みなし機や基本計画のこと【POKKA吉田コラム #52】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

4月は業界的にはかなり慌ただしい時期となった。

しかも表題の件はともに4月19日、同じ日の出来事である。

4月19日、政府はギャンブル等依存症対策推進基本計画を閣議決定した。

既に基本計画案は3月に決まっており、同月パブリックコメントも実施していたものだ。

これはギャンブル等依存症対策基本法の規定に基づいている。

基本計画では、事業者側のやるべきことも定まっている。

事業者側とはぱちんこ営業者、公営競技ということなので、ぱちんこ業界的には重要な話だ。

閣議決定は朝一番のことであった。

このため、午前中のニュースで各局が報じているのだが、ニュアンスとしては「事業者側に強制力がない」ということを強調している報道が多かったように記憶している。

 

もともと、依存対策はIR推進法成立時の附帯決議に基づいて議員立法で成立したものだ。

日本版カジノを実現するために、依存対策が前提になるという流れであり、かつ、今は存在しない日本版カジノだけではなく、今も存在しているぱちんこや公営競技も含めた依存対策を、という流れである。

カジノ法制化は昨年、依存対策基本法が成立した後にIR実施法が成立している。

あとは、詳細部分(カジノ管理委員会設置や各政令等)の詰めがあり、制度としては出来上がる。

同時にIRをどこに作るか、カジノ参入事業者をどこにするか、などが決まっていくことになる。

その流れを政府が進めるために必要なことが依存対策基本法の成立であり、基本法の規定に基づく基本計画の策定であった。

 

基本計画の内容としては、案とほとんど変わっていないので特に新しいことはない。

ぱちんこ業界にとって影響が大きいと思われるのは「広告宣伝の自主ルール制定(全日遊連の共通標語「のめり込みに注意しましょう」などの取組みみたいなものをもっと進めるような感じ)」や「アクセス制限」であろう。

特にアクセス制限は、会員管理をしている店でないとゲリラ的な対応しか採れない上、家族申告による本人の入店拒否についてはさらに対応の難易度は高い。

既にアクセス制限の仕組みを導入しているホール企業はあるが、まだその普及率も低く、アクセス制限の精度も向上させる余地が大きい。

基本計画では将来的には顔認証システムも利用してより確実に制限できるように、という方向に努力しろ、ということになっているが、一朝一夕にできるものではない。

ただし、一昨年からこれら基本計画に盛り込まれている内容については、警察庁からぱちんこ業界各団体が指導されており、アクセス制限に関しては業界の設備職域の団体などで研究・開発などが水面下で進んでいる。

ぱちんこ営業所内のATMについては、案から少し「後退」したような印象がある。

案では「撤去」となっていたものが、閣議決定では「撤去等」となったからだ。

これは必ずしも撤去する必要があるということではなく、撤去あるいは他の手段でいろいろ対策してね、というニュアンスである。

先月放送した「誰も教えてくれない業界の話」の中で、このATM撤去についてまったく意味がないということは強調させてもらったが、政府は少しまともな基本計画に修正したということである。

ただし、反ぱちんこ反カジノ反ギャンブル層にとっては、この後退は座視できないものであろう。

今後、国会内外で批判の声は強くなるような気もする。

 

これら基本計画は政府が達成状況を調査して公表していくことになっている。

達成状況が悪過ぎる場合や、計画が奏功しないとき等に、基本計画を見直したりすることも視野に入っている。

さて、基本計画が閣議決定された同日、4月19日。

全国のホール団体である全日遊連の全国理事会が開催され、旧規則のいわゆるみなし機の撤去について決議されている。

それによると射幸性の低い旧規則みなし機のうち昨年1月31日までに検定・認定が切れたものについて、撤去期限は今年の12月31日となった。

警察庁は国家公安委員会で規則改正が決まった一昨年の10月から11月にかけて、旧規則みなし機の取り締まり猶予について「適宜の措置」というかなりヤヤコシイ方針を決めて11月の頭に各警察本部に通達している。

復習すると、「対象機リスト」というものがまずある。このリストに掲載されるのは「甘デジ、羽根モノ系、ノーマルタイプRT非搭載」のものだ。

このリスト掲載型式のうち、認定が昨年1月31日までに切れたものだけ「適宜の措置」として、改正規則施行後もしばらく取締らないというものだった。

この適宜の措置は、いつまで継続するか一昨年の段階では決まっていなかった。

警察庁は「改正規則機の供給状況を見ながら検討し業界6団体に事前に通告する」としていた。

しかし、改正規則機の適合率が低い状況が現在まで続いている。

そんな中、水面下で全日遊連と警察庁とが協議を繰り返しており、今回、全日遊連の理事会決議となった。

これはあくまでも民間団体である全日遊連の理事会決議事項ではあるが、警察庁が協議の上了解したものであり、警察庁の方針ということもいえる。

つまり「適宜の措置は今年いっぱいで終了」ということになったということだ。

 

思い出すのは平成16年。この年の7月1日から新しい規則が施行された(今から言えば1つ前の規則)。

このときも同様の問題が発生したが、警察庁は当時の言葉で「激変緩和措置」ということを方針として決めている。

これは「旧規則みなし機すべては平成16年いっぱいまで取り締まらない」ということであった。

すなわち平成16年の取り締まり猶予は半年間。

今回は、旧規則みなし機すべてではなく対象機リスト掲載型式で、かつ、認定が昨年1月31日までに切れたものという条件が付いているが、取締り猶予が1年と11か月となった。

その意味では、近年珍しく全日遊連が警察庁に譲歩させたと言えるだろう。

なお、全日遊連の理事会決議の撤去期限というのは、あくまでも適宜の措置対象のものについて、である。

今年は秋から年末までに約15万台のパチスロが一気に経過措置終了となる。

まどマギやバジ絆、ハーデスなどが都道府県によって時期は違うが認定が切れていく。

これらについては全日遊連の理事会決議には関係がなく、認定が切れる日が撤去期限となる。

 

この点、実は業界関係者にも誤解が多く、さらにいえば警察側(主に所轄警察署)にも誤解が多い。

それもそのはずで、適宜の措置がかなりヤヤコシイ上に、警察庁が「適宜の措置の方針を懇切丁寧に説明することを業界各団体に禁じた」からだ。

警察庁が説明を禁じたのは「警察庁が違法状態の旧規則みなし機をしばらく猶予すると言っていると言われたくない」からなのだが、それはともかく、このため、誤解はいまでも多くなっている。

 

読者にとってもヤヤコシイ話だと思うが、業界関係者にとってもヤヤコシイ話だからしかたがない。

 

他にも2024年に発行される新紙幣のニュースがあったり、とかく慌ただしい一か月だったのが4月だ。

その慌ただしさを経て、前例のない10連休を迎えた。

そして今、10連休が明けた。

今年の年末は場合によっては9連休になるというから、今年は暦もいろいろ異例である。

さて、5月以降、どのような業界状況になるか。

また本稿で触れていきたいと思う。

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