いわゆるみなし機をめぐる混乱勃発中【POKKA吉田コラム #34】
9月19日、警察庁生活安全局保安課は業界6団体(全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商)を急遽呼び出し、いわゆるみなし機の取り扱いについて及び前倒し認定についての説明を行った。
「みなし機」とは、検定や認定の切れた遊技機のことを指す俗称だ。
本来は、風営法上、みなし機は「入替時には正規の変更承認手続きを経ているので、たとえ後にみなし状態になっても合法」のままである。
みなし状態になると、中古転売が出来ないとか部品交換の変更承認手続きが出来ないなど制約はあるが、継続設置は合法である。
しかし、今回規則改正によって風営法施行規則第8条が改正され、来年2月1日から施行されることとなった。
ここが改正されると「前の規則下のみなし状態の遊技機は、ホールに設置しているだけで風営法第20条1項違反」となるのだ。
このみなし機を、来年1月31日までに全国規模ですべて撤去しなければならないことについてなんとかしてくれ、という要望を全日遊連が中心になって出していた。
なお、規則上に「みなし規定」はないので、本来「みなし機」と呼称はおかしい。
このため、私ははじめだけは「いわゆる」みなし機と記述するように心がけている。
「前倒し認定」というのは、手続きとしてはこれも俗称である。
認定というのは単に「認定」であって、前とか後とかあるいは「再」とかも含めて、そのようなものはない。
認定手続きの実務フローは「検定型式に属することを疎明して、認定を受ける」というものである。
「疎明」というのは法律用語で「証明」に似たようなものだが証明ほどに確定的な裏付けではなくてもいい。
この認定手続きだが、実務は各地の警察本部や所轄警察署らの指導もあって、次のような形が一般的だ。
・検定有効期間が切れる直前に申請受付と締切(1~2か月とする場合が多い)
・認定申請した瞬間に当該遊技機は検定型式外の扱いとなり認定を受けるまで部品交換等の変更承認手続きは不可
・検定失効日が認定を受けた日になる
・認定の有効期間は3年間
今回、規則改正になったが、来年2月1日以降も「前の規則下の検定と認定が有効な遊技機は、経過措置でその有効期間内は合法」とすることになっている。
ところが、通常の認定申請実務だと検定が来年後半や再来年に切れる遊技機については認定申請が不可となるわけだ。
このため、来年1月31日までに認定申請手続きができるように、というのが「前倒し認定」と呼ばれるもの。
なお、認定申請のこういった実務の手続きは検定認定規則(遊技機規則)には規定がない。
あくまでも警察の指導等による慣習化した実務である。
さて、みなし機の取り扱いについて、よくわからない状態が続いている。
一応は警察庁の方針は示されたのだが(旧基準や高射幸性のみなしはNG、それ以外は随時撤去していってくれれば的な)、これについて確定しきれていないのが現状である。
というか、本稿執筆後にも警察庁が方針を変更する可能性すらある。
警察庁は9月19日の説明内容について、情報解禁日を9月22日に設定したが、そこにみなし機の取り扱いの記述はない(全日遊連、日遊協の通知文書)。
つまり、警察庁が「きわどい話になることから、記述を削除させた」わけだ。
このため、内容が伝言ゲーム化しており、警察庁の方針も固まったはずにもかかわらず、右往左往するフラグが立っているような状況である。
前倒し認定については、警察庁の方針は明確だったが、結論は実はどうでもいい内容だった。
警察庁の方針は、前倒し認定申請が激増することによって各地の警察の業務に支障が出ないように、各地の警察本部と各地の遊協組合とで上手く協議してくれ、というものだった。
つまり「警察庁としては何もしない」と言ったわけである。
なお、認定を受けた日はともかく、認定を受けた日が来年2月1日以降になる遊技機については、経過措置起算日は来年2月1日になるということも示された。
私は、この一連の流れを、ここで記述していない様々なことまで含めて、細部まで見てきたが、次のような感想を持つに至った。
「久しぶりに、ムチャクチャな業界所管をやってる」
そもそも規則改正が雑だった。
誰も提唱していない「4時間5万円」という謎のギャンブル等依存症対策基準を持ちだして既に改正規則は公布された。
それだけでも雑極まりないのに、今度は「急に業界団体幹部らを呼びつけて説明しておいて、肝心のみなし機についての取り扱いについて説明させないようにした」のである。
前倒し認定については「警察庁は何もしない」のだから、説明すら不要でもある。
実にアホらしい。
規制内容の緩い厳しいという話とはまったく関係なく、実にテキトーで雑な業界所管だ。
まだ、業界巷間はこれらの件で混乱が続いているが、私は既に警察庁に対してドン引きしている。
そんな中、衆議院解散総選挙であり、民進党が解体寸前となりよくわからない新党が二つほど立ち上がる。
この業界も世の中も、何がどうしてどうなっていくのやら・・・
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