新内規デビュー前夜【POKKA吉田コラム #1】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

昨年6月の型式試験申請から適用された「ヘソ1個戻し」というのは、日工組がやり得る最大限のものであり、これより先は「0個」しかないのだが、警察庁の承認が得られることも難しいため、ここが現行規則下では最大限の内規であろう。

この新内規、ホール関係者の多くはあまり期待していない。しかし、日工組の金沢理事長も「回せる」というコンセプトを業界紙に強くアピールしていることは事実であるし、何よりも「警察庁が淡い期待を寄せている」ということを知って欲しい。なので、本稿では「日工組新内規(1個戻し)の狙い」を再度触れておきたい。

1個戻し、とだけ聞けば「また玉単価(※編集部注:遊技台へ打ち込まれた玉1玉に対する売上金額を示す値のこと)を上げるのか」と普通は思う。しかし、各種条件が設定されているため、狙いはそうではない。甘デジ系、ライトミドル、そして羽根モノ全般において可能な1個戻しは「スタート回数(※編集部注:遊技台へ100玉打ち込まれた際に図柄が変動する回数を示す値のこと)を確保する」ことが最大の目標だ。

スタート回数を増やすということは、次の大当たりまでの時間を「はやくする」ということになる。甘デジはもともと初当たり確率分母が小さいので、スタート回数さえ稼げれば大当たりの実感を得られる機会が増える。ぱちんこは「大衆娯楽」なのだから「面白い」と思う時間が多い方が良いのは自明だ。しかし、昨今「1時間で300回も回らない」状況では、マックスタイプなどに至っては1時間半に1回ほどしか「面白い瞬間がない」のだ。これでは楽しくないし、楽しくないからユーザーに敬遠される、という循環。それではいけないということでの新内規である。

ヘソ賞球を3個から1個に減らせば、その分だけスタートを回すことができる。そうすれば、現状と同じ収益を得ながらも、より多くの「面白い瞬間」を用意できるぱちんこが誕生する、という理屈である。

ただし、ユーザーはさすがに現状について「疑念」を持っている。それは「賞球1個でもスタート回数は変わらないのではないか」というものだ。

スタート7.0回(※編集部注:千円で22回転程度)でも十分収益があがるといわれていた某社のぱちんこ台ですら回っていないホールが普通にある。そんな中で1個戻しが回らなかったら、ユーザーの嫌悪感も逆に増えてしまうという恐れもある。

読者は知らないだろうが、一つ前の規則のときに日工組の最低賞球数が4個になったとき、こういう議論があったのだ。

 

「3種権利物はスルーでベース(※編集部注:通常時の遊技中に打ち込まれた玉100玉に対する遊技台から払い出される玉数の割合を示す値のこと)を殺せた分、スタートを回すことはできた。スルーが禁止になってベースが落とせなくなり、スタートが回せなくなった。だからヘソ賞球を現在の5個から3個にすれば回せるからそうしたい」

 

日工組は前規則下で4個に、現行規則になったのと同時に3個にした。しかしこの流れの中で日工組内のこんな議論があったにもかかわらず、一般的なホール営業下ではスタート回数は激減していったのだ。

 

大切なことは「回せると言う議論もあってヘソ賞球数を減らしていったが、さらに回らなくなっている」ということである。今回の新内規で1個まで可能としたが、ユーザーが疑うのも無理はない。

 

スタート回数を確保するための新内規で、そのことを日工組理事長も自ら強調してきた。ホールはあまり期待をせずにユーザーは疑念を払拭できないでいる。これが現在の新内規機の実態である。

 

私は、ライトミドルの範疇にまで条件を緩くした点を嫌悪しているが、日工組の狙いは悪くないと評価している。

 

とにかく、参加人口は1,000万人を割ったのだ。「新内規機種だけでも回せ」ということを業界内の合言葉にして欲しいと思う。

 

 

 

 

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