型式試験に少変化他【POKKA吉田コラム #53】
保通協が5月の型式試験の結果をHPで公表している。
それによるとパチスロは79件中19件の適合となり適合率は約24%。
前月まではよくて10%台だったことを考えると、少し改善してきた。
ただし、規則改正前は40%台だったことを考えるとこれでも実はまだまだかなり低い。
4月25日に自民党の有志議員らが集まる風営法議連が遊技機基準等PTと議連総会を開催して、遊技機基準等に関する提言が決議された。この提言は国家公安委員長や警察庁生活安全局長、生活安全局保安課長に渡されている。
提言内容は5項目だが、この中で一番優先順位が高いものは型式試験の正常化だ。
それも、今までの風営法議連の議論推移でパチスロの型式試験正常化に重きを置いているという印象である。
提言が出たのが4月25日で、5月の一か月の適合率が急に少し改善したのは関連がありそうだ。
型式試験は基本的にブラックボックスとなっている。
試験結果が不適合となったとしても、不適合となった理由について当該メーカーは詳細な不適合の理由を把握することが困難となっている。
こういった試験に関する開示についても提言には盛り込まれている。
もっとも、風営法議連での議論において、警察官僚は型式試験に関して不開示とかブラックボックスとかの現状を否定してきた。
警察庁が否定しても、当該メーカーからしたらブラックボックスには違いないので議連は提言に盛り込んだわけだ。
この提言が適合率に影響したとして、それでも問題は多である。
型式試験のどの部分かが、なんとなくテキトーに緩和され、議連に対して負い目を感じないように少しだけ適合率を高めた、みたいなことでの改善なのか。
この場合は、そもそも型式試験がクールに規則に基づいて実施されていないということを意味するから問題である。
仮に型式試験のどの部分かが、しっかりと緩和されて正常化したとして、それでも適合率が24%レベルというのは、まだ正常化が足りないということになる。
さらにはそれがどの部分なのか、各メーカー側がしっかりと把握できてはいない。
すなわちブラックボックス状態が改善されたわけではないという点で、やはりこれでも二重に問題である。
警察庁は、適合率を少し改善すればなんとかしのげると思ったのかもしれない。
しかし、風営法議連も業界側も、この程度の改善はまだ「入り口」の話である。
ここで止まるということはない。
実は、もう実施されたかもしれないが、今月、警察庁と業界6団体との、本音での協議というものが予定されている。
警察庁と業界とが協議の場を持つことも提言の中にあったからだ。
ここでの話は、記録に残すものではない完全オフレコになる模様だ。
ここで、お互いの本音を言い合って、握れるところがあるかどうかをはかるのだ。
このときの警察庁の対応や本音がどのようなものなのか。
それによって、風営法議連などの政治の力を業界がどのように活用していくか、手法が分かれていくことになる。
基本的に行政は、それは特に警察庁という組織は、自身の失敗を認めることがまずない。
今回の規則改正は4時間5万円というデタラメな基準に基づいたざっくり3分の2の射幸性、という改正によって「依存対策になる」というものだった。
この「5万円」という数値は改正案が出た二年も前のある一か月のリカバリーサポートネットワーク(RSN)の電話相談の報告で「相談者の約7割が月に5万円ほど使っていた」というものから強引に警察庁が引いてきた数値である。
もちろん依存対策の目安になるようなものではないから、RSN西村代表は改正案配布時点で警察庁に抗議している。
さらには4時間というのもまあまあ謎な時間だ(一応引いてきた統計はあるのだがこれもとても目安になるものではない)。
さらには、RSN西村代表がこの二年間言い続けてきたとおり「射幸性と依存との因果関係があるともないとも言えない」と、射幸性の抑制が依存対策に資するというエビデンスがないということも明らかになっている。
これらを警察庁が「自らの非」として認めない限り、おそらくは議連が求める本当の正常化には程遠いのだろう。
それはさておき、適合率が今後改善していき、いろんな6号機が登場することを期待しておきたい。
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