小当たりで増やす【POKKA吉田コラム #4】

「超確変」なる言葉がインターネット上に出てから、私のところに連絡が多くて正直参っている。というか、「迷惑な話が流布されとるな」という感想でしかない。

 

私の仕事はフリーランスでぱちんこ業界のことを書く、というのが本業であるから、ぱちんこメーカー組合の日本遊技機工業組合(日工組)の内規などには常に敏感になっている。最近は320という初当たり分母の下限値改定(のめり込み対策)となり、今年の11月以降はぱちんこの新台は最も辛い確率でも「319.9分の1」となることが決まっている。この内規は既に業界紙等も既報であり、多くの人が知るところとなった。

 

なお、日工組は初当たり確率分母320のめり込み対策内規に続く自主規制としてV確規制などを検討しており、3月24日に警察庁生活安全局保安課にV確自主規制案を持ちこんでいる。日工組は保安課のOKが出た自主規制しか正式に機関決定しないため、本稿執筆時点では保安課の回答待ちの状態である。

 

さて、超確変の話。解説するのもアホらしいのだが、エンドユーザーは知らない人も多いだろうから触れておこう。

 

遊技機は保通協による型式試験に適合してはじめて公安委の検定型式となることができる。検定型式についてはホールが新規入替の許可申請(営業許可申請手続きのうち変更するところだけの手続きなのでこれは「変更承認」と呼ばれる)が可能になる。つまり「型式試験に適合しないとホールには導入できない」。

 

この型式試験に適合する型式の性能については、国家公安委員会規則で定められている。これは「政令」と同じで「強制力のある法令の一つ」だ。そしてそこには次の規定がある。

 

遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則

別表第4 ぱちんこ遊技機

(1)性能に関する規格

ト 役物連続作動装置の性能に関する規格は、次のとおりとする。

(ト)作動確率の値が複数定められているぱちんこ遊技機にあつては、その個数は2を超えるものでないこと。この場合において、次の式により得られる作動確率の期待値について、ヘ(リ)に規定する関係が成立するものであること。

 

役物連続作動装置というのは「大当たり」のことで、この確率は二つしか持てない。すなわち「通常確率と確変時確率の二つしか持てず、超確変という状態は存在することが法令で禁止されている」わけだ。

 

しかしこのような性能の機種の企画開発は昨年から平和などを中心に数社で進められているし、日工組は実現に向けて警察庁と折衝を繰り返している。

 

要するにこれは単純に「小当たりで玉を増やす」だけの話なのだ。

 

小当たり+電サポ関係との組み合わせで「超確変」と呼ばれるような状態をアピールしたい、的な理解で良い。これは「本当はARTなのにボーナスと呼ぶ」ことと全く同じである。たしかに「小当たりゾーン」とかではショボイ感じもするけれど。

 

さて、超確変はこういうことなのだが、一つみなさんもご存じないだろうことを言っておこう。それは「ああ、超確変なんて言葉がネットを飛び交ったから警察庁の機嫌がまた悪くならないことを祈るわ」という日工組関係者の嘆き、である。

 

警察庁というのは、役所だから杓子定規なことを言う。たとえば「突確」。先ほど触れた技術上の規格で言うところの別表第4(1)トには次の規定がある。

(リ)作動確率の値のうち低いものから高いものへの変動は、役物連続作動装置の作動が終了したときにのみ生じるものであること。

つまり「確率変動は大当たり終了後にのみ生じる」はずなのだ。よって「突然確変とはなんだ?」という疑義が警察庁から日工組に実際に提示された。もう10年も前のことであるが。

 

突確は2Rなどの大当たりをパカパカ開放にして「出玉ナシ大当たり後に確変」という仕様から始まったので「突然確変がやってくることはない」のだがエヴァの大ヒットもあって「突確」という言葉が広く一般化した。日工組は当時「小当たり確変」などの呼称も検討したが、結局は「突然確変(突確)という表現を採用しない」という申し合わせを行った。今は「突」や「凸」などの表現もあるが、基本的にメーカーは「突然確変」という呼称を使用しなくなっている。

 

これと超確変は同じ懸念がある、ということ。「本当は存在できないはずの3つめの役物連続作動装置確率があるかのように表記しているのはなんだ?」という疑義が、まだ「実現していないこの段階で出てきてしまって警察庁は機嫌を損ねてないか」という話である。確変と言えば「ミニデジタルや小当たりのことを指すとは誰も考えない」から疑義自体が発生しても不思議ではない。

 

この小当たり+電サポでも増やす、という仕様の実現には昨年から平和が一番積極的であったが、商品化は別のメーカーの方がはやい、という話もある。なので「超確変」なる「ARTなのにボーナス」というような呼称をどこが用いたのかはわからないが、せめてこういう言葉は警察庁が仕様全体にOKを出してホールに導入されてから広まった方が要らん心配をしなくて済む、という話である。

 

まあ、個人的には楽しみなスペックなので、はやく数社がこういう仕様を出してくれれば良いとは思っているが、「いや、あれは役物連続作動装置の話じゃなくて小当たりと電サポで、、、」と何度知り合いに言いなおしたりメールをしたりさせられたか。ただ単に「ものすごくたくさんの連絡が入り、手間がかかって迷惑だった」ということと、対警察庁的に要らん心配をしてしまう、という二点で鬱陶しかったということだ。

 

さて、どのメーカーが最初に「小当たりで玉を増やす」スペックをリリースしてくるか。それは楽しみにしておこう。

 

 

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

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