POKKA吉田が封入式や参院選など水面下で色々動きが見えた8月を振り返る
おだやかな1ヵ月
もちろん日本社会はおだやかではなくコロナ禍は相変わらず。ワクチン接種もかなり進んできたようだし東京での感染者数推移は今週は減少傾向にありそうだが、まだまだ予断を許さないことにはかわりはない。単純にぱちんこ業界動向的には、外目にはおだやかというかあまり動きがないように見えている時期だったというだけだ。
もっとも、たとえばぱちんこメーカー組合の日工組、パチスロメーカー組合の日電協は次世代の遊技機(玉が封入されているもの、メダルレスのもの)のリリース目標を来年4月に設定している。逆算すればそろそろ次世代遊技機の自主規制を決めてしまわないと間に合わない計算になるので、水面下ではその協議もしっかりやっている状況ではある。自主規制とはいえ、遊技機性能の場合は警察庁の了承も事前に得ておかないと最終的に決まらないこともあるし、既存機とほとんど変わらない内容でも次世代遊技機が売れないことになることから、この協議は何年も前から慎重にすすめられているものだ。まだ最終的な決定はないというか、最終決定した場合は日工組、日電協も確実に公表するというか業界に向けてアナウンスをすることになっているから、この点は待っておきたい。水面下の協議はいつになく活発になっている。
あるいはこの間、来年の参議院議員選挙での全国比例区にぱちんこ業界がどの候補者を推すのか、決まりつつある。正式な公表というかそういうのはまだ先になる見込みだが、自民党の参院選候補者の公認の公表タイミングもあって、この間にそういう話も水面下では進んでいる。もっとも、今はみなさんも毎日報道で観ているとおり、今月の自民党総裁選がありおそらく11月頃になるだろう衆議院総選挙がある。ぱちんこ業界は4年前から政治家との距離をかなり縮めて良い関係を保っているが、その相手先は自民党であり、それが奏功するのは当たり前だが自民党が政権与党にあるから、である。総選挙は政権選択選挙であり、政権与党である自公で過半数を維持しなければ政治との関係性というか、政治にも頼る戦略・戦術にも大きく影響が出てくる。今は全日遊連系の各地域において職域支部の設立も進んでおり(要は自民党の党員を集めた自民党応援組織)、当たり前だが優先するべきは総選挙の方である。こちらもおそらく遅くても年内までには業界挙げての体制というか方向性は明らかにされていくことになる。
一見おだやかに思えても水面下ではこのようにいろいろ動くのが盆がある8月の一般的な流れだ。ただ、いつもの盆とは違い、警察庁から何かしらの厳しい業界所管や注文というのはなかった時期でもある。過去には盆を挟んで依存対策強化の要請だったり(直後に全日遊連が共通標語を決定)、ART問題勃発だったりしたのも実は8月のことだった。盆休みという世間が仕事ではなく休みになるこの時期に大きな業界所管の変化が見られてきたのも8月が多かったのだが今年はそのようなこともなかった。この点では昨年も同様ではあるが、コロナ禍が暦の流れよりも強く影響しているのだろう。
政府は分科会の提言を受けて9日にも行動制限緩和の方針を明らかにするとのことである。アメリカやフランスにおけるワクチンパスポート化とはまたニュアンスが違うようだが、ワクチン接種が進めばこのようになっていくのは自然な流れには違いない。大規模イベントや酒類提供飲食店にとってはこれは死活問題だし旅行業界にとっても同じだろう。行動制限の自粛の呼びかけの対象を小さくしていくという流れのようだが、これ以上の自粛呼びかけも奏功するはずもなさそうだから、ワクチン接種のスピード強化とともに政府としては力を入れたいものである。というか、もともとコロナ禍における日本経済の甚大な損失についてなんとかしなければならないというのは菅首相にとってかなりの優先事項だった。首相在任期間が残り僅かとなった菅首相だが、最後にコロナ禍の日本経済視点での出口戦略をロードマップで明らかにして、誰になるかわからないが次の首相につなげていくことができれば、なんとなくだが後年の菅首相の評価にも影響するのではないだろうか。いずれにせよ、日常生活が正常に戻りつつあるということが実感できるようになるのはいつになるか。年内実感できればとてもありがたい。
型式試験の状況はあまり芳しくはない。パチスロは昨年までずっと適合率の低さをなんとか改善したいと業界も政治もそして実は警察庁も重要課題としていたのだが、少し改善されたとは言っても当初目標の40~50%レベルにはまだ及んでいない。さらにはぱちんこの適合率も直近数か月では低く推移しており、今は既にぱちんことパチスロとで適合率はほとんど変わらない状況になっている。
ぱちんこの場合はライトミドルや甘系の申請件数も少なくはないことを考えると直近での適合率はかなり低いということができる。これはもちろん特に傾斜値に寄せた設計で勝負してくるメーカーが増えているためだろうと思われる。パチスロの場合は6.2号機の適合が少しずつ、という状況にまだとどまっている。9月は特にこの状況が改善されればありがたいが、こればかりは試射試験運にも左右されることからまだ見通しとしては不明だ。6.2号機の場合は適合型式が増えだしたら一気に環境が変わるくらいになると私は希望的観測として持っている。8月まではまだ適合が少ないのは事実なので今月、適合件数が増えることを願っている。
旧規則機の撤去についての21世紀会決議(及び規則上の経過措置)期限は気が付けばあと5か月弱。型式試験の適合状況もさることながら、半導体などの部材調達難の状態は全ての遊技機メーカーに共通しており、特に大型の入替期間となる年末年始時期の製造計画をなかなか立てることが難しいメーカーが増えている。部材調達難については業界の問題ではなくて半導体の場合は世界的な問題に違いないので業界がどうこうできるものではないが、決議の期限が来年1月末ということを考えると新台供給「台数」が決議達成を可能とするレベルでできるのかどうか、この点は注目だ。なお、8月までの話としては決議の延長なんて話は要望されてもいないし警察庁と協議もされていないことは申し上げておきたい。いまも21世紀会決議はそのまま、である。
おだやかに見えて水面下ではいろいろあった8月。世間的にはやはりオリパラであり、帰省を避けた一か月だったことだろう。個人的には夏の甲子園(高校野球)やプロ野球再開も重要なイベントだった。政府の行動制限緩和のロードマップが奏功して、来年はこういった大きなスポーツイベントでは酒を呑みながら現地観戦できるような社会に戻っていてくれるとありがたい。遊技はもちろん遊びである。今も普通に営業しているのだから普通に遊技できるとはいえ、やはり「遊び」は「日常が完全に取り戻されて」こそ、遊ぶ気力が増えるというもの。ロードマップでその日常復活へのスケジュールが示されることをまずは期待しておきたい。
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