POKKA吉田が解説!日本やアメリカの選挙が与えるぱちんこ業界への影響とは?
日米 大きな選挙の1ヵ月
ぱちんこ業界への影響という視点で日米の選挙について触れてみよう。
まずは日本。衆議院議員総選挙だ。石破内閣が発足して8日後の10月9日に衆議院が解散した。これは新首相による戦後最短となる解散であり、自民党総裁選時の石破茂氏の論調(解散を急がずまずは議論を尽くす)とはかけ離れており、既に解散の意思を表明していた首相就任前から野党各党からそのウソを批判されていた。また、選挙戦終盤にはしんぶん赤旗の「裏金非公認候補に2,000万円」というスクープもあって自民党にも公明党にも大逆風となる。結果、10月27日の投開票で自公は衆議院の過半数割れという事態に。自民党は56議席減、公明党は8議席減という大惨敗となった。なお、自公が衆議院で過半数割れとなるのは民主党を中心にした連立政権が誕生した2009年の総選挙以来となる。
2009年の総選挙では改選前の野党第一党であった民主党が308議席と単独過半数を獲得。自公政権復活となった2012年の総選挙でも自民党が294議席と単独過半数を獲得した。しかし今回の総選挙で改選前の野党第一党である立憲民主党は148議席である。改選前から50議席増という躍進を見せたが実際には過半数に届かないことはもちろん自民党の191議席にも43議席も及ばない第二党である。また、立憲+維新+国民民主の議席を足しても自公の215議席に届かない。共産、れいわ、社民、参政、保守など、立憲や維新、国民民主と必ずしも政策が一致しない野党すべてを足せば過半数に届くのだが、国民民主が先に首班指名で野田佳彦と投票しないことを表明。維新もそれに続いたため、石破茂氏は衆議院が過半数割れの状態で再び首相となった。
ぱちんこ業界的に言うと、遊技産業議連関係で有力者が落選(武田良太氏など)ということもあったが、全体的に議連所属議員の当選率が総選挙全体の結果からみるとかなり高くなっており、実は自民党との関係性は総選挙前よりもむしろ強固となってきている。自公政権が少数与党でも維持されたことで、内閣不信任案が可決されでもしない限りはしばらく従来と変わらず議連の力も活用して規制緩和を目指すという流れは維持されることとなった。議連の重要な議員もたとえば田中和徳議連会長や坂井学国家公安委員長は選挙区で勝っている。自民党としてぱちんこ業界の力を再評価することになったことは想像に難くない。
なお、政治的な話をすると、衆議院が過半数割れの状態の石破政権は最低でも国民民主か維新の賛成が得られなければすべての法案が成立しなくなっている。自公は無所属6人の自民会派入りを合わせても221人であり、過半数まで12人足りないわけだ。また、何かの拍子に政権が下手を打って内閣不信任案が提出されそれが可決すれば石破内閣は総辞職か衆議院解散かを選ばなければならなくなる。現状の各党の議席からは立憲民主党だけが公党単独で内閣不信任案を提出できる議席数を持っているが、今回の特別会のような首班指名と似たような立ち回りを維新や国民民主がするかどうかは不明だ。今回、首班指名の決選投票では、無効票が84票という極めて異例の事態になっている。
ぱちんこ業界的には2020年以降継続している各種規制緩和の内容が「技術上の規格解釈基準改正」「風営法上のホール側のガイドラインの確認」「規則附則改正による経過措置延長」「ぱちんこメーカー団体日工組の内規」「パチスロメーカー団体日電協を中心とした自主規制」などであり、実はそのすべてが国会で法制する必要のないものばかりであった。すなわち現状では石破政権が法制が野党主導になってしまう無力感とは別に業界的には法改正を目指すような動きが現状具体化しているわけでもないので(構想はあるが)、今のところは従来通りの様相である。この辺は自民党内の石破おろしの有無なども含めてしばらく混迷する政局を注視しておきたいところだ。来年7月には参議院議員選挙もあるわけだし。
さて、今度はアメリカの選挙。11月5日にあったアメリカの選挙は大きくは3つだ。1つはもちろん大統領選挙。ご案内のとおりドナルド・トランプが第47第アメリカ合衆国大統領になるための選挙人を獲得した。結果は激戦州とされたところすべての州で勝利しており、日本のマスコミがなぜか優勢を報じ続けてきたカマラ・ハリスは惨敗である。
もう2つは連邦議会選挙だ。アメリカの連邦議会は上院と下院とあり、上院で共和党は過半数を獲得。下院はほぼ確定事項として共和党が過半数を獲得。トランプ次期大統領も共和党である。このため、共和党のシンボルカラーである赤を指して「トリプルレッド(大統領、上院過半数、下院過半数すべて共和党)」となる見込みだ。トランプは第45代大統領時代よりもかなり自由にいろんなことができる環境を得たことになる。
そのトランプの第45代大統領に決まった大統領選は2016年11月のことだった。トランプ勝利の報を受けてすぐに安倍首相(当時)はニューヨークのトランプタワーでトランプと会談した。各国の首脳に先駆けて会談したことで強固な人間関係を築いたと評されるのだが、この会談が実はぱちんこ業界にもかなり影響した。
トランプに2016年の選挙戦で最大の寄付をしたのはシェルドン・アデルソンという人物だ。彼はラスベガス・サンズの会長兼CEOであり、アデルソンは日本カジノ市場参入を表明していた。当然トランプはアデルソンのために安倍氏にカジノ法制を急ぐように釘を刺しているのである。
これを受けて2016年12月にはIR推進法が成立した。臨時国会をこのために会期延長したとさえ言われるくらいの強引な国会運営だったが、プログラム法である推進法の成立は政府に2つのことを強いる形となった。1つはIR実施法。当時、安倍政権はカジノ法制賛成だから(あまり吹聴してなかったが)これは政権にとって喜ばしいこと。もう1つは「政府の重要政策としてギャンブル依存症対策が盛り込まれた」という点だ。
結果、推進法が成立した翌年の2017年6月に警察庁は規則改正案を業界6団体に配布。その後の6号機の苦戦は2022年7月に6.5号機がヒットし同年11月にスマスロが登場するまで続くことになっているわけだ。
トランプとしてはスポンサーのためのリップサービスくらいのものだったかもしれないが、これくらいの影響が実はぱちんこ業界にあったわけである。
今回の選挙戦で目立つトランプの支援者はやはりイーロン・マスクだろう。直接ぱちんこ業界に影響があるような事業をイーロン・マスクがやっているとも思えないが、今回は前回と違ってトリプルレッドである。民主党系のロバート・ケネディJr.を厚生長官にするというニュースも飛び込んできた。同氏は反ワクチン活動でも有名であるが、医薬品許認可FDAや感染症対策のCDCを反ワクチン活動家が統括することになる。要するに今後日本にどのような影響が出てくるかさっぱりわからないということになるだろう。
今年はMLB開幕戦で水原一平騒動が全米と日本を騒がせた。しかしロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズで優勝した頃にその話はほぼ話題になっていない。ギャンブル等依存症対策が政府の重要政策に盛り込まれはした状態が続いているが、政府も日本社会も実はそこまで関心がないことは水原一平騒動でもわかったかと思う。結局依存対策という政府の政策が影響して2017年規則改正(施行は2018年2月)となり、6号機市場がものすごく厳しいスタートとなってしまったということだけが残った印象である。
その6号機も6.5号機でようやく市場の高評価を得てスマスロでさらに評価を得た。ぱちんこの方は規則上はパチスロよりも厳格化されていないのだが、現状、稼働が低下中である。ぱちんこ業界は、トランプもきっかけになってパチスロ6号機市場が大変苦しいスタートとなったので規制緩和を遊技産業議連(旧・風営法議連)を活用して一つ一つ勝ち取り今の市場の活性化を実現した。ぱちんこ遊技機については規制緩和も同じように続いているが、稼働低下がはっきりしていることが今の最大の課題であろう。
日米の選挙の結果は、日本やアメリカの社会に強く影響があるのは当たり前だ。しかもアメリカの行方は世界の行方と言っても過言ではない。ひとりぱちんこ業界のような界隈にもどんな影響があるかわからないし、過去にはものすごく影響した。選挙と政治というのはどの国にとっても大変重要なものということの証左であろう。
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