POKKA吉田が事実上可能となった「二物二価」に関するぱちんこ業界の現状を解説!
賞品のガイドライン
この1ヵ月ほどの業界の話題は賞品取りそろえのガイドラインということになるだろう。ホール4団体(全日遊連、日遊協、余暇進、MIRAI)が5月20日付で「パチンコ・パチスロ店営業における賞品の提供方法に関するガイドライン」というガイドラインを制定した。
このガイドラインは風営法の義務である賞品の取りそろえの充実のためのガイドラインなのだが、今回の制定の内容としては「パチンコ専用賞品」「パチスロ専用賞品」の賞品提供が可能になるというところがポイントである。
※余談
ぱちんこ屋は客に賞品を提供することができるのだが、ほとんどの店においてそれを「景品」と呼んでいる(景品カウンターなど)。この辺は細かいことを言うとかなり難解なのだが、簡単に解説すると「賞」というのは、何かしらの実績・結果に対応するものだ。一方の「景」とはどちらかと言えばプレゼントに当たる。なので運動会は「一等賞」とは言うが「一等景」とは言わないし、商店街の福引は「景品」がもらえるが「賞品」とは言わない。そして遊「技」だから、遊技の結果に応じて提供できるものは「賞」品ということになる。が、「景品」と呼んでいる店がほとんどだ。
※余談終わり
今回のガイドラインで専用賞品が提供できるということは、要約すれば「ぱちんこ島とパチスロ島とで異なる交換レートを実現することができる」という意味になる。
風営法の義務には賞品取りそろえ充実以外にもいくつもあって、たとえば「等価交換」義務がある。これは遊技客が得た遊技球・メダルの数の貸料金相当と「等価の物品」なら賞品提供してもOKというものだ。この価格は「市場価格」と警察庁は風営法の解釈運用基準で規定している。なおこの等価交換義務の等価交換とは、遊技客の言う等価交換とは全く意味が違う。
昔はぱちんこ島、パチスロ島とで交換レートが違う場合でも同じ特殊景品(客が買い場で換金可能な賞品)を提供していた。たとえばぱちんこ島が4円貸30個交換、パチスロ島が20円貸5枚交換の場合、買い場の買取価格1万円相当の特殊景品を得るために遊技客が必要な遊技球は3,000個、遊技メダルは500枚となる。が、貸料金換算すると3,000個は12,000円、500枚は10,000円である。一つの物が二つの価格になっているこの状態を一物二価と言う。基本的に市場価格については、定価のある物品(書籍やたばこなど)を除けば価格の店舗間格差には警察は寛容だ。だが、同一店舗において一物二価となっている場合は「どちらか少なくとも一方の価格は市場価格ではない」と解される。このため一物二価状態は等価交換違反となることが確定してしまうので(風営法第19条違反)、これをヤメろと警察庁が指導したのが2011年の10月のこと。
警察庁の指導よりも前にいくつかの警察本部による一物一価にシロという指導があったので、その対応のために、ぱちんこ島とパチスロ島とで異なる特殊景品を提供すれば、等価交換違反とはならない。この状態を二物二価と業界では呼ぶが、2011年10月の警察庁の一物一価指導と同じタイミングで警察庁は二物二価を風営法的な根拠を示すことなくヤメろと言い続けてきた。そして業界側はそれに対して抗うことをしなかったために一物一価にした上で二物二価を選択することもできなくなっていく。
つまりこのタイミングでぱちんこ島とパチスロ島(2011年当時なら低貸島も含めて)異なる交換レートだったものを統一しなければならなくなった。業績的にはパチスロ島が好調だったこともあって、パチスロ島の主流である5枚交換(遊技客の言葉での等価交換)に寄せていく店がほとんどになった(5枚交換に対応するのは25個交換。これらの呼称は、4円貸20円貸営業の100円賞品への対応個枚数であり地域によっては200円賞品への対応個枚数で呼ぶこともある)。
それだとぱちんこ島の営業が厳しいということで脱等価という動きが大阪などで始まり東京なども追従していくつかの地域では脱等価となっている。ただ、脱等価していない地域もまだまだ多い(たとえば東京都の隣県はいずれも脱等価していない)。
そんな中、水面下ではいろんな動きがあったのだが、賞品取りそろえ充実のためのガイドラインをホール4団体がとりまとめ警察庁の確認ももらった上で今回、専用賞品の提供が可能になったわけだ。要するに二物二価が事実上可能となったことになる。
既にぱちんこ島とパチスロ島とで専用賞品の提供を始めて異なる交換レートにした店もあるが、全国的には動きは鈍い。専用賞品を準備しているところもあるが、準備を始めていないところもある。基本的には賞品の取り扱いは「問屋」が主導する(これまた賞品問屋と言わずに景品問屋と呼ばれることが多い)。問屋によって準備の有無が異なるが、準備していない問屋も多いようである。
基本的に脱等価を実現した上で地域のスキーム(特殊景品流通スキーム)が統一されていて、しかも大都市ということで言えば、それは東京都と大阪府ということになる。いずれも地域スキーム普及率100%ではないがかなり高い割合で普及している。なので東京都と大阪府が今回のガイドラインにどのように対応するかが注目されるが、今のところは表立って動きはない。もっとも、脱等価はもちろんそもそも俗に言う三店方式とは1961年の大阪方式が発祥であり、こういう件に対して歴史上最も迅速な対応をしてきたのは大阪である。なので、大阪がガイドラインにいつどのように対応するのかを私は注目しておきたい。
ところで今月24日、最大のホール団体であり、ぱちんこ業界団体の中でも最大の団体である全日遊連が総会を開催する。今年は全日遊連の役員改選期なのだが、阿部理事長以外に立候補者がいないため阿部理事長が再選することになる予定だ。そして全日遊連の総会後に業界の合同祝賀会が開催されることになっている。そこで業界全体(パチンコ・パチスロ産業21世紀会)のパーパスが打ち出される予定になっている。私はその内容に最も注目しているのだが、来週のことなので必要ならば来月にもその件については触れよう。パーパスという言葉は聞き慣れない人も多いかもしれないが、「存在価値」や「社会的意義」や「志」などと理解しれもらえればいいだろう。
今回のガイドラインへの対応は、基本的には問屋の対応の有無で各ホールが交換レートを変更する等できるかどうかが決まる。なので、実は言うほど話題沸騰ではないし動きは鈍い。もっと専用賞品提供店が増えてその店が競合他店を圧倒するようなら話は別だが、そうじゃない限りは様子見の問屋が多く様子見のホールが多くなっている。私の印象的には東及び北日本よりも西日本の方が専用賞品提供に積極的になっているが果たして。
今後、今回のガイドラインに対応する店がいつ頃増えていくか、いつ頃一気に普及するか、まだ不明である。私も多くの問屋と同じく全国の状況にアンテナを張りつつ様子見を続けていこうと思う。
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