脱力すること【POKKA吉田コラム #28】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

先月ここで触れた規則改正の記事を読んでいただいた読者にとっては、そして私にとっては、一週遅れくらいの感じなのだが、3月末頃から新聞等が警察庁のこの方針を報じ始めている。

さらには、これも読者や私にとっては驚きになるのだが、先月触れたような内容を8 00字ほどにまとめて某紙に記名記事を入れたものが数日前に掲載されたところ、ぱちんこ業界内、それもホール経営者らの間で話題になっているというのである。

 

規則改正の内容については、2月に警察庁が業界6団体に通告した以上の詳細部分はまだ不明である。

新聞等が3月末に報じるようになったのは、2回目のギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が3月31日に開催されたからだ。

警察庁が事前にまとめていた方針をここで政府の方針に格上げした、と言えばちょっとニュアンスは違うが当たらずとはいえ遠からず、である。

私にとっては特に新しい情報はない。

 

こんな感じで、ぱちんこ業界というのは、極端に言えば朝三暮四のごときである。

この故事は目先のことしか見ないことを揶揄するものだ。

 

ある人が飼っていた猿に「朝四つ、暮四つ」ずつ餌を与えていたのだが、家計が苦しくなったため朝の餌を与える前に次のように言った。

「これからは朝三つ、暮四つ餌を与える」

猿たちは今から貰える餌が一つ減ることに猛反発する。

するとその人は機転を利かしてこう言った。

「これからは朝四つ、暮三つ餌を与える」

すると猿たちは大喜びしたという。

 

合計八つが七つになることを考える前に、今目の前の数を考えることを揶揄する、あるいは目先のことしか見ない者を騙す、みたいな感じで使われる言葉である。

 

私は2月10日に警察庁が業界6団体に依存対策のために規則改正を数か月ですると通告したことを、約10日後からいろんなところで盛んに記事にしていた。

 

私が運営しているサイト(有料会員のみ、ホール企業など業界向け専用)や私が発行人をしている業界紙などはもちろん、ここでも先月触れたし一般紙にも書いてきた。

 

しかし同じようなことはあって、これらについて、実は4月になってもまだ知人の業界関係者からの問い合わせが多いのだ。

それも説明することは、記事そのものである。

それ以上のことはないのだ。

なんだ、俺は読み聞かせの人なのか?

 

ホール関係者を中心に「強制撤去」という言葉に反応するというのがその理由なのだろうが、先月ここでも触れたとおり風営法施行規則第8条が改正されれば既存のすべての型式は法的に強制撤去になるのは不可避である。

経過措置が設けられるからその分は設置期限が延びるよ、というだけの話だ。

それを説明するとほとんどの人は納得するのだが、私が書いてきた一連の同じ内容の記事には、それがすべて書かれているのである。

 

なんか、今になって改めて朝三暮四という言葉を思い出す。

今は規則改正の他にもたとえば「くぎ確認シート」の運用が始まっているし、関係閣僚会議によって最新の調査によるギャンブル等依存症の数値も(暫定値とはいえ)上書きされ、など、いろんな新しい情報が一般的に報じられている。

それらに接していない層が話を聞いて「すわタイヘン」となるのならまだわかるのだが、それらに常に接しているはずの層が話を聞いてほぼスルーしているのに、何かことがあると「すわタイヘン」となるのは、残念ながらぱちんこ業界という市場規模の大きな巨大産業の日常なのである。

 

たぶん、くぎ確認シートについて、業界巷間的に大きな騒ぎになるとしたら、どこぞの所轄が立入り時にシート確認を要求して釘調整がバレた、というときだろう。

運用は4月1日から始まっているが。

たぶん、上書きされたギャンブル等依存症の数値についても大きな騒ぎになるとしたら、国会でギャンブル等依存症対策法案が提出され審議が本格化して業界バッシングが加速したときだろう。少なくともマスコミに公表されたのは3月31日であるが。

たぶん、規則改正について大きな騒ぎになるとしたら、改正概要が警察庁から業界等に通告され、その内容の厳しさが明らかになったときだろう。警察庁が業界6団体に通告したのは2月10日であるが。

私としては「なぜもっと前にわかっていたのに今騒ぐ?」となるし、わかってもらえるように情報をかなり積極的に発信してきたという自負もある。

まず言わないことだが、心の中では「それ、今さら遅いぞ・・・」といつも思っている。

 

こういうことをもう20年ほど繰り返している。

そしてケースバイケースでその想いの濃淡はあるが、こういうときは単純に脱力してしまうのだ。

「何のために誰のために俺ってそういうことを書いてるのだろうか」と。

 

実は、エンドユーザー、すなわちみなさん方ここの読者層も含めて、比較的こういう情報には先反応がはやいという印象が私にはある。

他にもエンドユーザー向け媒体で書いたり出たりすることが多い私にとって、一般的なエンドユーザーの反応とは次のとおりになる。

・興味のないことには、いずれさらに情報流布が拡大してもそのまま興味がない

・興味がある人は情報流布拡大の前にかなり興味を持つ

 

案外、業界関係者よりもエンドユーザーの方が、私の発信する情報に対して素直な反応をしているのではないかと私は考えております。

そう思うから、ここも含めてエンドユーザー向け媒体のオファーは可能な限り引き受けているつもりです。

ホントは今月はくぎ確認シートや依存などのタイムリーな話でも良かったのですが、業界関係者のこういう反応もあるということをみなさんに知ってもらう良い機会になるかと思った次第です。

 

それでも他に能のない私なので、業界向けの情報発信はこれからも続けて行くしかないのですけどね。

ではまた来月に。

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