POKKA吉田がBTや再プレー手数料に関する業界動向を解説!

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BT、再プレー手数料など

 

先月のここのコラムではボーナストリガー(BT)が実現可能となった技術上の規格解釈基準の改正やBTそのものの内容等について触れた上で、10月5日のパチスロサミット2024にて何らかの発信があるだろうとした。

 

結論から言うと「BT機は来年度には登場予定」ということになる。これは業界紙などで既報でもあるが、一応まとめておくと、10月5日ベルサール秋葉原にて開催されたパチスロサミット2024の開会式において、パチスロメーカー組合の日電協の小林理事長がその旨発言したということだ。先月のコラムでも触れたパチスロサミットONLINEのBT機解説コラムの最後に「ボーナストリガーを搭載した遊技機の設置開始時期につきましては、今後の状況を見ながら発表いたします」という文章がある。実際には「来年度には」というのは正式な発表というよりは何も言わないよりはアナウンスしようという意図だと思われる。設置開始時期は具体的に決定すれば「○年○月○日納品設置開始」ということになるからだが、来年度すなわち来年4月以降の登場ということになる。

 

もう少し早い登場を期待していたが、やっつけ開発機が先行で登場するよりは各メーカーがじっくり開発企画したBT機が揃って登場する方が市場も盛り上がると思う。ひとまずBT機の登場は来年4月以降ということになった。

 

先月のコラムでは触れなかったが、9月の業界トピックスとしては貯玉再プレーのガイドラインが1番大きなものだ(BT機は8月末のトピックス)。9月2日付でホール4団体が制定した「パチンコ・パチスロ店営業における貯玉・再プレーシステムに関するガイドライン」というものがある。このガイドラインは早い話、貯玉再プレー手数料徴収が可能になる枠組みということである。

 

ただ、好き勝手にホールが手数料徴収できるという話ではない。その辺を少しだけ触れておこう。

 

もともと10割分岐営業店舗を除けば貯玉再プレーは店舗側にとって逆サヤ分が損となる。だから、古くは客に対するサービスとして「(大当たり図柄やラッキータイムなどで)無制限(ノーパンク)営業」なんてものもあったくらいだ。持ち玉遊技も貯玉再プレーも、貸料金が発生していない。10割分岐以外は貸料金が発生しない遊技は客が得をする(店舗が損をする)わけだ。

 

このため、無制限営業が全国的に常態化した後となってからは、貯玉再プレー時に手数料を玉・メダルで徴収して帳尻を合わせるという営業が主流だった。ところが、この手数料徴収について警察庁がNGを出すわけだ。

 

具体的には2012年になって、警察庁生活安全局理事官の名前でホール団体に文書通知がなされる。そこには貯玉手数料再プレー徴収は「実質換金行為※」だとして、直ちにやめるように具体的に言及している。

 

【※註】

IR推進法成立前夜の2016年の緒方林太郎衆院議員の質問主意書に対する政府の答弁書を持って「換金は合法」という解釈をしている人が業界内外に多いのだが、実はこれは「間違い」だ。政府の答弁書で「合法」とは一言も言っておらず、あくまでも一般論としていくつかの条件を満たせば「賭博の罪に該当しない」と言っているに過ぎない。さらにこの賭博の罪に該当しないとされている行為の主体者は「客」であり、ぱちんこ営業者が換金行為を行うことは、現在でも風営法第23条1項違反、すなわち違法であり、罰則規定があることからこれは犯罪行為である。なので「実質換金行為と言われて合法になったんじゃないの?」と思った人がいれば認識を改めてほしい。換金行為が「合法」とされたと断定できるような答弁書ではないことと、ぱちんこ営業者による換金行為は現在でも犯罪であるということである。

 

この理事官名通知が出たことから、全国のホールで貯玉再プレー時に手数料徴収がされなくなっていった。現在では全国で1店舗もないはずである。そしてここが重要なのだが「この理事官名通知は今も生きている」のだ。つまり「今も手数料徴収は実質換金行為」と警察庁は考えているのだ。

 

では今回のガイドラインはどういう枠組みになっているのか。それは「このガイドラインを正しく遵守している場合に限り、理事官名通知に違反していない」ということである。ホール4団体によるこのガイドラインも警察庁の確認を経て制定したものだから、そう判断して問題ない。

 

ガイドラインの大義は「貯玉再プレーシステム維持のためのコスト負担を、遊技客に玉・メダルによって負担してもらう」というもの。だから客側の合意が必要であり、過分に取り過ぎることもしてはならず、システム改修などの特段の事情がない限りコロコロ手数料を変えることもできない。手数料徴収分はパーセンテージであらかじめ会員規約に明記しなければならず、その会員規約変更を周知徹底させるために最低3ヵ月間は必要など、具体的なルールはかなり明確だ。

 

実は理事官名通知の前年である2011年に、一物一価指導文書が警察庁から出ている。これによって、全国的に10割分岐営業へのシフトが目立つようになっていった。10割分岐だと再プレー時のサヤは店にも客にもない。しかし10割分岐営業はぱちんこ島についてかなり営業的に苦しいということから、脱等価という方向性もこの頃から増えていった。しかし2012年の理事官名通知で貯玉再プレー手数料徴収がNGとなった。このため、貯玉再プレー上限個枚数の導入店舗が増えていくこととなった。

 

首都圏に住んでいると神奈川、埼玉、千葉と今も10割分岐営業が主流なので見えなくなってしまいがちだが、今は脱等価の県の方がはるかに多くなっている。そういう地域においては、再プレーの上限個枚数対応が主流だ。

 

今回、ガイドライン制定からはやくとも3ヵ月間の周知期間が必要なので、最短で手数料徴収店舗が登場するのは12月上旬ということになる。一応、その方針の店舗もいくつかあると聞くが、全体的にはまだ様子見のところが多い印象だ。それもそもはず、「手数料徴収が解禁されたのではなく、ガイドライン遵守徹底が前提なのでコロコロ変更することもできない」わけだから、1度決めた手数料を維持することになるため、さすがに多くの店舗は慎重に検討しているということになる。

 

今年は専用賞品のガイドラインも制定されたことから、ホールの営業面での自由度は高くなったということは言えるが、二物二価系営業も手数料徴収も「解禁されたのではなくガイドライン遵守が大前提」なので、たとえば「賞品取りそろえレベルが低下した」ら論外だし、手数料徴収もガイドラインの禁止事項をしていたら理事官名通知に違反することになるわけだ。

 

それでもホール職域にとって、手数料徴収は悲願の1つと言える。このガイドラインはそういうものと理解しておけばいいだろう。

 

なお、私の9月の業界短評は「9月のぱちんこ主力カテゴリ新機種では電王の1人勝ちだった」ということになる。まどマギといい電王といい、京楽のぱちんこの勢いが目立ってきた印象がある。

 

とまれ、BT、貯玉再プレー手数料のガイドライン、について今回触れてみた。個人的には来年度のBT機に期待したい。

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  • 1:2024-10-18 09:00:06貯玉システムを導入したのはメリットがあると判断した店側だし、システムの維持費を使用の度に取るのは少し変な気がします。繁盛店では安く、閑散店では高くなるのでしょうか。

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