POKKA吉田がボーナストリガーの詳細を解説!どんな台が登場するかは各メーカーのセンス次第!?
ボーナストリガー(BT)
前回ここではeユニコーン再来の好発進について触れた。そしてそこから本稿を用意するまでの約1ヵ月の間に業界にはかなり多くの動きがあった。
新しいところでは9月2日付制定のホール4団体による「パチンコ・パチスロ店営業における貯玉・再プレーシステムに関するガイドライン」という枠組みがある。が、私の注目はボーナストリガー(BT)なので、こちらについて少し触れておきたい。
8月23日付で技術上の規格解釈基準が改正された。ここで言う技術上の規格とは「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」という国家公安委員会規則の別表のことであり、今回は回胴式遊技機の技術上の規格(別表第5)の解釈基準が改正されている。
この技術上の規格とは型式が検定を受けることができる範囲内の性能規定と考えてもらえればいい。保通協やGLIJAPANが型式試験を実施しているが、この型式試験というのは「申請された遊技機の性能が技術上の規格に適合しているかどうかをチェックするもの」だ。だからこの試験は適合か不適合か、というものになる。合格や不合格という試験ではない。
この型式試験に適合した型式は、当該メーカーによって全国47つある公安委員会に検定申請される。型式試験適合が検定の運用上必須要件なので、このあと当該型式は公安委員会の検定を受ける。検定を受けた型式に属する遊技機はホールに設置することができるという法的枠組みだ。
なお、型式というのはとてもわかりづらいが、遊技機のことを指しているわけではなく、イメージとしては「性能」「設計」などを指していると思っていただければいい。今は技術が進歩しており映像や可動役物、高性能CPUなどのコンピュータ化が進んでいるから「性能」と言う方がわかりやすいのだが、遊技機はそもそも「機械」である。同じものを大量生産するときに必要な「型」をチェックして問題がなければまとめて全部その型式に属する遊技機は問題がないということになる。遊技機一つ一つをチェックしていると全国に数百万台存在するわけで警察業務はパンクだろう。そういう制度設計が昭和59年の法改正(施行は昭和60年)にあって、そこからこの制度がスタートして今に至っている。
性能規制の枠組みはかなり複雑になっていて技術上の規格よりも上位の規制として風営法施行規則もあるのだが、今回は技術上の規格解釈基準の改正だけだ。この技術上の規格解釈基準は文字通り「解釈」なので、国家公安委員会を経ずに警察庁内で改正できる。回り道し過ぎた感もあるが、8月23日の改正によってBTが実現可能というのが流れだ。
BTは規定数を固定するということで、ボーナス間ゲーム区間ごとに確率設計の異なる遊技が可能になるというかなり画期的なものだ。おそらく本稿を読んでいる人はパチスロサミットONLINEのコラムを読んだ人だと思うが、もしもまだならそちらも読んでもらいたい。
>>【パチスロサミットONLINE】 新たな遊技性「ボーナストリガー」登場!
ノーマルタイプのパチスロについては多くの人が「6種類まで確率を設計できる」と「誤解していた」と思う。6種類とは設定が最多で6段階だからだが、これは間違いだ。実際には各設定ごとに各規定数ごとに確率を設計できる。規定数とは○枚掛けの枚数のことなので、パチスロの場合は規定数は3種類。すなわちノーマルタイプのパチスロは「18種類(6段階設定×3つの規制数)まで確率を設計できる」のだ。
多くのノーマルタイプのパチスロは、規定数は客が任意で選択する。しかし客は一般遊技は3枚掛けで遊技することがほとんどだ。ボーナス成立後に1枚掛けで入賞させることはあっても一般遊技をずっと1枚掛けで遊技する酔狂な客なんていない。これは単純に設計確率が3枚掛けが客に最も有利になっているから、である。
従来から規定数は固定しても構わなかったので「3枚掛け専用機」などのようなものは4号機時代から存在している。しかし「あるときは3枚掛け固定、あるときは2枚掛け固定」というように、規定数を変化させつつ固定することは認められていなかった。
今回、解釈基準の改正によって可能になったのは「ボーナス終了時にどれか一つの規定数に固定すること」なのである。
3枚掛けでは通常時のようなボーナス確率設計だが、2枚掛けでは客に有利な高いボーナス確率設計にしていれば、3枚掛け時に「2枚掛けに固定してくれるボーナスを引いたら客にとって有利」になるし、2枚掛け時に「3枚掛けに固定するボーナスを引いたら客にとっては有利な状態が終わる」ということになる。要は「規定数をどういう条件でどこに固定するか」という性能と「規定数ごとの確率設計」という、二つの設計によっていろんな性能のパチスロが可能ということになるわけだ。
なお、固定する規定数はボーナス図柄ごとにあらかじめひとつだけ定めておくことができるだけだ(解釈基準では「図柄」とは表記しておらず「条件装置」となっているが)。だからたとえば「赤7後に80%で2枚掛け、20%で3枚掛け、という設計は不可能」となっている。
他に言っておくとすれば、このBTは「ナビとRTは禁止」なのでノーマルタイプのみ搭載可能な性能だ。また、BTはスマスロかメダルのパチスロかを問わずともに可能である。
規定数を固定する先をボーナス図柄によって変化させるという新しい性能は間違いなくノーマルタイプの枠を超えたパチスロにつながるだろう。パチスロサミットONLINEのコラムではATとノーマルの中間にグラデーションとして存在するイメージ図を掲載しているが、このBTのグラデーション幅はかなり広いとも思っている。つまりATに寄せたBTもノーマルに寄せたBTも、あるいはまったくの新感覚のBTも、作ることができると思う。すなわち、どんなBT機が登場するかは各パチスロメーカーの開発企画のセンスそのものだ。
BTというネーミングも良い。ぱちんこ市場は現在LT機が牽引しているが、「運(ラッキー)がトリガーになる」というのはわからんでもないがピンと来ない表現である。しかしBTは文字通り「ボーナスがトリガーになって規定数固定先が変化する」のだから、性能そのものの名称だ。既に浸透したLTと似ているのも好都合だと思う。
いつ登場するかはわからないが、もうすぐリアル開催のパチスロサミット2024である。10月5日(土)に東京はベルサール秋葉原にて開催される。パチスロサミットONLINE上にコラムがすぐに掲載されたのだからリアル開催のパチスロサミットでもBTについて積極的な発信がされるのはほぼ確定事項だろう。続報は秋葉原から発信されることになりそうだ。
私はBTにはかなり期待しているので早期の登場を期待したい。まずは10月5日のリアル開催のパチスロサミットに注目しておこうと思う。
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