大崎一万発が考える「バブルの弾けた6号機時代」への正しい向き合い方とは!?
ジャンルとして括ったパチンコとパチスロの射幸性バランスは、片方が上がれば他方は下がる、シーソーのような関係性である。どちらも良いはないけれど、どちらも悪いってこともない。トータル均衡点は時代に合わせた規制に準じ低下を続けているが、締め付ける大きな力と対抗する業界努力のせめぎ合いの中、上がったり下がったりの繰り返しが業界の歴史を作ってきた。
現在はまごうことなきパチンコ上位の時代である。先の規則改正はPSどちらにもダメージだったが、ことさらパチスロに対して厳しかった。しかも「完成形」と言えた5号機時代と比較してしまうから(単純なギャンブル性なら4号機だが、遊技機としてのトータル完成度なら5号機に軍配が上がるだろう)、なおさらその凋落ぶりが目に付く。プレイヤーもホールもメーカーも、途方に暮れている状況に思う。
5号機時代があまりに「良かった」がために、のめり込んだプレイヤーは専門知識を積極的に習得してマニア化し、楽しみ方も勝ち方の面でも総体レベルが大きく上がった。乗じたホールも出玉を煽って、激しいイベントの撃ち合いが先鋭化した。ネットの普及を通じて両者の駆け引きは加熱し、置き去りにされたプレーヤー&ホールとの間に二極化も生じさせた。確かに状況は良い、人は集まる玉も出ている、しかしこのチキンレースの果てに何があるのかと、当事者として参加していた自分ですら疑問に感じてしまう状態でもあったが、誰もがもう止まれなくなっていた。
5号機バブルの最中、パチスロの数字を作るために、それも平素はお金を落としてくれないイベント特化プレイヤーを煽るためにパチンコをいじめる歪な構造が常態化した。勝てない回らないが当たり前となり、パチンコで「遊びたい」プレイヤーは離れていった。しかし5号機の魅力とイベントの盛り上がりはそれ以上に若いパチスロプレイヤーを呼び込み、現実から目を背けても「まあいいか」的な状態を良しとした。マグレ当たりで万枚出たりも当然のスペックだったから、ギャンブルとして打つ「いいお客様」の下支えでバブルはどんどん膨らみ……それが6号機時代を迎えていきなりはじけた。一発逆転を狙ってパチスロに突っ込む層はいなくなり、残ったプレイヤーはリスクを避けてしっかり勝ち、そして楽しむマニアックな、言い換えればパチスロというゲーム(否ギャンブル)を好きな若者たちだ。
ギャンブルからゲームへとその中身が変化したのだから、プレイヤーが落とすお金も相応に減るのは自明である。見返りの乏しいゲームに何万円も落とすのはバカ、技術介入・情報収集でリスク回避して遊ぶのが常識、そんな考え方が早くもパチスロプレイヤーの間ではスタンダードになっている。それを、今の若者はケチくさい、上手くなりすぎだと言い放ってはまさに老害である。出玉に夢を見られない中、レベルの上がったプレイヤーが現実的に長く負けすぎず遊ぶ手段を考えるのは当たり前の話だ。
ある若いプレイヤーにはっきりと言われたことがある。あなた方は6号機は使えない、昔は良かったと文句ばかりだが、こっちは6号機からパチスロを面白いと思って始めたんだと。比べられても知ったことではないと。それをダメダメばかり言われてもやる気はなくなるし、今の客をちゃんと考えて商売してくれと……。
そうなのだ。今でも6号機を楽しんでいる現役プレイヤーが、百万を超えるオーダーで間違いなく存在している現実がある。そんな中で後ろ向きになってもなんら解決しないし、エンタメを提供する側として失礼極まりない話である。
ギャンブルではなく遊技であるという建前に準ずるなら、今のパチスロの姿が健全な落ち着きどころではないのだろうか。都合よく伸びすぎていた時代の方がオカシかったのではないだろうか。業界の歴史を鑑みると、またパチスロが持ち上がる時はいずれ間違いなく来る(と期待している)。メダルレス機では大きな緩和がある?2400枚リミッターがなくなれば復活する?願い通りになれば言うことはないが、しかしそれが「良かった頃」と同じ保証もないのだ。
プレイヤーはいち早く対応し、価値観を変化させて今のくくりの中で楽しむ術を身につけている。遅れをとっているのは(自分のようなメディアも含めた)提供する側である。何をウリに楽しんでもらうのか、どんなエンタメを提供するのか?イベントのあり方も含め、5号機時代を断ち切らないと前には進めないかなと思う。
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