金額?メンタル?あるいはエリートヤンキー?あしのが語る「生涯で一番負けた日の記憶」

あしの プロフィール

「浅草に住むサブカル・ギャンブル系フリーライター。ペンネームの由来は4号機『バクチョウ(メーシー)』の主人公あしの君から。いろんな所でちょいちょい書かせて頂いております。Twitterアカウントはこちら!(https://twitter.com/Slot_Ashino)」

ちょっと皆さんにお聞きしたいのだけども、生涯で最高に負けた台ってどれでしょう。一日じゃなくて累計で。俺はこの機種にこれくらいブッ込んだぞみたいなのって、なんかありますか。俺の場合は間違いなく初代の「押忍!番長」がそれだ。

 

自分としては常にベストな立ち回りをしてたと思うんだけども、あらゆる数値や振り分けがインチキ臭いほどに下振れし続け、それでも面白かったんで毎日のように打ち続けた結果、最終的にちょっと引くくらい負けた。それ以来俺は大都技研の台……特に番長シリーズに妙な苦手意識を持っていて、「2」も「サラ」も「3」も「鏡」も、あんまガッツリは打ってない。もちろん触るんだけどもね。ハマったらまたバカみたいに負けそうな気がしてどうにものめり込めず。例えるなら親戚のおっちゃんとかおばちゃんとの付き合いくらいの感じで、付かず離れず。まったりと対応しておる感じ。

 

んでパチスロ打ち同士が集まって酒飲んでると良くこういう「負けエピソード」みたいなのになる。トピックになるのは上述の「生涯で一番負けた機種」の他にもうひとつあって、それが「生涯で一番負けた日」についてだ。もうねぇ、これはスロッターとしては身につまされるというか、聞くも涙語るも涙というか。でも心のどっかで「ザマァ!」みたいなのもあって、ホントに味わい深い酒になるのである。

 

チワッスあしのっす!

 

というわけで本日のネタは「俺が生涯で一番負けた日」について。一本だとアレなんで、3部門に分けて語りたいと思います。色々大変な時期ですが、平和な気分で寝っ転がって読んで、笑っていただければコレ幸い。よっしゃ。行くぜプレス!(掛け声)

 

 

 

正統派クソ負け記録樹立。バルテックなんか大嫌いだ!「パワージャンプ」

 

 

まずはバルテックが4号機爆裂AT期にブッ込んだ時代の徒花「パワージャンプ」。レア台なので実際に打ったことがある人もそんなにいないと思うんで概要だけ説明しとくと、これは集中搭載のAT機で純増枚数は1Gあたりなんと26枚とかいう狂った台だった。

 

AT時代の集中機というとテクノコーシンによる「極」「MSガンダム」「セブンスナイパー」らへんのテクノスペック台(造語)が有名だけども、まあ大体コイツもあんな感じだった。というかリール上部のデカいドット表示部にずっと「BALTEC」と出てた気がするけども、当時俺はなぜかそれを社名だとは思わず。結構後になるまでテクノコーシンの台だと思っておった次第。へへ。なんにせよ、時速万枚! みたいな煽り文句も普通にインストカードやパンフに使われていた時代だったし、それを見た俺は「じゃあ万枚出すまで打ってやろうじゃんか」みたいな感じで、若気の至り丸出しのブチ込み態勢に入ったわけだ。大丈夫。出す自信がある。いけるいける──!

 

なぜ俺はそんなに強気だったか。

 

そう。なんか知らんがその時俺はお金を持っていたのである。たしか婆ちゃんがオヤジの弟──叔父さんに掛けてた貯蓄型保険の満期がきて、そんで戻ってきた分の一部を貰ったのだ。んで当時俺は大学を休学して学費を貯蓄中だったんだけども、実家に帰った折、ほんとは楽勝だったにも関わらず格好つけて苦学生っぽい感じでヒーヒー言ってたら「来年の学費の足しにしなさい」みたいな感じでサクッとくれたのだった。

 

実際の所、学費の算段はすっかりついておったのでそのお金は完全に不要なものだった。不要なら不要で「要りません」と言うべきだったんだけども、まあ貰うもんは貰っといて良いだろうという甘い考えの元そのマニーをポッケにナイナイしておったわけだ。今思えば天国の婆ちゃんに申し訳なさすぎるのだけども、当時は「しめしめ」くらいの感じだったと思う。

 

たしか貰った金額は20万くらい。ただ、基本的に貧乏な家庭で育った20歳そこそこの俺にとって、その金額は自分を長者ドンと錯覚させるのに充分すぎる威力を持っていた。故に件の機種で万枚出しちゃるという良く分からん自信も「ああ、大丈夫。おいらお金だけは無限に持ってるから」みたいな盛大な勘違いから来ておったのだけど、当時の俺はそんな事つゆしらず。

 

着座し、万券をサンドに放り込んで打ち、また放り込んで打ち。繰り返す。繰り返す。おや財布にお金が無くなった。諭吉はどこぞ? へへ。オイラ知ってる。ATMに行けばいいのだ。大丈夫大丈夫。無限に居るから諭吉。蘭学蘭学!

 

と、何も考えずにバカスカ使ってるうちに、ちょっと洒落にならないくらい負けた。気づいたら銀行の残高がプレステ2買ったら終了くらいにまで減っていたのである。細かい数字はもはや考えるのもイヤなんでカウントしてないけども、口座残高から15万近く使って、あと財布の中にも最初いくらかあったと思うから……。まあ、吐くほど負けたよね。しかもびっくりする事に一回も集中に入らなかったんで、最後の方は頭がおかしくなってずっと撫でてたもん。台を。なんかもう逆に愛おしくなって。

 

これはもう、同一の機種で単日に負けた金額としては殿堂入りだと思う。しかもこれ、金銭的なダメージだけじゃなくて、負けたあとに申し訳なさすぎて婆ちゃんの顔をしばらく見れないというメンタル的な敗戦処理もまあまあ面倒くさかったし、そして数日後にバイトの給料を握りしめてリベンジにいったらもう撤去されてて二度とお目にかかれなかったという歯がゆさもあったりして、マジで人生に残った傷跡くらいになってる。

 

完膚なきまでの大負け。ストロングスタイルの正統派クソ負け大賞機種だと思う。イエイ! はい次ィ!

 

 

彼女のメダルを死ぬほど使ったで賞!「黄金神」

 

 

次のクソ負け記録はお財布よりも精神的ダメージがナンバーワンだった機種。オリンピアの「黄金神」だ。こいつはまあまあ有名な台なので説明は省くけども、AT時代の終盤も終盤に出た機種だね。

 

んで当時俺はIちゃんという女の子と付き合っておって、彼女がまあまあパチスロを打つ子であった。まあ「打つ」というか「打てる」という程度。誘ったら一緒に打つけど自分からはそんなに……みたいな感じ。とはいえたまに一緒に打ちに行ったりしてたんだけども、その時一緒に打ったのが忘れもしない、並びでサミーの「ファイヤードリフト」と「黄金神」が設置してある席だった。俺が単純に黄金神が打ちたかったからその場所を選んで、彼女は別に何でも良いよみたいな感じで隣のファイドリに着座。後で映画を観る約束してたんでちょっと打ったらすぐに行こうぜーくらいの感じだったんだけども、彼女の台がぶっ壊れたかのごとくめちゃくちゃ連チャンしはじめた。

 

うひょー! すげえじゃん! これミッション高確めちゃくちゃ乗ってねぇか!? と最初の頃は俺もテンションが上ったものだけども、問題は俺が打ってた黄金神だ。まー当たらん。ボーナスはちょいちょいヒットするんだけども、肝心要のATが果たして抽選してんのかコレというレベルで当たらない。持ってきたお金はすぐに尽き。ATMに走って下ろしてきた追加の軍資金も一瞬で溶けた。結果、カップルシートで彼女の連チャンを眺め続けるという屈辱の展開に。

 

しかも内部的にどれだけ薄い所を掴みまくったのか知らんが、その連チャンが異様に長く、映画の時間も過ぎてしまった辺りで、流石に申し訳なくなったらしい彼女が「これ共有する?」みたいな感じで言ってくれた。俺はあんまり出玉共有が好きじゃないんで断ろうかとも思ったんだけども、まあAT機を腹いっぱい打てるのもあとどの位の期間あるのか分からぬし、ここは好意に甘えよう。当てて返せばいいだろう、くらいの感じで再び隣に着座。

 

これねぇ、ものすごく惨めだった。

 

彼女は一生懸命出すわけですよ。ファイヤードリフトって、あれはシステム上、爆裂するのが結構大変なのだ。ボーナスとかチェリーとかの後に設定差ありの抽選をパスして入るミッション高確という状態中に1/10でチャンスゾーンに入れ、そこで2ゲームとか3ゲーム中にリプレイ引いてやっと1/2でRT解除。そしてそこからBRの振り分けがあるので、REGに偏ると全然増えなかったりする。頑張って早いゲームでCZにブチ込んで頑張ってBIGに繋げる、というのを繰り返さないとイカンのだ。んでそうやって何とか増やしたメダルを、隣に座るボンクラ(俺)がごっそり持っていくわけである。サーセンサーセンいいながら。そしてまた俺が打ってる黄金神がマジで当たらねぇったらない。ぶっ壊れてンのかと思うほどウンともスンとも言わない。なんならもうATどころかボーナスすらカスらなくなった。

 

打ち初めて何時間か後。閉店間際になってようやく彼女の台が静かになった。連チャン終了である。揃えたボーナス回数からしてどう考えても万枚は越えてる筈だったのだけども、計数機に表示された枚数は6500枚とかだった。少なく見積もっても4000枚。もしかしたら5000枚くらい俺が使ってた。

 

これは財布的にはそこまで痛く無い。言っても多分3万とかしか使ってないと思う。ただ、生涯を通じて食らったパチスロでの負けの中で、もっとも惨めなものだった。逆だったら結構笑い話になる。俺がすげえ出して彼女に「いいよいいよ使えい! ゆっくりね!」みたいな感じだったらね。でも実際は目押しもおぼつかぬ彼女がおっかなびっくり出したメダルを、その横の俺がフルウェイトでゴリゴリ使っていくみたいな展開だったんで、なんだろう。ヒモの心境がめちゃ分かった感じ。ヒモついでにその日は晩飯もね。彼女に奢って貰ったよね。ヨシ!

 

というわけで財布よりもハートが痛かった、ちょっとトリッキーな大負け機種。それが「黄金神」だ。シャッ! はい次ィ!

 

 

社会のダークサイドに触れた!「一撃帝王」

 

 

ベルコのAT機「一撃帝王」だけども、こいつは何気にトータルでは全然勝ってる。そしてクソ負けした事も多分無い。じゃあなんでここにノミネートされてるかというと、コイツを打ってる時に財布をスられた経験があるのだ。スられたっていうか置引きなんだけども、これがまあまあ笑えない話だったんでここで披瀝。

 

その日はイベント日で朝から並んでいた。前の日に同じ店でちょっと負けてたのもあって、取り返してやろうと思ったのだ。しかもその日はバイトの給料日。軍資金は余裕を持って用意して財布に詰め込んでいた。で、午前中に速攻で置引きにあった。下皿に置いてた財布が気づいたら無くなっていた感じ。別に放置して離席したとかじゃなくて、ホントに気づいたらなかった。ルパンの仕業である。まあポッケに入れて無かった俺も悪いのでそれは良い。憤懣やるかた無い気分ですぐ向かい側にある警察署に向かい、そして盗難届だけ出した。場所がパチンコホールということで警察の人も非常に面倒くさそうだったけども、一応監視カメラの確認とかもしてくれた。店員さんは親切だった。が、問題はその間の時間だ。警察署の待合室で待ってる間に、どっからどう見ても超危ねぇチンピラ丸出しの兄ちゃんに思いっきり絡まれたのだ。いや、絡まれた? というか、懐かれた? というか。とにかくこんな感じだった。

 

「お兄さん、何やったんですか?」

「いやー。俺は別に……いや、何もやってないです。財布スられて……」

「マジっすかぁ。それめっちゃナメてますね。犯人分かったら教えてくださいよ。俺がシメるんで」

 

和彫がチラチラ見えるタンクトップに革ジャン。手のひらにはいわゆる「鑑別三ツ星」と「ネンショーリング」がダブリでバッチリ掘られていた。おもいっきりだ。おもいっきりそっち系のエリートだ。四畳半ほどの待合室。濃厚接触である。おいおいウソだろ……。

 

「お、お兄さんはなぜここに?」

 

何か話したそうだったんで一応こちらから水を向けると、彼はあっけらかんとツレが喧嘩して捕まったんで事情を話すために呼ばれたとか何か言ってたけども、まあそのツレというのもこんな感じの人なんだろうし、おそらくは喧嘩じゃなくて一方的な暴行なんだろうなと、申し訳ないけども本能的にそう判断した。んでその話の最中も俺は「へぇ!」とか「なるほどぉ!」とか「そりゃたまらんスね!」とか合いの手を入れ続けていたので何か知らんがすげー気に入られ、気づいたらこんな最悪の展開になっていた。

 

「電話番号教えてくださいよ! 今度飲みにいきましょう」

「お……おうす。モチロンすよ。へへ……。いきましょうや……」

 

お互いに名前を名乗り、登録する。諸々の処理が終わり自由になった俺は超速でその登録名を「出るな要注意」に変え、エンジンを吹かしてその場から去った次第。そしてなんとその夜「出るな要注意」から電話が掛かってきた。当然出ない。シカトだ。危なすぎる。翌日も。そしてその翌日も。翌日も──。

 

正直、まあ財布スられたのはまあ良い。一撃帝王も別に全然悪くねぇ。ただ、朝から並んで一瞬で何万円も失った挙げ句、夜にしっかり眠れぬストレス食らうのは、俺前世で何か悪いことしたのかなと、ちょっとイヤになった。これがちょっとひねくれた方向での「生涯で一番負けた日」かもしれない。実際、ホールに行くのがちょっとイヤになったもんね。

 

「出るな要注意」からの着信履歴はそれからも数日おきに、一ヶ月ほど続いたのだった。

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