ホールが抜き幅を増やしている理由とは?コロナ禍の1年半を振り返る

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コロナ禍とぱちんこ営業

 

8月は新型コロナウィルスの新規感染者数が急増していた時期だったが、気が付けば極端に多かった地域も含めてその数字はものすごく減っている。不思議なことに急激に増え続けているときはその増えている要因を根拠がはっきりしていなくともガンガン列挙して実に多くの地域で飲食店や人々の営業・行動制限の必要性を盛んに訴えていた専門家たちは、急激に減っていることについては、主な理由をワクチン接種がすすんだこととしながらも複合的な要因とか言って具体的には言及せず、増えているときとは異なりしっかりと列挙することがないように見える。少なくとも今年の6月以降、とても増えていた東京都内の都心部においては東京都の要請を守らず営業していた飲食店はものすごく多く、政府・東京都の要請が奏功したとは残念ながら言い難い。まったく奏功しなかったとはさすがに言わないし要請を遵守していた店も多いのだが、特に接待を伴う酒類提供の店について、昨年の宣言期間中とは比較にならないくらいに営業店舗が多かったのが直近の東京都の緊急事態宣言中の事実である。増え方もコロナ禍で最大レベルだったが減り方も最大レベルだったのが今回の波。飲食店に限定しても要請遵守が昨年とは比較にならないくらいに悪かったのに減り方もすごかった。専門家と称する者たちは、一秒でもはやく最大レベルの減り方の原因について確定させないともう次の波で増えている原因について言及しても、少なくとも私は信用しませんよ、とは申し上げておきたい。

 

ほぼ間違いなくワクチン接種が今回の波の鎮静化の原因だとして、RNAウィルスだけに変異は常に想定するべきであり、ワクチンそのものも2回で終了ということにはならないわけで3回以降も、ということも今後の我々の生活にとって重要になる。インフルエンザのように薬効のとても高い抗ウィルス薬が出てくれば話は別だが、一応は期待しつつも、前回の波のようなことが出てこないとも限らないのだからワクチン接種はもちろん、マスクや手洗い等は今後も我々の日常生活にとって欠かせないものとなることは致し方ないだろう。

 

ぱちんこ営業については、1年半以上続いているコロナ禍において、遊技する人、しない人問わず、一定のタグ付けがされたように思う。私の考えるそれは、次のとおりだ。

 

・遊技客は基本的に会話しない

・店舗内で3密状態になることがほとんどない

・連れだって入店する客もいるが、多くは独り入店

・店舗が営業しようがしまいが営業時間が通常だろうが時短だろうが感染拡大との因果関係が確認できない

・要するにコロナ禍にとって、営業店舗は基本的に因果関係がない(少なくともはっきりした因果関係があるとは言えない)

 

一方で、遊技する客にとっては、この1年半はこのような環境に店舗が変化している。

 

・営業成績が低迷(体感でも2割くらいは客が減っている、特に年配者で完全に遊技しなくなった層が多い印象がある)

・集客力が低下したことによって、通常営業時の予定割数がかなり低くなっている(要するに釘調整、設定が悪くなっている)

・人気機種の稼働状況は特にこの10年くらいと変わらず、人気機種「以外」の稼働低迷が目立つ

・人気機種であっても、その人気の期間が短い印象がある

 

昨年春の緊急事態宣言中は全国的に行政の要請に応じて休業していたぱちんこ店だが、それ以降、緊急事態宣言であれまん延防止等重点措置であれ、営業について行政の要請に基本的に応じなくなっているのが今の一般的なぱちんこ店だ。そしてコロナ禍の状況がどうであれ、各店舗の業績は全体的には減りつつも均されているようにも思う。たとえば7月から8月の過去最大の波のとき、主要都市での集客状況は特に変わらない。営業上、重要なことはコロナ禍の新規感染者数や医療提供状況の多寡、過不足ではなくて、そのときどきの設置機種の人気・不人気による。ならば人気の機種がたくさんあれば業績としては心配はないと言いたいが、昨年の源さん韋駄天、今年の牙狼、ガンダムユニコーンなどを例に挙げるまでもなく、人気機種であっても稼働のピークは早く、その後は店側が釘調整などで営業努力を続けない限り高レベルの稼働維持は難しい。

 

特に今年は強く感じるが、たとえば低貸島や通常貸島の甘デジ系のバラエティ島。私が在住する東京都下の店舗においてはスタート回数が極端に低い。すでに業界等価ではなくなっている地域にもかかわらず、通常貸レートで15回/1000円を切るスタート回数が散見される。4円甘デジで換算すれば初当たりまでの投資金額平均は7000円前後になるわけであり、さすがにこれで「甘」「ライト」「遊」なんて謳っていいカテゴリではなくなっているような気もする。私はこういう仕事をしている関係上、20数年以上継続的に遊技しているわけだが、ライフワークになっている遊技について本気でシラける瞬間も多くなっており、従来はよく行ってた店でも最近は完全に避ける店も増えてきている。全然回らない店に行くわけもないからだ。

 

遊技市場の活性化は遊技機の能力に強く左右されることから、各遊技機メーカーがどこまでのヒット機をリリースするか、という状況を待つしかないのがぱちんこ営業の肝でありつらいところ。ぱちんこ店側が直接できる努力は予定割数設定(日常の釘調整と設定)、機種選定、広告宣伝くらいしかないわけだが、予定割数は低下の傾向にありそれは集客力低下にも直結する。機種選定は間違ってないとしても、ほしい機種をほしい台数入手することができるかどうかはまた別問題である。さらには広告宣伝については2011年と2012年の警察庁による各警察本部への通達がまだ生きており、さらには各警察本部の所管状況格差が極めて大きく、明らかにいびつな状況にあるし、コロナ禍において広告出稿量を減らしている店舗の方が多いので(これは営業についての行政の要請には応じない=各店舗が判断、が、告知については控えようという多くの遊協組合の方針によるものも大きい)、業績を維持できるような環境が「新機種リリース状況」1点に集中しているような状況だ。

 

遊技機性能については、各種規制が厳しくないときであっても、人気不人気機種があることから各種規制が厳しい現状ではなおさら人気機種が出てくる可能性は低くなる。業界視点でいえば「メーカーが頑張ってくれないと厳しい」となるが、ぱちんこ店が毎日頑張って営業しているのと同じくメーカーも常に努力しているわけだ。結果が伴うかは「運」ということも言える。

 

遊技機についての各種規制は常に変動していくもの。まだリリース時期は正確には決まっているとは言い難いが来年リリースを目指している次世代の遊技機もまた、同じように人気不人気は機種によって異なるはずである。公表できる範囲ではメダルレスの有利区間ゲーム数規制の撤廃があるパチスロが性能規制でリードしているが、公表できない範囲も含めると玉を封入するぱちんこの方も水面下でそれなりに性能規制のものを進めている。本来は来年4月が目標時期になる次世代の遊技機だが、目標どおりにリリースされるかどうかはまだ不明だ。もちろん既存の遊技機は来年以降もリリースされていくわけであり、それらも人気不人気については常のこととして差が出てくる。人気になった機種は中古取引で100万円以上の高額になることが多く、不人気機種は二束三文の値段になることも多い。

 

いろんな歯車が狂いながらも釘調整や設定で帳尻を無理やり合わせてきたのがぱちんこ営業のこの一年半の状況かと思う。市場規模つまり売上(貸料金総和)なんてものはぱちんこ店の粗利益とは単純には比例せず、集客力が低下して売上が下がっても抜き幅を増やせばいってこい、みたいな業績における営業バッファのようなものがある営業形態だからこそかもしれないが、今後も新機種の人気不人気の運に左右されることを考えると、そろそろ売上減を抜き幅でカバーするやり方は修正していく方が将来の業績にとってもいいとも思う。というか、1人の遊技客としてはどうせ1しか入ってないパチスロや回らないぱちんこを遊技しても面白くないわけである。

 

コロナ禍の推移よりも、コロナ禍によってこういった営業状況になっていった店たちが、今後どのように営業実態を変化させていくか、それが今年から来年にかけての私の注目点となる。特にあと3ヵ月ちょっとで旧規則機が完全撤去になるわけであり、店舗内の機種構成はこの3ヵ月で大きく変わる。こういうときは営業実態(予定割数など)もさらに変化することが多いので、業界的な視点はもちろん、単なる遊技客としての店選定においても需要だと思う。

 

コロナ禍が終息しますように、抜き幅を拡大したぱちんこ店が改心しますように、願っております。

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