慣れはとても重要なこと【POKKA吉田コラム #29】

POKKA吉田 プロフィール

業界紙「シークエンス」の編集長という立場を持つ、ぱちんこ業界専門のフリーライター。独自の目線でぱちんこ業界に関する著作物を数多く出版している。

4月に番長がリリースされたことで、パチスロ市場において、業界関係者の間で一つの安心感が生まれている。

それは「5.5号機でも支持される機械を作ることができる」というものだ。

単純なようでこれはかなり難しいことでもある。

バジやポセイドンなど、大きな期待を集めてリリースされた型式が思うような営業成績にならなかったのがそれまでのパチスロ市場である。

 

問題としてはとても回答が簡単で、単純に「客が楽しめる機械を作る」ということである。

しかしその回答を導き出す方法が難解で、番長以前は大袈裟に言えば失敗続き、ということになっていた。

主基板ARTに移行し、そして傾斜値2.0未満などの新しいレギュレーションも追加され、この2年ほど、パチスロ市場は旧基準機に頼りっぱなしであった。

新台のリリースそのものは少なくはないのだが、ビッグタイトルが思うように支持されなかったのだ。

 

この閉塞感はパチスロメーカー全体に蔓延しつつあった。

そんな中での番長の成功である。

現在、番長の中古価格も跳ね上がっているくらいに支持されている。

 

旧基準機と5.5号機が混在していると旧基準機に勝てない、という話はよく聞かれるものだ。

それも少しは影響するのかとは思うが、実際に成功型式が登場すると、多くのメーカーは「次は自社型式をヒットさせる」と気合が入るものでもある。

そしてこういうトレンドはどこかが確立すると、他メーカーもすぐに追従してくるものでもある。

 

今回は大都技研は5.5号機の成功例を出したが、その大都技研も番長以前は微妙だった。

技術力的に大手メーカーの枠内であれば、大差はないとすると、大都以外の大手メーカーもそろそろ同じように追従できる作り込みの機械を出すことができるという算段が可能である。

こういうのを「慣れ」と私は呼んでいる。

そしてこの「慣れ」こそが、レギュレーションの変更後のマーケットが盛り上がる大切な要因だ。

 

ところが、今年は秋から5.9号機となる。

このときも、同じように5.5号機の番長が出るまでの産みの苦しみのような期間が発生するかもしれない。

すると、誰かが「規制が厳しくなったからもうパチスロは無理かもしれない」と言い出す。

しかし、そんなことはない。

パチスロメーカーすべてが将来展望を描けずに総撤退するなら別だが、5.9号機レギュレーションについて、日電協は「出玉性能は抑えられるがゲーム性としては悲観することはなく充分に魅力的な機械を作ることができる」と昨年から盛んにアナウンスしている。

つまり、メーカーが総撤退することは絶対にない。

 

となると、いずれどこかのメーカーが成功例を出す。

その後多くのメーカーが追従する。

そういう「慣れ」のマーケットがしばらく続くということなのだ。

 

なお、私はメーカーを好意的に見る場合は「慣れ」と呼ぶのだが、批判的に見る場合はそれを「やる気」と呼んでいる。

5号機初期の頃。

ほとんどのパチスロメーカーは5号機の製造販売をせず、経過措置4号機ばかり製造販売していた。

北電子のように5号機でも積極的なところはあったが、多くは4号機に経営資源を投入し、その結果、5号機マーケットの活況がかなり遅れたのである。

このときは「やる気がない」とパチスロメーカーをかなり批判していた。

そして多くのパチスロメーカーから「5号機では無理だ」と言い訳じみた文句を言われていたものだ。

 

5.5号機マーケット、5.9号機マーケットはおろか、近い将来やってくる規則改正後の6号機マーケットにおいても、これは同じである。

 

パチスロの将来がなくなってしまうのは、レギュレーション強化によってではない。

パチスロメーカーが仕事をしなくなったときである。

現在、5.9号機前夜であるがそのようなメーカーはないし、6号機に向けて規則改正への要望を検討しているメーカーもある。

つまり「パチスロメーカーはなくならない」のであって、パチスロマーケットの将来もある。

出玉性能云々よりも、客が支持するかどうか、が重要であり、出玉性能が高いだけで客が支持することもない。

それならジャグ系やパイオニアの30φはここまで普及しているはずもないわけだ。

 

パチスロマーケットは、まだ5.9号機、6号機の産みの苦しみはあるだろうが、それでもいずれヒット機は登場する。 そこは安心して私は将来を見ている。

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