アウトの話【POKKA吉田コラム #8】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

7月13日、レジャー白書を発行する日本生産性本部がレジャー白書2015(2014年の調査数値が掲載されているもの)の概要を発表したが、これが驚くことに「ぱちんこ(パチスロ)参加人口大幅増」となっているのだ。

 

前年比では180万人増の1,150万人であり、なんと「約18.6%増」である。

 

ところで、レジャー白書が「市場規模(貸玉、メダル料金の総和推計値)」を30兆円とか20兆円とか発表するから、この業界は30兆円産業とか20兆円産業とか言われていた。

最近になって20兆円を割り続けたレジャー白書の市場規模推計値だが、総務省や経産省の数値よりもかなり低くなっていることを気にして、実は、今回過去、20年以上もさかのぼって市場規模を変更したのである。

詳しくは8月3日に正式発表されるのだが、計算方法などを見直したという。

なので、現在、24兆5千億円市場になっている。

 

私は、参加人口激減という、レジャー白書2014までの「三年連続過去最低値更新」について「ようやくレジャー白書が現場感に追い付いてきた」と考えてきたのだが、今回、正直言ってレジャー白書の数値を口外することをはばかられるくらいに感じている。

本当に180万人も増えたら業界関係者としてはありがたいのだけど、これって「全国の全てのぱちんこ屋、一店舗につき、二日で一人客が増えている」という計算なのだ。

そんなデータは他に知らないし、そんな現場感を持つホール企業を私は知らないのである。

 

市場規模変更さえなければ「それでも調査として増えているのは事実」と強弁もできようが、総務省や経産省と数値が違うからそこだけかなりさかのぼって修正しました、というところの「18.6%参加人口増」なるデータを、私は信用するに値するのかどうか、とても懐疑的に観ているということである。

 

さて、客が増えたか減ったかは、客側の視点ではぱちんこというものについて、たとえば勝率に影響するようなものではない。

店が重視するのはもちろん集客なのであるが、平たく言えば「稼働が良い」と店は集客に成功していることになる。

 

そしてホール企業における「稼働」とは、遊技機ごとの「平均アウト」である。

これはぱちんこならハンドルから打ち出した玉の総数であり、パチスロなら投入メダルの総数(リプレイについては3枚と数えることも0枚とすることもどちらもある)である。

 

だから「客が増えてもアウトが減れば稼働は落ちた」となるし「客が減ってもアウトが増えれば稼働は上がった」となる。

 

細かいことを言うと「同じ人数が同じ時間遊技したとして、たとえばぱちんこなら平均停止秒数の長い機種ほどアウトは落ちる(ハンドルを止める時間が長くなる)、パチスロなら遊技者のウェイト状態の維持の仕方によってアウトは上下する」ので、「人数×時間」が「稼働」とデータでは単純に評価されないこともある。

 

ホールは基本的には計数管理と呼ばれる営業管理を全ての店舗がやっている。

ホールコンピュータの出力するデータをみながら、遊技機オペレーションを考えるわけだ。

それらのデータ指標の中で最重要レベルのものがアウトである。

売上をアウトで割れば「玉(メダル)単価」になるし、粗利益額をアウトで割れば「玉(メダル)粗利益」となる。

集客には格差があるが、ホール営業で必要な収益額というのがそこまで格差のあるものではないため(立地条件や設備等にもよるが)、アウトが大きい店ほど玉(メダル)粗利益額が少なくても良く、小さい店ほど大きくしないと採算が取れなくなる。

 

このように、アウトがベースになって遊技機オペレーションが発生しているというビジネスフローを考えると、ホールにおいては、稼働が高ければ高いほど余裕ができるので粗利益「率」を低く設定することが可能だ。

この余裕の隙間に入替やイベントなどで赤字の島や台を作るのが、客のいう「出す」であり、粗利益率を高く設定することが客のいう「酷い状態」のことである。

 

そういう意味では「アウトの推移」が、参加人口(これは一年に一回でも遊技した人の推計値)よりも客の視点としてははるかに重要だ。

 

しかしこれは先月掲載してもらった記事でも触れたとおり「低貸においても過去最低稼働の月が出現」するほどに今は悪いのである。

 

ホール企業は日銭商売であるし、しかし大きなチェーンなら予算的な余裕も多く、このため「その日、空き台がないほどに客がものすごく多いから出してるとは言えない」のだが「客の多い店が、やろうと思えば『出す』余裕のある日が多い店」ということは事実である。

そのホールがやる気になるのかならないのかは、ホール企業ごとの問題なので、それは普段どういう営業をしているか、というのを客がチェックする必要はあるだろう。

 

昔から正月、ゴールデンウィーク、盆、年末は、ホール企業にとっては「稼ぎシーズン」であった。

それは全体の傾向としては今も同じなのであるが、ヘソに玉が乗るかのような釘ではもはやこのご時世、稼働が上がらないことが自明なので、必ずしも極端に抜きまくる調整が主流とは言えない。

店にもよるが、たとえばサラリーマンの集客がメインになっている私の知人の店は、こういうシーズンは営業しても客が入らないから店を休みにしたりする。

 

今年は台風一過から猛暑日が全国的に続いている。

節電は今でも大切だが、地域にもよるが輪番休業するほどに節電する必要がなくなりつつある現在、ホール店内の空調は、暑がりの私にとっても快適なものになってきた。そんな夏、話題の新台もそこそこある状態で、盆のぶっこ抜きにあって興醒めとはしたくないものだ。

 

読者のみなさんにおかれては、「稼働(アウト)の良い店」で「やる気になるような確率の比較的高い店」を探して、夏の暑い時期、ホールで快適に涼をとりながら、遊技に興じて、一喜一憂してもらいたいものである。

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