大崎一万発は黒or白?「グレーな商習慣」から業界が進むべき道とは
昨年に引き続きコロナ禍に翻弄された2021年も暮れようとしている。新型変異株の脅威が迫り来る中ではあるが、ひとまずトゲトゲしい世相は一段落し、アフターコロナに向けた日常回帰が急ピッチで進んでいる。パチンコ店もまたかつての賑わいを取り戻した……ようには見えるのだが、業界各社の内情を見聞するに、とても喜べるような状況ではないようだ。
コロナ禍以前から直面していた諸問題、少子高齢化と社会構造の二極化によるパチンコ・パチスロプレイヤーの減少、そして残ってくれた貴重なプレイヤーにツケ回しせざるを得ないホール経営&遊技機開発の高コスト体質。これらはコロナ関係なく、いやコロナで加速度を増して業界を崖っぷちに追い詰めている。依然(当然)漸減基調は変わらずなわけで、10年後、20年後のパチンコ業界を考えると、この構造的問題への対応策こそ最優先課題なのは間違いないのだが、厄介なのはそんな大所高所かつ長期的ビジョンでの業界観と、個社・個人における近未来の損得勘定とが必ずしも一致したベクトルではないことである。
卑近な例を挙げよう。僕は来店取材やホールでの映像収録を主業務として口に糊する稼業であるが、自身(や取引先、そしてその現場に来店するプレイヤー)への利益最大化を目論んで振る舞うことは、時に業界の「進むべき道」に反してしまうのである。
僕の仕事はクライアントホールにお客さんを呼ぶことである。来てくれたお客さんもいい台がツモれたら嬉しいわけだし、賑わって八方丸く収まる現場を作れたら僕自身の商品価値も上がって今後につながる。だからといって、問題視されるような告知手法をバンバン使って人を集めたらどうなるだろう。もちろん、違法行為を働くわけにはいかない。しかし、晒し系のアカウントや身内だけのグループSNSを使ったり、あるいは事前告知NGエリアのホールが口コミで内容を匂わせたり、ギリギリお咎めのないすり抜け策を講じて集客率を高めることは可能だし、実際にやっている業者やホールは少なくない。
確かにそれでお客さんが集まれば関わるもの皆がハッピーである。が、現状問題視されていなくとも、所轄にお伺いを立てればNGとしか判断されない脱法手法で商売をする……これは、大所高所からいいか悪いかの二択判断をするなら、まごうことなき「悪」であろう。
真っ当に「白」を目指していくのが業界の長期ビジョンであるなら(と言うかそうあらねばオカシイわけだが)、このような不健全な商習慣は即刻廃し、お上公認の公平なルールを設けてあらゆるホールと業者が同じ土俵で戦えるようにするのが筋であるし、圧倒的多数の業界関係者も同じ考えのはずである。今は我慢をして、将来のために畑を耕すよう活動しなくちゃいけないはずである。しかしこの斜陽業界事情を鑑みるに多くのホールにそんな余裕などないわけで、「やれるんならやっちゃえばいいじゃん」になるのは当たり前の話とも言え、理想論に縛られての利益逸失は企業努力を怠っていると同義になってしまう。
僕自身にしたって同じだ。完全に白を目指して業務を遂行するのは、はっきりと「不可能」である。僕自身がやらなくても、預かり知らぬところで来店ホールやオススメ機種がネットを通じて共有されていたりする。え、そんな脱法を働くホールや業者と取引するなんてケシカラン!? ……確かに正論であるし、原理原則に従うなら加担すべきではないのも理解してはいるが、じゃあどうやってメシを食うんだと考えると、「しょうがないよね」と思考停止せざるを得ないのが小人の悲しさである。
釘調整問題然り、あるいは遊技機価格や抱き合わせ販売問題然り、本来なら「オカシイ」はずの慣習が、こうして改善に向かわぬまま何となく放置され、またそこに新たなオカシイが上積みされ続けている現状。誰しも共犯であり、誰もがそこに鈴をつけられないまま、さて業界はどこに向かおうとしているのだろう。あまりに野放図に見えるのでなし崩し的にOKになってしまうんじゃないかと勘違いしそうになることもあるが(※現実逃避である)、まあそんな甘い話ではないはずだ。遠からず正面から相対しなくちゃいけない「超大きな問題」が、アフターコロナには控えている。すぐに解決できないなんてわかっている。だからせめて雲の上方面各位には、中長期のビジョンを下々にも理解できるように示してもらいたいのだ。
そして、個社・個人の営業努力と業界全体が進むべき道を揃える環境を作ってもらいたいのだ。この業界で業を営む者として、そして何よりツケ回しされるプレイヤーとしての切なる願いである。
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