警察庁の姿勢が変化?POKKA吉田が余暇進の秋季セミナーで行われた行政講話を解説!
余暇進秋季セミナー 警察庁のトーンが変化
ホール団体の1つである余暇進の秋季セミナーが11月26日に開催された。毎年恒例となっている警察庁生活安全局保安課の業界担当課長補佐が講話している。これは講話後に余暇進を通じて業界全域に配布される警察庁の公式メッセージとなる。このため講話内容全文は業界紙のどこのHPでも構わないのだが、余暇進の監事を遊技通信社の代表である伊藤實啓さんが担っているので遊技通信のHPをご紹介しておこう。
>>【遊技通信web】余暇進秋季セミナーにおける警察庁生活安全局保安課課長補佐 講話全文
さて、講話の内容は4項目にわかれているが、重要なのは2項目だと私は考えている。そのうち最も重要なものが広告宣伝ガイドライン関係だ。文書ファイルで公式に配布される官僚が話をするものは、原則的に話をしている順番がその省庁における優先順位そのものだ。だから広告宣伝ガイドラインが最も重要だと警察庁は考えていると言える。
「健全化の取組の推進」と言っているが内容は広告宣伝ガイドラインのみだ。先日も是正勧告集がホール4団体から配布されたのだが、それを踏まえて講話は「業界の是正勧告事例集等を見ると、ガイドラインの趣旨を理解していないと思われるものや、ガイドラインの潜脱を試みる行為が行われている状況が見受けられます」となっている。そしてこのままでは業界全体にとってマイナスだ、と続く。
さらに講話では「業界内における自浄機能を発揮した対応をしていただくことが重要」となっている。つまり「オマエらでなんとかしろ」と兼松課長補佐は言っているわけだ。
ポイントとしては「警察庁のトーンが少し厳格化した」ということと「警察側は積極的に介入したがらず業界側にやらせたい」ということであろう。
広告宣伝ガイドラインの運用は2年近く続いており、違反が疑われる広告宣伝を通報する仕組みがある。そして違反だと判断された場合は是正勧告が出される。その是正勧告に応じなかったホールは現在のところ1店舗もない。それは当たり前だ。違反と判断するのも実務上明らかなのを除けば実際は警察庁だし状況は各地の警察本部に情報共有されており、是正勧告に応じなければ確実に行政処分(指示処分や営業停止命令)に処されるからだ。
しかし是正勧告に応じた後、ガイドライン違反を再び繰り返し、再び是正勧告されそれに応じ、ということを何度も繰り返すホールが出てくるようになってきた。当該ホールからすれば「是正勧告が出たら応じればセーフ」くらいの軽い気持ちかもしれないが、そういう状況を警察庁は把握しており危機感を持ち始めたということである。
この通報から是正勧告、そして最終的には行政処分という流れの中で「違反かどうかの判断」と「行政処分」はそれぞれ警察庁、各警察本部の領分であり、業界側には権限もなにもない。しかしその判断が出るまでに何日も要している。ここが改善されることが重要であり、悪質な繰り返し店舗は行政処分に処すことがガイドラインの適切な運用を担保する力となる。つまりガイドラインについての適切な運用が可能になる力が「オマエらでなんとかしろ」ではまず発揮できない状況となる。
こうしたことも踏まえて今年になって遊技産業健全化推進機構との連携強化ということをホール4団体は始めている。機構は元々不正改造遊技機がないかどうか任意で立入りする組織であるが、計数機の不正があるかどうか、あるいは遊技くぎ問題のときの他入賞口調査など、実はかなり行動範囲が広い組織でもある。
機構との連携強化でも状況が危惧されるということでの今回の講話のトーンの変化なので、今後、来年にかけてさらに適切な運用を担保する施策をホール団体は考えて行くことになる。今、広告宣伝ガイドラインは第3版についてホール4団体と警察庁とが協議しているので早晩、第3版が発出される予定だ。そういうことも踏まえて警察庁のトーンの変化がポイントになるという講話内容だった。
次に重要なのは「依存問題」だ。
日本政府は内閣官房長官を本部長としたギャンブル等依存症対策推進本部を設置している。この本部によって政府の依存問題対策は進められており、対策の具体的な内容はギャンブル等依存症対策推進基本計画である。この基本計画はギャンブル等依存症対策基本法に基づいて3年ごとに見直し(要するに改正)しなければならず、次の見直し期限が来年3月末となっている。
よって、講話で述べられた内容は来年の「新しい基本計画に盛り込む内容」と解することができる。
要約して列挙すれば、
・自己申告PRGと家族申告PRGの運用の改善
・両PRGの利用者の拡大
・広告や啓発の広報
・有識者会議など第三者機関の活用
・各自治体との連携強化
となる。
残り2項目については些事とまでは言わないが、警察庁の考える優先順位的にはとりあえず触れなくとも良さそうだ。
さて、最後に簡単にこの2項目の講話内容について私の評価を述べておこう。
まず広告宣伝ガイドラインについては「違反かどうかの即日判断」「是正勧告を繰り返すホールへの行政処分」がないと「いつまでたっても改善されない可能性がある」ということは言っておきたい。是正勧告にすべてのホールがこの2年弱の間応じてきたのは応じなければ行政処分されるというガイドラインの枠組みを知っているからだ。それを「業界で自浄しろ」では「このまま是正勧告に応じさえすればずっと行政処分されない」となり、状況が改善するどころか悪化する懸念もある。
自浄努力はかなりのレベルでホール4団体の担当者らはやっており、枠組みとしてもかなりしっかりしてきた。だが、一部のホールにおいては改善が見られないというのなら、そういところは行政処分しないといけないのではないかと私は思う。
そして依存問題対策について。気になる部分は「各種依存症対策を踏まえた広告・啓発の推進」という言葉だ。
ギャンブル等依存症対策基本法ではギャンブル等依存症問題啓発週間というものが毎年5月14日から20日までの1週間定められている。そして基本法でこの啓発週間にふさわしい事業をするように努めろと努力義務が課せられているのは「国・地方公共団体」であり「営業者ではない」のである。
とはいえ、啓発活動にぱちんこ業界はかなり積極的である。一方で国はともかく都道府県においては全くやる気がないところがまだ存在している。今年は水原一平事件もあったのにもかかわらず5月14日からの1週間が啓発週間だったことを知らないという人は日本中に膨大にいるのだ。
業界ももちろんやるけど「広告・啓発の推進」をと呼びかけるべきは警察庁も含まれる政府なり各自治体である。明らかに顔の向きがおかしい。
これは3項目目の不正関係の文言でも出てくる不自然さだ。「特的の機種について電子的な不正改造が行われた」とあるのだが、実はいわゆるB物(裏物)事件は近年は0である。講話では機種名を出していないのでわからないのだが、ゴト系の不正基板のことを指していると思われる部分だ。ならば「問題の把握・解消」をするべきは「警察そのもの」である。ゴト行為で流出する資金は反社の資金源なのだからそれを業界でやれ、というのはいくらなんでもオカシイわけだ。
まあ、そういう「顔の向きがオカシイ」というのはともかく、広告宣伝ガイドラインについてのトーンが厳格化したことは事実。今後発出される第3版にひとまず注目しておきたいと思う。
課長補佐講話についてはこんな印象だった。
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