大崎一万発が遊技機価格高騰の裏事情を解説!勝ち組メーカー&ホールが業界を制圧する?
今や一般プレイヤーにも周知されるほど、遊技機価格の高騰が問題視されている。「玉が出せない」「商売が続けられない」、その理由の筆頭として挙げるホール関係者も多く、SNSには現場の愚痴や怒りの声が多数見受けられる。不満の矛先は単価というより、その販売方式である。一部メーカーではいわゆる機歴販売、はっきり言うなら抱き合わせに近い売り方が常態化していて、この台が欲しかったらまずこれ買ってね、さらにこの次のこれもお願いしますねと、希望しない機種までセットで買わねば目当ての台が手に入らない。中には複数メーカーやPSを跨いだセット販売を仕掛ける販社、遊技機ではなくホール向けコンピューターやサービスの導入が条件のメーカーもあると聞く。一定台数を買わなければ、導入日が遅くなるといった例も珍しくない。
鉄板タイトル以外の「大ヒット」は望みにくい現状、導入したところでキカイ代の回収はままならず、当然甘い運用にも期待できない「産廃」ばかりが積み上がっていく……。キラーコンテンツを抱えるメーカーと販社以外は誰も得しないこの商習慣をどうにかしない限りは市場縮小に歯止めがかかるわけもなく、懸案山積の中でも優先的に議論されて然るべき問題だし、雲の上では解決に向けての話し合いも進められているのだろうと勝手に信じていた。
しかし。世の中とは、そしてパチンコ業界とは僕如きのパチンカスがわかったような物言いをできるほど単純ではない。この状況をむしろ喜ばしいと明言するホール関係者も少なからず存在していて、またそれが一方の「正義」に照らせば必ずしも悪とは言えない、またプレイヤー不利益に直結するものでもなかったりする難しさがある。
キカイ代なんていくらでも買うと嘯くホール(実際にあるのだ!)の多くは繁盛店である。広く展開する大手である。体力のある繁盛店からすれば、競合の苦境はそのまま自分の得点になる。パワー営業で制圧し、倒れたホールのお客を召し取ることができる。金持ちどんどんケンカする、のがパチンコ店という商売だ。いやそれでも原価が上がれば出玉に悪影響が出るんじゃないの、というのは小人の考えである。そうならないよう組織と経営を作り上げ、しっかり玉をつけ、縮小トレンドの業界で勝ち抜ける努力をしてきたから繁盛しているのだ。売り方を改めろ、安くしろは、その経営努力を無にする蛮行、資本主義社会において逆にそれは平等とは言えないだろ! ……が本音ということだ。
ある業界団体関係者に、遊技機販売方法について今後改善の動きはあるのか尋ねたところ、「すぐには期待できない」と即答された。メーカーからすれば、台数の限られた人気タイトルをお得意様優先で売りたいのはしょうがないし、ごちゃごちゃうるさい中小よりドーンと買ってくれる大手の方がありがたい。そして発言力のあるホールは皆大手、「業界の未来」はもちろん大事だが、その前に自分とこの商売でしょ……というわけで、勝ち組メーカーと勝ち組ホールの「強者連合」が今業界を制圧しつつあるというわけである。
さてこれをプレイヤー目線で見た時、読者各位はどのように考えるだろうか。人気台を派手に並べて玉を出す大手が増えるなら大歓迎? いやパチンコ店は遊技場なのだから、個性あるホールや中小店でも気軽に遊べる多様性を守るべき? ……これにも「どっちがいい」の正解は存在しない。その人の遊技スタイルやパチンコ観によって、まったく逆の考え方がそれぞれ「善」になったり「悪」になったりするだろう。これが多面性を持つパチンコという娯楽・産業の評価の難しさであるし、無責任な言い方だが「面白さ」でもある。
ただ、ひとつだけ間違いがないのは、全部のホールやメーカー、業者が残っていくのは無理である、という厳しい現実の只中に業界はあるということだ。うまいこと折り合って、みんな平和に……そんな甘いことを言ってられる状況ではないということだ。10年後、どんな景色が見えるのだろう? いや、僕自身が生き残っていられる保証もないのであるが。
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