カジノ法制化加速へ【POKKA吉田コラム #40】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

4月3日のIR実施法に関する作業部会(岸田文雄座長)という、自公のワーキングチーム(WT)で、カジノ法制化に関する自民党と公明党の主張の温度差が、すべて解消され自公合意となった。

これは3月から段階的に合意を積み上げていったもので、11項目で最終合意となっている。

この自公合意はカジノ法制化を加速させるものとして、各紙が大きく報じた。

 

カジノ法制化はPRG法を経由した2段階法制というスケジュールになっている。

PRG法は一昨年末に成立したIR推進法だが、こちらは議員立法での法案成立だった。

最終的な日本版カジノを実施可能とする法律はIR実施法であり、こちらは閣法(政府提出法案)となる。

現在、政権は自公連立政権だから、どちらかといえばカジノに積極的ではない公明党と積極的な自民党の合意は、閣議決定前に終わらせる必要があった。

既に4月3日にWTで自公が合意したからあとは閣議決定→IR実施法の国会提出である。

今のところ、そのスケジュールは今月、すなわち4月末頃と目されている。

今までの報じられようからすると、IR実施法が閣議決定されたときは、新聞大手各紙だけじゃなく、キー局など、テレビも大きく報じることになるだろう。

 

自公合意は11項目だ。

一応列挙しておこう。

・7日間で3回、28日間で10回まで、という客の入場回数制限

・入場回数確認などの確認はマイナンバーカードによる(マイナンバーカードがないと入場できない模様)

・カジノ面積はIRの総面積の3%以下

・はじめのIR設置免許数の上限は3カ所

・カジノ管理委員会の設置(内閣府の外局で三条委員会なのでかなり強い権限がある)

・IR設置数の上限は、一番最初の免許付与から7年後に見直し

・IRに設置するMICEなど施設の規模は、地方の事情に配慮

・都道府県や政令指定都市議会の議決、市町村の同意も必要

・IRの設置申請や設置地域の認定は段階的に実施

・カジノ入場料は6,000円

・カジノ事業者が納める国、自治体への納付金率は30%

 

この11項目のうち、4月2日までに10項目が合意されていた。

 

最後に残っていたのは入場料だった。

政府は2,000円と案を出し、自民党は5,000円、公明党は約8,000円(シンガポール並)としていたが、これがずっと合意できなかった。

4月3日は、この入場料の合意のみ、である。

それが6,000円となったわけだ。

 

これ、私の素直な感想だが「5,000円、6,000円、8,000円でどう違うの?」というもの。

カジノには、たとえばアメリカならかなり低額のスロットマシンがあって、そういうレートを好む客にとっては、勝敗収支的にこの数字の違いは大きい。

しかし、何百万円などのハイローラーでなくても、比較的高額のレートを好む層にとっては、何やら空気感もある。

 

あと、ある国会議員が言っていたそうだが、シンガポール型の入場料制限は依存対策には逆効果だ、という主張もある。

約8,000円の入場料を支払ってまでカジノに入場する人は、わざわざハードルを越えてやってくるという論法だ。

 

さらにはマイナンバーカードという、全然普及していないものが入場に必要になる。

ここまでのハードルを越えて入場する人は、かなりカジノに積極的に参加するということになるだろう。

それが依存対策としてどうなのか、私は専門家じゃないのでなんとも言えないが、最後まで合意できなかった項目がここというのは、ちょっと解せない。

 

なお、入場料の直前まで合意できなかったのははじめのカジノ開設免許付与の上限数だった。

これは公明党の主張に沿った3カ所になっている。

その代わり、上限数の見直しが「はじめのカジノ開設から5年」という合意から「はじめのカジノ開設免許付与から7年」となった。

免許から開設まで2年では難しいだろうということで、これは実は上限数見直しの前倒しである。

 

なにやら妥協に妥協を重ねたようなWTの最終合意だったが、これで閣議決定の準備は揃いつつある。

あとは今の通常国会で成立するかどうかだが、野党の多くはこれにかなり強硬に反対している。

このため、まだどうなるかは不透明であるが、IR実施法が国会に閣法提出となれば、かなりの進捗ということは言えるだろう。

 

これからは、はじめの3カ所がどこになるか、カジノ誘致の大競争に突入だ。

手を挙げている自治体の数はこれをはるかに上回るのである。

 

さらにはIR実施法の審議及び継続審議となっている依存対策法案の審議。

これらの国会審議では、必ずぱちんことの法的な違いや整合性が追及されるのは今までにも見られたとおりである。

今のところ、ぱちんこについて、客の換金行為は「ホール営業者とは異なる第三者が買い取りしていて、ホール営業者が風営法の枠内で営業している場合は刑法の賭博の罪には該当しない」という政府の閣議決定がある。

 

しかし、既に今年になってからも、この点などを含めてかなり多くの質疑や質問主意書が飛んでいる。

カジノの最終法制の審議では、さらにぱちんこ業界にも影響が出るような質疑等が行われる可能性もある。

 

来月の本稿では、IR実施法が提出「後」なのかどうか、は注目だろう。

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