「毒」を強める施策はもう限界?大崎一万発がぱちんこ業界に方向性の転換を提言!
明けましておめでとうございます。元旦より災害や事故が連続する大変な年明けとなってしまいました。被害に遭われた皆様に心よりのお見舞いを申し上げると共に、一刻も早く日常を取り戻す日が来ることを願っております。
と、そんな落ち着かぬ空気に支配されたこの正月、せめてパチンコ・パチスロぐらいは明るいニュースでご挨拶をと考えていたが、例によって好材料は多くない。確かにスマート市場の成熟と共に、ようやくヒット機が登場するようにはなった。パチンコは絶好調eリゼロ2を筆頭に、年末商戦の目玉シンエヴァシリーズも期待通りのスマッシュヒットである(高すぎるハードルを越えられるかは未知数だが)。パチスロはL天膳がロケットスタートを決め、戦国乙女やモンキーターンも高い支持率で推移している。お客さんを呼べるキカイは確実に増えている。
しかし肝心の市場は、まったくと言っていいほど盛り上がっていない現状。話題機が登場しても、PS移動、店舗内移動、店舗間移動に止まり、活性化したシマと店の分、必ずどこかが割を食う。貢献してきた機種が、新機種登場と同時に終わっていく。話題の新規店の陰でひっそり閉店していくホールは今後も後をたたないだろう。新規ユーザーを、若い層への訴求を、市場拡大を! と力の入った販促に毎度期待はさせられるが、いやしかし、このまま続けたところで果たして実りはあるのか、新しい人を呼び込むなんて画餅ではないかと疑問を感じ始めた関係者、プレイヤーは少なくないだろう。
パチンコ・パチスロには毒がある。だから魅力的な大人限定のゲームなのだが、その毒は年々強くなる一方である。大災害や戦争までもが娯楽コンテンツとして消費される荒んだご時世、目を惹くには毒=刺激も応じて強くせざるを得ないのは自明だし、緩和を勝ち取り時代に対応してきた業界の尽力にも頭が下がるばかりである。しかし、慣れ切って耐性のある我々は無自覚だけれど、その繰り返しの中でパチンコの毒はとっくに、「普通の人」なら死んでしまうほどの猛毒と化しているのだ。せっかく興味を持った人でもすぐさまやられる、その現実から目を背けてはいけないと思う。
年明け早々僕は、4回打ちに行って19万負けた。ちゃんと勝てるはずの台を打って、である。とはいえそんなの、ちょっと引けなきゃ珍しくもないとネタにすらならない現実は、やっぱりマトモではない。先日は、ある著名ホールアカウントとX上でやり取りをした。「ホール関係者はパチンコを打たなすぎると良く指摘されるが、負けが大きすぎて打ちたくても打てない」とのコメントをいただいたが、共感すると同時に、胴元ですらおいそれ手を出せない危険な遊びを、もっと打ってと推進していくのは、さすがに無理があるだろうと考えさせられてしまったのである。
「退屈な日常に加える、ちょっとしたスパイス」のポジションを確立して長らくパチンコは親しまれてきたが、今や世はパチンコを凌駕する刺激的なコンテンツに溢れ、退屈している暇なんてない令和の時代である。わざわざホールに足を運んで、時間とリスクをとってまで新たな毒と刺激を求める人が、市場拡大を実現するほど存在しているわけもないだろう。ならば逆に、本来の「娯楽場」に立ち返って、毒抜きの場として活用してもらえるホールづくり、無毒でも楽しめるゲーム性を、今こそ改めて考えていく必要があるのではないか。パチンコ店は賭博場ではない。あくまで遊ぶ場であり、そこに集う同好のプレイヤーが交流する場でもあったはずだ。
もちろん、原点回帰など理想論だ綺麗事だなんて言われるまでもなくわかっている。しかし、結果が出ないまま、ゴールも定めないまま、逐次的に毒を強めていくような施策はいい加減限界である。いずれ自分自身もやられて終わりになるのは見えている。毒を強めて刺激を増して、それでもお客さんは減っているのだ。スペックの荒さは史上最高レベルに達し、手軽に大きな夢を見られるのに減っているのだ。ならば思い切って方向性を変えるしかないのではないか? 僕は、業界人でも付き合いきれない猛毒を、死ぬとわかって客に食わせるような商売に、未来があるとはとても思えない。
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