夏こそこんな体験談。ゾッとするホールの話【あしのの業界人コラム#2】

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あしの プロフィール

「浅草に住むサブカル・ギャンブル系フリーライター。ペンネームの由来は4号機『バクチョウ(メーシー)』の主人公あしの君から。いろんな所でちょいちょい書かせて頂いております。Twitterアカウントはこちら!(https://twitter.com/Slot_Ashino)」

マジで暑い。物理的に激アツ。気温がです。もう今コンビニまでおにぎり買いに行ったんですけど、100メートルくらいしか歩いてないのに滝行を一発カマしたあとの織田無道みたいになりました。まじびしょ濡れ。あるいは海上保安庁の巡視船が、違法に漁をしてる舟の甲板に干してあるイカに思ッきり放水するシーンとか、たまにニュースで流れるじゃないですか。あのイカ。あのイカくらいビショビショです。もう駄目。夏キライ。

……チワっすあしのです!

もう、暑いんでホント。せめて涼しい事を書きたいと思います。夏の読み物で「涼」と言えばやっぱ怪談でしょう。

俺ももう40年くらい生きてるんで実際に目撃した超常現象とかも何気に幾つかありまして、もはやこの機会にななプレスをご覧の諸兄に向けてブッ放すのもアリっちゃアリかなァとか思ったんですが、よく考えたら完全にパチンコ関係ないですし。連載2回目でそれやるのは絶対頭がおかしいんで辞めとこうかと、一瞬大人の判断を下そうとしたのですが、我慢がならんのでちょっとだけ。サクッと400文字くらいでね……!

あれはねぇ、小学校2年の頃の話です。俺、小学校の校庭でカエルを捕まえたんですよ。何て言うヤツか良くわからないんですけども、ちっちゃくてかわいい緑のヤツ。

「あ、こいつ家の風呂で泳がそう!」

と思ってこう……手をお椀型にして、もう片方の手で蓋をするようにしてダッシュで帰って、10分くらいですかねぇ。風呂場に到着して、水を貯めたままの風呂桶にポンと放して。そのカエルさんがピョイピョイと、玩具みたいに泳ぐのを観てたわけですよ。めっちゃ可愛かったんでよっしゃもうコイツ飼おうと思って、また掬って、手でお椀にして、蓋をして、風呂場から出て、そしてそこから脱衣所に出て、5秒くらいですよ、時間にして。パッと手の中みたら、カラッカラに乾いて海苔みたいになってるんですよ。カエルが。ミイラみたいに。

俺めっちゃビックリして。え、何これッて。うわァおもて。なんやこれェおもて。んで台所にいる婆ちゃんに「婆ちゃん、今ね、カエルがね!」ってすげえ説明したんですよ。婆ちゃんならこの超常現象に絶対なんか正解をくれると思ったんで。そしたらねぇ、婆ちゃんねぇ、一言ねぇ。

「ヨカたい!」

って。それしか言わない。ヨウないもんッて。当時の俺は九州弁だったのですけども、めっちゃ説明したけど駄目なんですよ。もう俺としては可愛いカエルが海苔みたいになってるし、婆ちゃん分かってくれないしで。かなりねぇ、あれはねぇ、超常現象でした(笑顔)

フャンッ!フャンッ!フャンッ!フャンッ──!(『サイコ』のアレ)

……さあ!というわけで今回は、ホールで出会った「ゾッとした経験」について書いていきます。流石にホール縛りにすると超常現象とは無縁になっちゃいますけども、少しでも涼しくなって頂ければこれ幸い。ちなみに嘘松無し!全て実話です。

いくぜプレス!(掛け声)



90年代末!! 佐賀の店の怪!!


色んなとこで出してる話なんですが、俺はもともと長崎県民です。だいたいカステラとちゃんぽんとリアス式海岸で育った男なのですが、その長崎県の隣に「佐賀県」と呼ばれる秘境の存在が近年確認されたのは、あまり知られていない話です。

まあ長崎と佐賀の地理的・心理的な距離感なんぞはここをご覧の皆様の大半には関係ないと思いますが一応付記しておきますと、長崎県民は佐賀のことを「福岡に遊びにいくまでの通り道」としか認識してませんし、佐賀県民は長崎のことを「なんか隣の県」くらいにしか思ってません。両者の意識はあくまで福岡に向いてます。福岡こそ正義。あとは知らん。そんな感じです。

というわけで俺も自分で免許をゲットするまでは佐賀には足を踏み入れたことすらなかったのですが、パチンコを打ち始めると話は別になります。やっぱ、知らない店ってやたら面白そうに見えるんで、いつだったか福岡まで出張る道すがら、佐賀県の店を撫で切りしていってた時期があるんですね。

でねー、あれは多分99年末あたりだったと思うんですけども、佐賀の中でもさらに田舎の方に足を伸ばした時に、いい具合に古びたパチンコ屋を見つけまして。全然聞いたことないホールだったんですけども、一回入ってみたんですよね。駐車場がめっちゃ汚くて、絶対掃除してない感じがヒシヒシ伝わってきて、入る前からゾクゾクしたのは覚えてます。

で、入ったんですけど、店員さんが全員リーゼントなんですよ。

パンチじゃないんです。リーゼントなんです。全員パンチとか当時は全然普通じゃないですか。だから俺もある程度覚悟してたんですけど、リーゼントは予想外だし初めてのケースだったんで「おッ」と思いました。

しかもタバコ吸ってるんです全員。

店の端っこでこっそりとかじゃなくて、タバコ吸いながらホール巡回してるんですね。で、よく見ると自動販売機の上にビールの缶とか置いてるんですよ。空き缶かどうかは分からないッス。でも中身が入ってるとすれば、軽くアル引ッ掛けながら仕事してます彼奴ら。

(すげえ所に入っちゃったぞコレは──)と入店した2秒後には気づいたんですけども、そのリーゼント衆は無駄に元気が良いのかなんか知りませんが、通路ですれ違う度にギンッて俺の方を見て「セイッ!」って言うんですね。たぶんいらっしゃいませって言いすぎて「セイッ!」になってると思うんですけど、マジで「セイッ!」って言われて。皆言うんですよ「セイッ!」って。めっちゃおっかないんですよ……。

打てないっしょコレは。打てない。だってお客さんほとんど居ないし。ここは流石にトワイライトゾーンだわいと思って店内をグルっと回って、そのまま出るわけですよ。コソッと。そしたらねぇ、自動ドアが閉まった向こうから「セイッ!」って。ちっちゃく聞こえてくるわけですよ。

もうねぇ、アクセル全開で逃げるように引き返しました──。

フャンッ!フャンッ!フャンッ!フャンッ──!


狂気!! 増殖する○○!!


これもパチンコ打ち初めてまだ間もない頃の話。場所はやっぱり九州です。ある日バーで酒を飲んでたら、Kさんというお兄さんからこんな話を聞きました。

「あッこの○○って店さぁ、ウラモンで営業停止なっとっとバイ」

九州弁をトランスレートすると「あそこのお店は裏物で営業停止になっています」という意味になるけど、当時の俺は裏物の存在すら知らなかったので「へぇ」の一言で片付けつつ、またビールを呷っておりましたが、次にKさんが放った言葉にはちょっと興味を惹かれました。

「あッこねぇ、営業停止ンなったら、駐車場の増えるッくサ! ドンドン増えよッちゃモン!

たしかに。そのお店はそこまで大きなホールでは無いのに、現在第3駐車場を増築中でした。しかも「駐車場拡張工事の為お休みを頂いております」という名目のもと休業中。

「たまたまじゃないッスか?」
「いやー! たまたまじゃ無かくサ! 駐車場ば増築すっとに、なんで店休むとね!」
「まー……。まあ、良くわかんないですけど……」

そのお店は数年後、裏手の山を購入して造成し、第4駐車場を増築。更に数年後には国道を挟んだ向かいに土地を購入したらしく、気づけば第5駐車場が追加されてました。その辺りで俺は関東に出てきて、以来しばらく実家には帰らなかったのですが、こっちの水に随分馴染んだ頃、用事があって帰郷した際、ふと気になってそのホールに行ってみました。

国道沿いに並ぶ駐車場表示。お店の手前に第2駐車場。道を挟んで左手に第5駐車場。店舗の横には第3駐車場……。はは。なんも変わらねぇなぁ──。何となく楽しくなって車を降り、田舎の空気を胸いっぱいに吸い込みながら少し歩いて、そうして折角なんでゴーゴーランプでもペカらしとくかと、ホールに入店しようとしたのですが、思わず絶句しました。閉まってたのです。自動ドアにはこんな張り紙が。背中に張り付いたTシャツの汗が、スッと冷えるのが分かりました。

(第8駐車場工事の為、お休みさせていただきます)

フャンッ!フャンッ!フャンッ!フャンッ──!


アメリカ人恐るべし。ヒゲ、軍人の前に散る!


ラスト。またも九州の話──というか話の内容的に絶対分かるんで先に言っとくと長崎県の佐世保市という所の話です。

どの店にもそういう人は居ると思うのですが、たぶんちょっと精神的にハンデを背負ってたのかな……打たずにずーっと店内を歩いてる人が居たんですね。あだ名はヒゲ。理由はヒゲが死ぬほど濃かったからです。身長は150センチとかそのくらいで、いつも作業着でした。誰もヒゲの事は気にしませんでしたし、俺もどっちかというとホールに棲んでる妖精くらいの気持ちで暖かく見守っていたのですが、ある時、そのヒゲが何かやらかしたらしく、店員さんから怒られてたんですね。そんな酷い詰め方してるわけじゃなくて、メッ! くらいの感じですよ。

ただ、彼はその時、ダッシュで店の外に逃げたわけですよ。で、店員さんも職責として追わざるを得ない状況だったのか、それ追って店を出たんですね。

で、俺も「あ、どうなるんだろコレ……」みたいな感じで興味が湧いたんで、気になって外に見に行ったんですね。多分無いけど、あんまり酷い事するようならやっぱり止めないとダメだし。だって、ヒゲは小柄だし、どう考えても何か抱えてる人なんで、対応が難しいと思うんですよ普通に考えて。
俺と同じ事を思ったのか、後ろから2~3人くらいお客さんが走って付いてきてて。んでその前を店員さんがダッシュして、その前をヒゲが走る。日本一長いアーケードです。四ヶ町商店街っていうんですけども、買い物客が何事かとすげー勢いで見てくるわけですよ。一緒になってヒゲを捕まえようとする人も出てくる。気づけばヒゲは物凄い大勢に追われ始めました。フォレスト・ガンプ状態です。

ヒゲの前に、大柄な男性が2人いました。金髪の白人です。後ろから迫る大群の気配を察知した金髪が振り返ります。俺の目は、その金髪の和やかな瞳が、一瞬にして肉食獣のそれの如く収縮するのを見逃しませんでした。

佐世保。米軍基地。あの街はそういう本職のソルジャーが普通に歩いております。

フャンッ!フャンッ!フャンッ!フャンッ──!

スローモーションでした。金髪は引いた足に力を込めてタメを作った後、逆サイドの肩を入れ込むようにしてヒゲにタックル。そのまま押し倒すや片足を持ち上げ、手と首をワキの間に入れ込んで締め上げました。フル・ネルソン。いわゆる羽交い締めです。

時が静止しました。あ、やったな。と思いました。先頭で追いかけてたスタッフさんが泣きそうな顔で振り返ったのが印象的でした。クビに絡んだ腕をタップするヒゲ。そしてそれを「ハン?ハン?」とか言いながら締め上げる外人。遠巻きで固まる群衆。誰も何もできません。

──痛い痛い腕が折れる!

ヒゲが叫びます。ヒゲの声を聞いたのはこれが初めてでしたが、それで皆が我に返りました。事情を知る店員さん、そして俺、後方の客数人が、大慌てでアメリカンに事情を説明します。違うんだよアメリカ人。そんなガチな捕縛しなくていい!大丈夫!もうやめて!

その後、ヒゲはスタッフさんに先導されながら、軍人2人にリトル・グレイみたいな形でどっかに連行されていきました。何やったか最終的には全然分かんなかったんですが、まあ、逃さなかったということはなんか盗んだとかそっちだったのかも知れません。

「いやぁ、外人怖ぇなぁ……」

遠巻きの誰かが言った、そんな一言が、俺の耳には今でもこびり付いています。ちなみにヒゲはその後も普通に店に来てました。優しい街。佐世保。俺はそんな故郷が大好きです。


今週のまとめ。


いかがでしたか。少しは涼しくなっていただけましたでしょうか(ならんよ)。毎年言ってる気がしますが今年は少々異常な気象らしく、北極だか南極の氷もゴリゴリ溶けておるそうです。まあ毎年溶けてる溶けてる言ってるんで別に大勢に影響はなさそうな気がしますが、暑いのはガチなんで、みなさま、体調管理にはお気をつけください。

特に朝並びは先頭とかになっちゃうとハメ技食らってる気分になると思いますが、水が切れたら素直に後ろの人に「ごめんなさい場所取っといて貰えますか」と一言声を掛け、すっと抜けましょう。死んじゃいますからね。本当に。

以上! また来月! チャオ!

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