今年のお盆は凪の状態?8月のパチンコ・パチスロ業界動向を解説
今年の8月事情
例年は8月といえば盆であり、世間様は大型連休だし学生は休みだし余暇消費は旺盛になる時期である。旅行や帰省にと多くの人が地元を離れるが、離れない人は逆に暇すぎて身近な娯楽の1つであるぱちんこパチスロに興じることも多い。昭和、平成と8月の特に盆商戦はホールにとっては稼ぎ時であった。
それは今も違わないと思うが、最近はコロナ禍で地域ごとに消費者の各種消費マインドの態様が大きく異なったりするし、今年は盆と休日をセットにした暦も悪い。これはたとえば一般的なサラリーマンに多いが「今年のゴールデンウィークは、盆は年末年始は有給がもしも認められたら○○連休になるかもしれない」なんていう次元の良し悪しの話だ。さらには企業や団体によって休日のサイクルが異なる方式を採用しているところも珍しくないから、暦で収益増、なんて見込みを立てることが難しい年というのが今年の特徴の1つであろう。
そんなこんなのたとえば本稿執筆当日(16日夜)、この日、まだ盆休みの業界企業、団体は多い。基本的にはホールは年中無休だったり入替用の店休日があるだけなのでこういうときも現場は動くが、ホール法人の偉いさんたちがあくせく働いている時期ではない。現場は忙しいが、動きはたとえ集客に沸いても沸かなくても予定調和的なものである。
だが、例年、実は盆の前後に業界が大きく動き出したというケースは少なくない。普段、業界関係者が日中に業界動向等も含めた情報のやり取りをしなくなるこのときに、静かにいろんな動きが検討され、8月末や9月に「え?」ということがある。最近の一番わかりやすい例で言えば5号機のART問題の勃発は8月末のことだ。警察庁がパチスロメーカー団体の日電協(日工組も含む)に対して想定外のかなり厳しいこと(試射試験の方法の変更の事前通告、ペナルティや天井がけしからん、など)をいきなり通告したわけで、ここから5号機は苦難の道を歩むこととなった。5.9号機から6号機に至っては業界シュリンクを促進させたくらいの効果はあって、今、ようやく6.5号機でどうにかこうにか、市場良化トレンドに転換させようと業界挙げて努力している最中である。
ART問題については、当時の警察庁の技術とかを担当する技官(保通協の型式試験を見てたりしていた)である課長補佐の発言で一気にパチスロが暗黒的な時代へ向かうベクトルを続け、規則改正もあってさらに長い厳しい時期を経て今6.5号機に至るのだが、課長補佐が勝手に思いつきで日電協や日工組の幹部にそんなことを言ったわけではない。当たり前だが、事前に警察庁内で協議をして、課長なり局長なりのある程度の諒解を得て警察庁の意思としてやっていたことである。それは間違いなく当時の盆よりも前からの庁内協議であったことだろう。
ということは今もそういうことが水面下で我々の、あるいは業界の知らないところで行われているかもしれないということも可能性としてはある。が、実はこういう世間的な「休みモード」の凪のときは、ART問題とは全く違ってポジティブなことも実施されていたりすることもある。
こないだの参議院議員選挙では業界挙げて応援して惜敗した木村よしおさんを「業界挙げて応援してほしい」という風営法議連からの要請があったのは昨年の8月のことだった。今回の選挙では負けたが、自民党とも風営法議連とも警察庁ともそれによって関係は悪化しておらず、次々点での惜敗ということで木村さんご自身の国政復帰の可能性は実は低くはない。そもそも3年前の参議院議員選挙で全国比例で自民党の公認で次々点で惜敗された方が今年の4月に繰り上げ当選して今現在、参議院議員をやっているのである。木村さんはそのことも踏まえて政治活動続行を宣言し、今もなお、業界の重鎮たちや各団体と密に連絡を取り合って政治活動を続けている。
また、3年前の参議院議員選挙では業界は尾立さんという候補者を応援したが、こちらも惜しくも落選。業界挙げてはじめて国政選挙に挑むということになって負けて、業界関係者の多くが「負けたら終わる」と不安になっていたところ、3年前の8月5日に風営法議連が開催されて、業界と自民党・政治家との関係性を警察庁が再認識して事なきを得ている。
ただ、いろんな方面から事前に細かい話を聞いているが、今月の動きはまだ具体的に確定できるような話はほとんどないように私は考えている。今年は年内までには広告宣伝に関する警察庁の通達が上書きされることが予定されているし、スマートパチスロの登場も控えている。いくつかスマートパチスロの適合が出たという話があるのは幸甚であるが、あってその程度。規制が強化されるとか緩和されるとかという具体的な話は水面下も含めて(広告宣伝の通達については除くが)今のところ確証持ってここで書けることはないような状況である。
6.5号機が続々と今後も登場するにあたって、各6.5号機ごとの能力の評価を業界は今、見極めようと必死だ。ホールにとっては買う買わない転売するしない転売するとしていつ転売する、中古で買うとしていついくらで買う、ということを毎日それこそ人によってはリアルタイムで評価を上書きして、少しでも自社の利益を高めようと努力している人たちが多い。それだけやはり犬夜叉のインパクトは強いし、ホール以外、たとえばメーカーの場合なら「今はこういう性能が評価される」というようなことは販売台数すなわち売上に直結する話であるので、業界中がこの動向にかなり敏感になっているような状況だ。
だから業界動向が大きく左右に動くよりも、凪の盆時期であった方がいろんな意味で安心である。今のところ私の知る限り、今年の盆はコロナ状況等々の読めないことは含めつつも、業界動向的には凪のように判断する。この判断が間違っているような事態が今後あれば、それは来月以降、ここでも触れようと思う。
私は暦と無関係なワークスタイルなので今が盆か正月かはあまり関係ないが、多くの人にとっては休みの期間であり、それももう終わる。ここからの日常は、業界動向的には広告宣伝規制についての通達上書きやスマートパチスロの登場など、業界的にもかなりのエポックメイキングが予定されており、むしろ9月以降が動向鳴動の本番であろう。
そういう意味では、先月の選挙まで別の意味で業界は忙しかった。1ヵ月くらい凪があってもいいと思う。
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