パチプロ系YouTuber「わーさん」は現代の田山幸憲プロ？大崎一万発がその魅力を解説！

わーさん、というパチプロ系YouTuberがいる。大手媒体に登場することはほとんどないが、チャンネル立ち上げから4年で登録者20万人を達成し、動画の平均再生数も10万を軽く超える超人気のYouTuberである。元々は専業パチプロとして10年のキャリアを持ち、その経験や知識を活かした勝ち方や立ち回りを指南する動画が高い評価を受けている……と、改めて紹介するまでもなく、当コラムの読者にも、まんぱつみたいなロートルに興味はないが、わーさんは好きだという人が多いかもしれない。

3年近く前になるか、僕が初めて彼の存在を知った時は、なんだこのイキリの若造は、ぐらいにしか思っていなかった。彼の解説する釘読みや技術介入にしても、（パチンコの勝ち方とは「それ」しかないのだから仕方のないことだが）攻略メディアが生まれて以降繰り返されてきた基本戦術の繰り返しに過ぎない。同様の活動をしているプロやYouTuberは他にも多数いるし、またぞろ同類が出てきたのかとさして意識もしていなかった。

しかしそこから彼が頭ひとつもふたつも抜けて、今も伸び続けている理由……それは、彼のスタイル、生き様が、パチンコ・パチスロプレイヤー、特に若い層から圧倒的な支持を得たからに他ならない。僕は過去、何度かチャンネルでコラボをしたり、またその縁でプライベートでも交流があるのだが、彼の動画そして普段の言動から垣間見える何もかもが、実に「カッコいい」のである。

長身痩躯のイケメン（まだ30歳代）が高級車でホールに乗り付け、高期待値台を見つけ出し技術介入を駆使して稼ぎまくる。もちろん収録である以上はホールの許可も得ているのだろうが、勝てる台がない店や面白くもない台には遠慮なくダメ出しをする強気なスタイルは、数多の媒体動画にはない大きな魅力である。知名度を販促に利用すべく、視察に来てくれとホールからの依頼もあるようだが、そんな場合でも打てる台がなければすぐさま帰ってしまうし、逆にお宝台をツモれば妥協なく閉店まで粘り倒す忖度のないガチ稼働を貫いている。さらには、「パチプロに縛られるつもりはない」と公言しているのも異質である。パチンコとYouTubeでガンガン稼いで、俺はもっとビッグになるぜ！　という大きな野心がグイグイと伝わってくるのだ。

いや、わーさんをヨイショしておこぼれに預かろうなんてつもりは毛頭ない（笑）。が、何者にも縛られず、己の実力だけでのし上がっていく。業界に巻かれ腰のひけてしまった既存の媒体演者やライターを鼻で笑うかのように、本音で語り、打ち手の側に立って、「悪の枢軸」であるホールを倒していくドキュメントを見せつけられると、うおーパチプロってカッコいい、オレもああなりたいと応援し、憧れるプレイヤーが多いのも頷けるところなのである。

若い子たちがパチンコに目を向けなくなった理由には、打つことから「カッコ良さ」が失われてしまったことも大きいと思う。若かりし頃、僕がパチンコに染まりプロを夢見たのは、既存の社会システムに縛られない自由な生き方に憧れたからである。攻略雑誌で知ったプロたちに憧れ、学び、この世界に飛び込んだ。同世代にはそんな打ち手が多かったはずだが、いつの間にやらいい子ちゃんになってしまったパチンコからはアウトロー的魅力が失われ、時代遅れの爺婆向け遊技へと変貌してしまった。もちろんまだ活動しているプロも多数いるが、追い詰められて行く悲壮感ばかりが先に立つ、もしくはアウトローというよりただの反社、迷惑者のイメージが強いだろう。

そんな中で、わーさんの存在は際立っている。先行き不透明な世相の中、パチンコに活路を見出したいがむしゃらな子たちのヒーローとして、僕が憧れた田山プロのように、若者をパチンコに誘う。それは、面白いよ、楽しいよとは異なるベクトルで市場拡大に寄与していると考えることもできる。もちろん、パチプロばかり増やしても意味がない、むしろ衰退を早める論にも一理あるだろう。しかし、わーさんはこう言う。今のパチンコで勝ち続けるのは簡単なことじゃない。イキってみたところで、多くは「やれてるつもり」だけに留まるのが現実だと。勝てないと悟った時、パチンコをヤメる者もいるだろうが、必ずエンジョイ勢として残る者もいる。その事実を鑑みれば、自分のようなパチプロアイコンを、業界にとって邪魔者だと決めつけるのも違うのではないか、と……。

わーさんは現代における田山幸憲プロ……とまで言うと多方面から怒られてしまうだろうが、その人生哲学は大きく異なれど、比肩し得る求心力、影響力を持っているのは疑いない。変に業界に巻き取られないで、どこまでも突っ走ってほしいとオッサンは願う。そして、第二第三のわーさんが現れ、再びパチンコが若者にとってカッコいい、やってみたい遊技へと復帰する日が来ることも。