スマート遊技機でホールはどう変わる?「スマート遊技機フォーラム」で判明した最新情報をまとめてみた
スマート遊技機について
先週19日、東京ドームホテルでスマート遊技機フォーラムが開催された。ホール関係者を中心に業界関係者を対象にして開催されたこのフォーラムはリモート中継もされている。今回はこのフォーラムに登壇した者の一人として、内容を簡単にまとめておきたい。
新情報というか、このフォーラムでわかったことは次のとおりとなるだろう。
・スマートパチスロの登場は今年の秋、スマートパチンコ登場は来年の春(今のところ予定変更なし)
・スマートパチンコは初当たり確率下限が350分の1(349.9)に。さらにc時短が緩和される
・スマート遊技機専用ユニットは来年春頃までの供給見込み台数が10~15万台くらい?
性能規制についてはスマートパチスロは既に昨年の段階でアナウンスされているため(有利区間ゲーム数上限規制撤廃)、スマートパチンコの新情報に業界関係者は注目した形だ。特にc時短についてはほとんどの業界関係者が知らなかったことから、今もなお注目されてる。
c時短の話についてはフォーラムでは冒頭部分に日工組盧副理事長(三洋)からの説明と、私がコーディネーターを務めたパネルディスカッション冒頭で日工組榎本理事長(京楽)から説明があった。
お二人の説明は具体的な規制内容の数値的なものではなく、むしろわかりやすい説明に終始していた印象がある。というのも、c時短の緩和によって実現可能な性能はかなり幅広いため、規制内容から性能をイメージすることは難しい。盧さんも榎本さんもその点は全国のホールに伝わりやすいようにという配慮からか、「たとえばパチスロのチャンスゾーンのようなもの、ゲーム数管理のようなもの、そのような従来、ぱちんこでは実現できなかった新しい出玉の波を創出することができる」という感じの説明となっている。要するにc時短をうまく活用すれば(a時短=従来の時短、b時短=遊タイム、の有無や内容の組み合わせも加えれば)、既存機とは全然違う性能を設計することが可能、というイメージだ。既存機ではRe:ゼロの大成功によってc時短を採用するメーカーが増えているしそれによっても従来とは違う性能設計になっている機種も登場しているが、それをさらに上回るという理解でいいいだろう。
一方のスマートパチスロは既に情報が出尽くしていることから注目されていないということにはならないのも先週のフォーラムの特徴だった。今月頭から導入されている6.5号機は特に犬夜叉のホール業績が良く、カバネリもアクエリオンも好調を維持している。有利区間ゲーム数上限規制4,000ゲームの6.5号機ですらこの調子だし、犬夜叉の差枚数は万枚報告も多く、今後登場するメダルの6.5号機はさらにポテンシャルの高いものがいくつも控えていることもわかっている。そして有利区間ゲーム数上限規制が撤廃されるのがスマートパチスロなのだからさらに優位ということも間違いなく、それが今年の11月に登場予定なのだから、新情報はなくとも遊技機市場が盛り上がるという点ではかなり期待感が強まっている。
現状、既存機はP機については性能規制に問題はほとんどなく、6号機はどうしても苦戦が続いていたが6.5号機性能規制(差枚数2,400枚+4,000ゲーム)となってからは必ず良くなるということを5月末から7月頭まで全国行脚してまわって私も説明してきた一人である。そのときは「5号機が新鬼武者で市場が完全に盛り上がったというか大丈夫という確信を得たように、そういう6.5号機が年内に登場するからそれを待とう、間違っても今パチスロ減台をしないように」という言い方をしていた。ところが導入が始まった犬夜叉の営業データが広まった時点で「6.5号機はもう始まったかも」ということを一度だけパネルディスカッションで話をしたのが7月5日の金沢のこと。万発・ヤングを軸に数多くの友人・仲間を連れての全国行脚の最終日である。この日、ヒロシ・ヤングさんとともにパネラーをしてくれた友人でもある射駒タケシさんがはっきりと発言していたことを覚えている。犬夜叉が来てるよ、という話であった。これはまあ導入日を考えればしかたがないが、私としては「年内には出るかもよ」から「もう出たかもよ~」というメッセージにこのような早いタイミングで変更できたのは素直にうれしいところだ。そこにタイムリーに気づく射駒さんはやはりさすが、本格系のパチスロライターである。
さて、こうなると問題は性能規制の内容ではない。「モノがあるかどうか」になってくる。今、世界的な半導体不足が続いている時代だから、「遊技機の販売価格や販売方法が適正ではない」と文句が言えない状況が続いている。今、ホールが遊技機メーカーにモノを言うなら「台数寄越せ」となるのが正しい。
本来はユニット業者職域が説明すれば済む内容なのだが、PSA、認証協ともにフォーラムにおいて登壇はあったがアナウンスはなかった。このため、フォーラムにおけるパネルディスカッション内で私の見込みとして来年3月頃までのスマート遊技機専用ユニットの供給台数見込みが10~15万台くらい、ということは触れた。そのパネルディスカッション内で既存機とスマート遊技機の併設期間についてお話されていた中で、日電協里見理事(サミー)も同じような想定であることを触れられていたことから、この見込みは今のところ妥当な線だと思う。
となるとざっくり全国に400万台遊技機が設置されているとして、そのうちの10~15万台がスマート遊技機に入れ替わる計算である。また登場はスマートパチスロからであり春まではスマートパチンコは登場しない(来年の春に登場予定)なので、パチスロとしては来年の3月までに約10%がスマート遊技機に入れ替わるようなイメージである。
もちろん、ユニットだけではなくて遊技機も半導体不足には違いないのだが、遊技機メーカーはもう半導体不足の時代の調達に舵を切って久しい。通常よりも100~数100倍高い調達コストを支払っているメーカーもあるくらいだ。だが、ユニット業者はまだそのような調達にすべてのユニット業者が舵を切ったわけではない。なので、ホールの需要が高まっていけばユニット業者も本気の調達に舵を切り、10~15万台を超える供給になる可能性はあるにはある。
スマート遊技機は、静音化にかなり期待できるメカ設計となっている。静音化についてはホール4団体とメーカー2団体による検討会が日遊協飯塚副会長を座長にして今年、ずっと議論されてきた。これはもともと遊技機の大型化への懸念等を議論する会だったが、今年からは厚生労働省が騒音暴露についてガイドラインを策定する作業に入ったことから静音化を主テーマとして取り扱うようになった会だ。飯塚さんもパネルディスカッションのパネラーとして登壇されており、この点を具体的に説明していただいている。
スマート遊技機は軽量化にも資する。これもパネルディスカッションの中で日電協大泉理事(オーイズミ)から説明していただいた。スマートパチスロはメダルがないからホッパーもないが、ホッパーがないということはホッパーの中のメダルもない。実はホッパーも重いが中にたまっているメダルがとても重かったりするのである。
玉は1台ごとに遊技機単体の中で循環することから現在すべての店に存在するオートメーション島は不要で、遊技機を設置できさえすればいい(あとは電源と紙幣搬送等が必要だが、玉循環や玉洗浄の設備は不要)。メダルはそもそもない。このためたとえばスマート遊技機専門店が新店出店されるとすれば、従来のホールとは全く異なる店舗設計も可能になりそうだ。
4号機初期の頃には全台クランキーコンドル、全台ニューパルサーのような数十台しか設置のないパチスロ専門店がたくさんあった。そういう店がスマート遊技機をきっかけに登場すればそれはそれで私は楽しみである。
パネルディスカッションではほかに日工組盧副理事長、全日遊連阿部理事長も登壇された。盧さんはたとえば日工組としてのプロモーション(ファンも含めたスマート遊技機についての広報)の計画について具体的にお話いただいた。これは日電協としてのプロモーションについて、里見さんにもご説明いただいている。阿部さんからはスマート遊技機に対する期待できる点に加えて、コスト面などについて注文をつけるなど、素直なホールの立場からのご発言をいただいている。
今回はイベントとしてドレスコードが指示されていたことから私も含めてパネラーすべてがスーツにネクタイだった。余談だが、私がネクタイをしたのはおそらくこの日が今年初である。
とまれ、スマート遊技機フォーラムについては、このような内容となったことをここの読者にご報告しておく。
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