。また、業界の諸課題において警察庁の担当官等と協議する回数も桁違いに多い団体たちである。要は、今回は「ぱちんこ業界の主要団体が漏れなく木村義雄氏を応援することでまとまった」ということである。
そもそも昨年8月の時点で風営法議連や自民党幹部らからの木村氏支援の打診を受けており、その時点で今年木村氏を業界挙げて応援することが確定していた。だが、木村氏の公認が(幹事長が二階氏→甘利氏→茂木氏と交代を繰り返した影響もあってか)当初見込みよりも遅れており、木村氏応援のぱちんこ業界としての表明がこの時期に至ったということである。
ところで、現在、ぱちんこ業界においては全国各地に職域支部というものが設立されている。これはこの1年と数ヵ月の間に急速に進んでいった動きだ。職域支部とは自民党を支持するさまざまな業界が設立していく自民党組織のようなものであり、支部に入った人が自民党員になるというのが流れである。現在、ぱちんこ業界の職域支部は16設立されており、自民党員の数は4,500人ほどいるとのこと。これは自民党においては党員数で15位の業界に位置することになっており、この1年数ヵ月の間にぱちんこ業界は自民党の中で重要な業界に躍り出たということも意味している。党員急増は近年あまり見られない現象らしく、実は自民党の中でのぱちんこ業界の注目度はものすごく高くなっているそうだ。
ぱちんこ業界が課題として抱えているものは、その多くが風営法関連法令内容による規制関係、あるいは他の法令(依存だったりいろいろ)だったりと、法令関係の話が多い。これはどんな業界にも共通していることだとは思うが、それらの運用を担当省庁等が担っている。その運用や解釈において改善を求める、場合によっては政令改正や法改正を求める、というのがこれまたどんな業界においても一般的だ。
そういったおそらくは大きな業界においては普通のあり様を得るため、ぱちんこ業界側が今も動いているということになる。たとえば遊技機の性能規制一つとっても、風営法議連が警察官僚と協議を重ねることで今の遊技機規則の内容が当初改正案よりも改善されたことは知っている人も多いだろう。また、当時の当初改正案では現在の賞品提供限度額を引き下げる案だったが、これも現状維持の9,600円+消費税になっているしこれまたそういう政治との協議、関係性で得られたものだった。
一昨年の経過措置延長の規則附則改正においても、また一昨年のセーフティネットなど公的融資の対象においても、風営法議連と関係省庁との協議の奏功というのが実態である。風営法議連とは「自民党の有志国会議員」の議員連盟であるからその政治力は自民党議員らの政治力であり、ぱちんこ業界はこの5年間ほど自民党の政治力にかなり助けられてきたということが言える。
そういう政治家を応援しよう、自民党一本で応援しよう、というのが5年前からのぱちんこ業界の主要団体のデフォになった。それだけ当時警察官僚が示した規則の当初改正案がものすごく厳しく理不尽なものだったというのが理由だ。それらすべてを改善できているわけではないが、業界と自民党及び風営法議連との距離が近付いた時点で自民党側からの要請があれば応援する、という関係が構築されていったわけだ。
先ほども触れたとおり、この1年数ヵ月の間のぱちんこ業界の職域支部の設立の勢いは自民党内で大注目されている。さらにこれからもまだいくつか職域支部設立の見込みもある。そういった中、自民党としてぱちんこ業界職域による木村氏への応援を要請し、業界側が主要団体すべてがそれに応じ、15日の会見になったということである。
木村氏は前回の参議院議員選挙に引き続き、自民党の参議院全国比例の定年制の特例除外候補の一人だ。そもそも衆議院議員を7期、参議院議員を1期という大ベテラン。厚労畑一本で30年ほど国会議員を経験してきている。今、ぱちんこ業界は厚労省関係の課題も多いことから木村氏の応援は直接そういう方面への助力も期待できるものだ。
だが、私は単純に「自民党内で急遽大注目のぱちんこ業界が、自民党の要請に基づいて木村氏を支援して国政議席に返り咲きさせるほどの力を持つのであれば、さらにぱちんこ業界の自民党に対する影響力が増す」ということを最重要視している。個々の議員や議員を目指す人たちの力量というのはもちろん重要だが、政治力が発揮されるのは政府・与党にあるからだ、とも考えている。変な話、昨年の総選挙で自民党が下野していれば必要な政治力を自民党が維持していることもないわけである。
そういう意味では、3年前も自民党から要請された応援を私も微力ながら全力でお手伝いした自負がある。今年もそれは同じだ。特に3年前とは違い、今回は業界の主要団体すべてが勢ぞろいして積極的に応援することになったしそれを表明した。ここからは急激に業界内に木村氏支援の輪が拡がっていくことになるだろう。
まずはそういう会見があったことをせっかくなのでここでもご紹介した。必要に応じて来月以降もこの件の具体的な話に進展があればまた触れるし、業界動向にも大きな動きがあれば触れることにする。
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