POKKA吉田が昨年から今年にかけてのぱちんこ業界動向を総括！明るい話題も多いが課題も山積み？
昨年から今年の話
新年明けましておめでとうございます。POKKA吉田と申します。本稿は今年の初稿となります。
さて、昨年はぱちんこ業界にとっていろんなことがあった年だったと言える。
専用賞品のガイドラインが制定され、ぱちんこ島とパチスロ島とで異なるレートの営業が可能になったが、2011年からできなくなっており、この手の営業が復活したのが昨年であった。
再プレー手数料のガイドラインが制定され、12月から一部の店舗では再プレー時に遊技客から玉やメダルで手数料を徴収する営業が始まっている。再プレーは当たり前だが会員管理＋貯玉・貯メダルのシステムが導入されていることが前提だが、依存対策のための自己申告PRGは会員管理のシステムがないと事実上の運用はものすごく難しくなるわけだ。このため、会員管理＋貯玉・貯メダルシステムの維持につながるこのガイドラインの制定は意外に重要だ。なお、まだ専用賞品ガイドラインほどに実行店舗は少ない。これは最短でも12月から可能というガイドラインの中の3か月以上の周知期間規定があったためであり、今年は実行店舗も増えていくことは間違いない。なお、再プレー時に手数料を徴収する営業は2012年からできなくなっており、この手の営業が復活したのも昨年であった。
ぱちんこにおいては3月からLT機が登場し、7月以降はスマパチに限定した規制緩和が続いた（LT2.0や総量計算やCタイム）。さらに今年の7月以降のスマパチに限定した話だがLT3.0も昨年のうちに決まっている。他にもラウンド設計などの設定格差に関する自由度が高くなることがわかっており、その詳細等がそろそろ明らかになると思われる。
パチスロはボーナストリガー（BT）の自主規制が決まったのも昨年の話だ。BT機は来年度、すなわち今年の4月以降の導入となる見込みだが、いつになるかはまだ不明である。AT機とノーマルとの間の射幸性を実現する新カテゴリとして私はかなり期待しているものだ。できるだけ早い時期の登場を望みたい。
さらには業界のパーパス「遊びの力で 心を元気に」が発表されたのも昨年だった。なお、パーパスとは企業経営における新しい理念・指標のようなものであり、業界全体として掲げるというケースは国内外他に例を知らない。このパーパスは他にビジョン、ミッション、バリューが伴うのが通常であり、パーパスから順に「why、where、what、how」の後があてられる。パーパスは元の意味「目的」から外れて「志」「存在意義」みたいな理解をされているが、これらの語のあてかたをわかりやすく説明するなら、「パーパス・ビジョン・ミッション・バリュー」とは「理由・目標・するべきこと・その方法」となる。なお、バリューについては本来は「価値」なのでhowよりもstrong pointとする理解も可能だろう。
パーパスについてこのように開いたのは、要するにぱちんこ業界はまだ「目標もするべきこともその方法や強みも決めていない」からである。既にぱちんこ業界内の主要団体間でパーパスの具体的な協議は進められている。ビジョン、ミッション、バリューの具体化は今の業界の重要課題の一つである。
そして昨年末には自民党が次の参議院議員選挙の全国比例に阿部恭久（あべ・やすひさ）氏を公認した。阿部氏は全国のホール団体である全日遊連の理事長であり、警察庁が認証するぱちんこ業界13団体の連合体である21世紀会の会長だ。昨年末の時事通信の記事での阿部氏の肩書は全日本遊技産業政治連盟会長とサンキョー代表だったが、前者は6年前にぱちんこ業界が立ち上げた政治団体であり、後者は阿部氏のホール法人（屋号はSAP）である。このため、ぱちんこ業界の今年の前半戦は阿部氏を中心に動くことになるだろう。
と、こんな感じで前向きな話を列挙してきたが、まだまだ業界には課題も多い。特に重要なのは好調を維持しているパチスロ市場とは違い明らかに凋落しているぱちんこ市場をどうやって回復させるか。昨年発行のレジャー白書による2023年一年間の参加人口は660万人と過去最低を更新しているが、その内訳はDK-SIS白書から類推すると「ぱちんこの客が減っている」ということになる。また、パチスロが好調なのかどうかは疑義もある。ぱちんこが悪すぎるのでパチスロが好調を維持しているように見えるだけ、という評価をするホール法人もあるのだ。
店舗数減トレンドも止まってはいない。遊技機設置台数は横ばいよりは微減から減少トレンドになっており、遊技機の新台販売台数も年々減っている。優勝劣敗の加速は近年稀に見るものがあり、こういったことも合わせて阿部氏の活躍に期待する業界関係者は多くなっていくだろう。
個人的にはBT機の登場ができるだけ早い時期であってほしい。昨年のパチスロサミットではパチスロメーカー組合の日電協の小林理事長がBT機の登場を「来年度」と明言している。昨年、とある会合で小林理事長とお会いした際には「BT機は同時にいくつも登場した方が盛り上がるだろう」と話をしていた。これはお互いに一致した意見である。それが早いのならばなおヨシ、ということである。
今の話をすると、1月から3月にかけて、ぱちんこもパチスロも新機種のリリースがかなり多くなっており、ビッグタイトルも多い。これらの新機種の結果は今年の遊技機市場全体を占うことになると思うので、3月までの新機種の動向にも注目しておきたい。特に苦境のぱちんこに好調が続く新機種が多めにあってくれれば、と願っているところだ。
とまれ、みなさま、本年もどうぞよろしくお願いします。
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業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。
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