日工組内規【POKKA吉田コラム #51】

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いやあ、読者の皆様、大変申し訳ありませんでした。

月末に原稿を入れて毎月頭に掲載というルーティンなのに、先月分はそっくり入れてないという事態になりまして、これは私の不注意以外のなにものでもありません。

ということで、今月分をしっかり入稿したいと思います。

これに懲りず、よろしくお願いします(__)

 

さて、さっそく読者が気にしているであろうテーマから。

 

日工組が内規改定をして、ベース値規制撤廃などを決めている。

日工組の自主規制は「申し合わせ」と「内規」とで、正式決定の手続きが全然違っており、今回、正式な内規としての組合員会議の決議があったところまでは実は確認していないのだが、決まったことは間違いないので、まあ内規改定と言っておこう。

内容は単純で「ベース値規制下限値の撤廃、最低賞球数下限値撤廃。これらの性能の型式は今年5月以降の型式試験申請から可」というものだ。

これによって「ベース値が低い機種が出てくる」と、普通は予想する人が多い。

これについて少々触れておこう。

 

ベース値規制が撤廃されるしヘソ賞球数も1個まで下げることができるから「ベース値が下がる≒通常時の玉持ちが悪くなる」ということを予想するのは自然だ。

ただし、国家公安委員会規則である技術上の規格によって、もともとベース値は相対的に規制されているものである。

 

ポイントは二つで「短時間出玉率の下限値規制(3分の1)」と「役物比率規制(ほぼ連続役物なので6割が上限)」だ。

 

たとえば保通協の型式試験の試射試験において、どこかの一時間にたまたま一回も大当たりが発生しなかった場合、ベース値が34%とかじゃないとそれだけで不適合となる。

4時間や10時間出玉率にも下限値はあるのだが、これだけの時間の場合は大当たりが発生しないことは考えにくいので、ベース値規制とはなりづらい。

しかし、1時間の場合は319タイプだと大当たりしないことは珍しくはないわけだ。

 

役物比率規制は、説明するのは難しいのだが「すべての払出し数のうち、役物によるものの割合の上限が決まっている」というものである。

「玉が出る」と客は嬉しい。それが役物(大当たりなど)によるものだと客はさらに嬉しい。

ならば役物による払出し数について上限値を定めると著しくない、という理屈である。

本来は原則7割が役比規制の上限値だが、連続役物搭載の場合は6割となる。

一般的な機種はそのほとんどが6割だ。

ただし、ベース値40が下限値、ということではない。

あくまでも相対的なベース値規制である。

 

これらのことを考えると、いきなり「ベース値10」などの機種が適合するとは考えにくい。

昔々、スタートとベースとが切り離されている機種があった。

スタート入賞口がスルーになっており、その下に他穴があったタイプだ。

この場合、他穴を完璧に殺すとベース値はものすごく下がる。

権利物などに見られた特徴だった。

あるいはアレパチ。

アレパチはスタートに賞球がなく、一ゲームあたりに払出し判定をしていた。

その判定で通常ベースに相当する入賞口(数字で表されていた)の一つを完全に殺すとベース値はものすごく下がる。

筋の悪い店の場合はセルを張って100%入賞しないようにしていたものだ。

 

これらの性能は、後にベース値の低さが問題になって日工組として禁止してしまった。

このため、今はそういうことは考えにくい。

日工組はもともと「ベース値規制撤廃と最低賞球数撤廃をしても、技術上の規格で相対的なベース値規制はあるから大丈夫」という理屈で今回、内規改定している。

警察庁としても了承しやすいのはそのとおりである。

 

ただ、それでもやはり低ベース値実現の可能性をぱちんこメーカーは探ることになる。

 

ベース値が低いとその分、大当たりに払出しを寄せることができる(役比を向上させることができる)ため、客にとっては面白いはずだからだ。

ベース値が5違ったとする。

1日フル稼働して6万個の入り玉があったとすると、その差は3千個だ。

今の基準だと1500個大当たり2回分、増やすことができるという計算になる。

それ以外にもホールにとっては売上金額向上につながる。

こういうこともあって、低ベース値を実現したい、というのは各メーカーはかなり真剣に考えていくことになる。

 

開発企画の現場では、たとえば「1時間出玉率で大当たり0とならないような設計にしてベース値を下げる」とか、いろんなことを考えていくことになるが、これは各メーカーの個性であり企画能力だから、各メーカーごとの話だ。

それよりもすべてのメーカーやホールに共通する視点でもう少し触れておこう。

日工組はくぎ確認シートの運用を既に実施している。

これはゲージ図に遊技くぎの頭部分を白丸と黒丸とで表示している透明のセル状のシートで、実寸大だ。

点検確認時にメーカーや委託業者がシートを実機に直接当てて遊技くぎのズレがないかどうかをチェックして警察の変更承認手続きを得る、という流れである。

 

この確認シート。

白丸と黒丸とで実は異なっており、○の大きさは実寸大ではない。

要は少し「遊び」があるのだ。

この範囲内なら釘調整が可能、というのが今のホールの一般的な解釈であり釘調整運用指針となっている。

確認シートの範囲内の釘調整によって、ベース値他の調整をやっていくということがまず一点だ。

もう一点は性能表示モニタ、というもの。

これは搭載も既に義務付けられており運用も始まっていたが今までは「仮運用」であった。

この4月から「本運用」に変わっている。

 

性能表示モニタは、わかりやすく言えば「ベース値モニタ」である。

いくつかの区間(入り玉数など)でそれぞれのベース値を算出して表示するというものだ。

このモニタの値が各機種の算定書の数値とズレていた場合に異常値として報告するというもの。

新台納品時は営業していないのだからベース値モニタは意味はない。

なので、意味があるとすれば継続して機械を設置しているが部品交換の変更承認手続きのとき、ということになる。

(あるいは遊技産業健全化推進機構の立入りや警察職員の立入りなども考えられるだろう)

 

で、このとき、異常値を報告する目安はどこにあるか。

これが実はモゴモゴしているという。

この辺ははっきり書くのは憚れるのだが、要するに「大きく外れた値が出ないと異常値とは報告されない」のだ。

 

これらの運用によって、ホール側のベース値低減釘調整の幅が一定程度担保される。

そこにヘソ賞球数などの下限規制撤廃となったりベース値下限30規制がなくなっていく、という流れだ。

すなわち「今後、徐々にベース値25程度の営業が増えていくことが予想される」というのが一番到達しやすいトレンドとなると予想する。

今、実際のホール現場でベース値20前半という機種もある。

が、これは確認シートの○を超えていたりする釘調整による場合が多い。

要はこういうのは今までは「悪い店」がやっている。

しかし、今後は「悪くない店」もそういう取組みをすることが可能になりつつある方向性、ということは言えるだろう。

 

さて、ベース値が下がっていく方向だったとして、ホールはその分、本当に大当たり回数を増やす(≒スタート回数を増やす)のかどうか。

これは残念ながら店ごとによるのだ。

ベース値が下がっているのにスタートが変わらない場合、ホールの抜き幅が増えていることを意味するし、そういう店も普通にあるだろう。

一方で、出せる余裕が出たとその分のスタートを増やす店も出てくるかもしれない。

これは読者諸氏の店選び次第である。

 

なお、ベース値は体感的にはわかりづらいものだ。

感覚としては「単位時間あたりの投資金額」と理解していいのだが、一桁ベース値の変化は数分でわかるのはちと難しい。

このため「30分や1時間での投資金額」を目安にその変化を見ていくといいだろう。

今の機種は、悪い店でなければ、保3止めで1時間1万円くらいの投資金額というのが私のざっくりとした現場感である。

30分で5千円でもいい。

これが今後、どう推移するか、ということをもって目安にしていくといいだろう。

 

なお、単位時間をあまりに短くすると、長尺スーパーリーチの出現回数で投資金額が大きく変化するから、基本は1時間で考えるのがベターだろうか。

 

あと、最後に一つだけ。

5月以降の型式試験申請から可、ということだから、早くても7月とか8月からそうい機種「も」出てくる「かもしれない」よ、という話である。 実際はまだまだ先の話だから、今の立ち回りに影響するものではないこともおさえておきたい。

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