嵐の前の静けさのような【POKKA吉田コラム #50】
1月は、毎年恒例の業界行事が二つある。
一つは全日遊連の全国理事会での行政講和だ。
今年も警察庁生活安全局から山田保安課長がやってきて講話をしている。
講話の内容は基本的にはこの2年間でベクトルは変わらない。
すなわち「依存防止対策が業界の最優先課題」ということである。
今年はギャンブル等依存症対策基本法の規定に基づいて今から5月までの間にいろんな動きがある。
それに適切に対応してくれ、というのが講話の本質となる。
もう一つの行事はパチンコ・パチスロ産業21世紀会。
こちらはぱちんこ業界団体のうち、警察庁が認証する14団体が集まる会で、1月の会合はそのあとに賀詞交歓会を開催することから、業界関係者が多数集まる。
今年は例年よりも少ない人数だった印象だが、それでも400人以上が集まった。
業界の重鎮クラスは基本的によほどのことがない限りこの場にすべて集まるし、ここにも山田課長など行政からの来賓もある。
なお、1月の21世紀会では、5月14日に東京都内で依存対策のフォーラムを開催することを正式に発表した。
依存対策のスケジュールを簡単にまとめておくと、
・ギャンブル等依存症対策推進本部がギャンブル等依存症対策推進基本計画を立案し、パブリックコメントを実施
・パブリックコメントの結果を受けて、4月に政府が基本計画を閣議決定
・5月14日から20日までの間、ギャンブル等依存症問題啓発週間ということになる。
パブリックコメントはだれでも意見を出すことができるもの。
ギャンブル関係に反発する層の意見も多数集まることが予想される。
基本計画の内容は不明だが、おそらく新しい極端な施策は出てこないと私は考えている。
なお、さきほどの21世紀会のフォーラムは啓発週間に業界は何をするか、という警察庁の問いかけに対する回答となる。
さらに言えば、啓発週間は国や地方公共団体の責任で展開するものであるが、行政が何をするかは、いまだに明らかになってはいない。
1月から2月にかけては、このような流れで、警察庁から依存についての物言いが続いた期間となる。
おそらくパブリックコメント実施あたりから、急に事態は動くことになる。
意見の数や内容で政府・対策本部の反応が変わり、内閣官房が警察庁にどのような指示をするかも変わってくる。
そして啓発週間というわけだ。
なお、今年は元号が変わる年であり、GWは盆や正月を超えた大連休となる。
元号が変わるということで日本のありよう、見え方が変わるかも、という大転換期に啓発週間が始まる。
社会からこの啓発週間がどのように見えるかは、今のところ想定するのが難しい。
こんな感じなので嵐の前の静けさ、的ということだ。
さて、今月は原稿を入れるのが遅れたため、その後の話も少し。
2月に入って高知県遊協が5月から6月までの入替自粛を決めた。
鹿児島県遊協も、GW期間中の一部と啓発週間中について、入替と広告宣伝の自粛を決めた。
ただし、これは全国的な動きではない。
中央の全日遊連は、今年は入替自粛を(よほどの警察庁の要請がない限り)音頭を取らない、と決めているからである。
今年は大阪サミット、ラグビーW杯、そして天皇即位や新元号、新嘗祭など、かなり重要なイベントが続く年である。
自粛関係は今のところ、各都府県方面遊協がそれぞれの警察(方面)本部からの要請等の有無とその内容によって独自に決定していくという流れになっている。 3月に入れば事態は動きそうだが、今は少々「凪」の時期のように私には感じる。
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