集客回復傾向の6月の注目機種、中古価格100万超えの「源さん超韋駄天」に対して他メーカーも同タイプの開発に動く!?
回復途上の6月
6月は、業界的には全国のホールが再び営業出来るようになった月とも言える。前半は集客がなかなか回復せず苦労した店がとても多い。全国的にこの頃の集客(稼働率)はざっくり3割以上(平常時と比較して)減少していた。業界巷間的な評価は「年配者はそれでもコロナが怖いのでなかなか戻ってこない」とか「緊急事態宣言中に遊技しないことに慣れた客がなかなか戻ってこない」とかが一般的だった。その事実関係はもっとちゃんとした分析をしないとわからないが、客が減っていたのは事実である。集客減が2割くらいに留まっているホール法人は優秀な部類とされていた。これではどんなホール法人も苦しい。
6月後半は集客の回復がある程度明確に出てきた時期でもある。平常時に完全に戻るというようなマスデータはないのだが、徐々に少しずつ回復してきたのも事実だ。その回復傾向は途中でほぼ停滞するようになって今現在に至る。8月には盆休みという大型連休が通常はあったはずだが、今年はテレワークなどワークスタイルの激変をしてしまっており、緊急事態宣言中に長期休暇となった企業も実際は少なくないので暦がどこまで正常化してそれが集客に結び付くかはさっぱりわからない。緊急事態宣言がゴールデンウィークを内包してしまったことから、すべての余暇産業は大型連休飢餓感を持っているが、そこまで日本社会が完全に正常化するのはいつか。この盆、というのが理想だが、どうなるか。
6月は遊技機の中古相場に大きな変化というか、注目機が存在した。導入から稼働成績が好調なシンフォギアはもちろん、下馬評では注目とは言われてなかった源さん韋駄天が注目されている。源さん韋駄天は中古価格で100万円超えも珍しくはない。
本来、4月末の導入だからもっとはやく跳ねてもおかしくないところが異例だろう。全国のホールの営業状況が休業がほとんどという時期を経て、営業再開グラデーションも発生し、全国的な指標として業界内での認知が遅れたためだろうと推察する。
緊急事態宣言中は休業地域で営業を続ける店の絶好調稼働が話題であった。しかし、少しずつ周辺の競合店が営業を再開していくと、あるいは時期で一斉に営業再開すると、均して稼働は大幅低下という流れになっていく。6月の全国的な稼働推移はさっと先程触れたが、営業状況もあって稼働がまだらになる。いくつか全国的な稼働を推計できるマスデータが業界にはあるのだが、営業再開時のデータの取り扱いも整備しきれていなかった。
たとえばほぼフル稼働という店(皆無だけど例示のために)が40数%の稼働になったりしていた。これは間引き営業の台数を「設置台数」に含めていたことから発生するものである。稼働率集計の分母を営業台数になっているかいないか、これもまだらである。
それもまあ無理はない。
コロナ感染防止対策として間引き営業というのが緊急事態宣言前から出始めていたが、ホールにはより一般化した分煙ボードがある店が多い。横を飛沫感染からふさいでいるのに間引きをする必要がないという判断をした店が一つでもあると、周辺店舗はすぐに追随する。今はボード未設置の店が透明性のボードを設置するときの行政手続きも簡素化された(警察庁の通達でもちろん感染防止に資するから)。ホームセンターなどで材料を買ってきて手作りで簡易なものを設置する店も増えている。こうなれば間引き営業はなくなっていくのも無理はない。
6月、全国の営業再開となってからはいくぶんこういったまだらな状況を持ちつつそれは自然に改善されて今に至る。全国的な営業状況のマスデータが徐々に精度を復活させていく過程で源さん韋駄天のアウトの伸びも確認されていった。アウトとはハンドルから玉が打ち出された数のことであり、これは1分間約100個と常に決まっている。左打ちしようが右打ちしようが通常時だろうが大当たり中であろうが、発射速度は原則変わらない。このため、機種ごとの打ち出し平均数は「客がハンドルを握っている時間」を示すし、これは正確だ。
結果、気が付けばシンフォギアを抜いて中古相場で現在最も値段が高いのが源さん韋駄天ということになる。
多くの遊技機メーカーは、この成功例を自社の開発にトレースさせている。ぱちんこ業界はホールもメーカーもそうだが「他社の成功例を自社にすぐトレースさせる」カルチャーが根強い。間引きをしない店が出てきたら翌日から自店も間引きをしない、というのと同じように源さん韋駄天のようにRUSH中の出玉スピードがはやいものが受けたら同じように自社の機種の仕様も変えていく。ホームセンターにいって人海戦術で準備すれば済むボード設置とは違い、機種開発は一日でできるようなものではない。
しかし、いくつものメーカーが開発関係者が残業を繰り返してメイン仕様の変更などに対応しているという話をよく聞く。源さん韋駄天が適合したのは事実だから、他メーカーにもチャンスはある。
イメージ的にはどうだろうか、北斗ケン・ラオウが大ヒットした時期か、あるいはもっと前の慶次(雲)がヒットした時期か。ぱちんこメーカーのほとんどが「マックスタイプ」に注力していた時期に少しずつ近づいている。慶次(雲)→北斗ケン・ラオウ→牙狼XXとマックスタイプの市場は完全にカテゴリとして認知されていった。源さん韋駄天効果でそのようになっていくかどうかは注目だが、結論が出るのは型式試験の期間も考慮すれば数か月先のことだろう。
現在、6.1号機に期待される「高純増・低ベース値AT」の登場がなかなかない。これは、今のパチスロメーカーにとっての最重要課題の一つである。メーカー団体である日電協も何もせずに座して待っているわけではない。いろんな対応検討や協議を警察庁も含めてやってきているのが5月、6月である。ぱちんこは少しずつ遊タイム関係の機種も登場しており、6.1号機の方の盛り上がりが寂しい。こちらは早晩、なんとか実現できるようになっていると私は期待しながら待っている。
6月は通常総会のシーズンだった。
私は例年、いろんな業界団体の総会に取材で行くのだが、今年は一度も行っていない。コロナの影響で総会の規模も縮小され、取材の規模も少なくしたからだが、主要業界団体(全日遊連、日遊協、日工組、日電協など)は役員改選期もあったがトップ人事はそのままだった。特に全日遊連が阿部氏を理事長に再任したことには安堵した。
都遊協が5月25日に執行部総辞職となって6月の総代会で役員人事ということになっていたが、都遊協が阿部氏を理事長に再任しなければ全日遊連の理事長立候補資格がなくなってしまう。既に全日遊連は阿部氏続投で固まっていたことから、どうなるか注目だった。都遊協は無事阿部氏を理事長に再任し、全日遊連も同様である。
5月に業界が政府から得た、公的融資対象職種化と経過措置延長は、業界側のロビイングの賜物だ。業界6団体(全日遊連、日遊協、日工組、日電協、全商協、回胴遊商)がその中心だが、このグループのリーダー的存在は阿部氏である。
当たり前のことだが「ぱちんこ業界とは何か」。それは「全国のぱちんこ店と、それらと取引をする者たちの総体」である。全国のぱちんこ店の大部分が加盟するのが全日遊連だからそこの理事長が業界の代表者と言っても過言ではない。
警察庁に認証された業界14団体の連絡会であるパチンコ・パチスロ産業21世紀会。その代表は全日遊連理事長が担い、その事務は全日遊連事務局が担う。政府の依存対策の関係者会議も業界の代表として唯一人参加しているのも阿部氏だ。ここがこのタイミングで入れ替わるのはとても不安だった。都遊協、全日遊連の見識に感謝したいと思っている。
7月はもっと明るい話題が増えていることを願います。
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