大崎一万発がパチンコ業界の理不尽な状況を「受け入れる」と決めた理由とは!?
単行本の制作にかかり切りだったこと、ZoomやClubhouseで面倒くさい界隈と業界諸問題を議論することが多かったせいで、年明けからとにかくパチンコのことばかり考えていた。いや、コロナ禍でパチンコ業界存亡の危機とも言えるバッシングを受けて以降ずっと考え続けていると言っても大げさではないから、もう1年ごしの状況でもある。パチンコはどうしてこうなってしまったのか、解決の妙案はあるのか、近未来は、そして10年後20年後の展望は等々、自身の分を超えたあれこれに頭をフル回転させまくった結果……申し訳ないけど、もはやどうでもよくなってしまった(笑)
いやほんと、知らねーよ! どうしようもねーよ! などとブン投げるのは30年以上この世界にいる者として無責任だし、未来ある若者に自分ら世代のツケを押しつけるのも卑怯極まりない。それをわかっていてもやっぱり、知らねーよとしか言えないのが、なんだかんだ「客」でしかない僕の立場の限界である。
客として打ちに行けば、まあとにかく理不尽だらけなのがパチンコである。台にも店にも納得いかないことだらけ、そして負けることのが多い宿命でもあるから不満ばかりが重なっていく。こうしろ! こうすべき! そんなところから問題意識が芽生え、どうしてなんだを探るところから業界に目が向く。視点を改めて気がつくのは、もろもろ感じるストレスの源泉、それは構造、歴史、成り立ち、関わる人、法律その他、自分の台が出るとか出ないとはかけ離れた、業界のもっと大枠に端を発していることに気がつく。「そうなっている」のはパチンコ業界のせいではなく、国や警察や法律といった、ものすごく大きな力によるものだったりする。
客が感じるどころではない大きな不満やストレスを、業界はまた「大きな力」に対して感じているし、もちろん改善・解決をしようと、偉い人たちが日夜頭を悩ませている。「もっと出せよ!」と客なら誰しも思う。でも玉を出すためには、店側がそこに投資しても見返りのある産業であらねばならない。当たり前だがパチ屋の社長は趣味ではなく業として店を営んでいるのだから、安心して釘をアケられる環境と展望が整わなければ出すはずもないのである。そうなるためには法整備だったり政治だったり、もっと言えば日本や国民の未来を考え、予測することも必要になってくるだろう。一介のパチンコ打ちがイキってどうにかなる領分をはるかに超えて、超俯瞰で業界を考え動かしていく力がなければ、パチンコ屋に玉を出させることはできないのである。
という、極論だがしかし本質的な答えにたどり着いてしまった時、客の立場としては結局、「知らねーよ!」と言うしかなくなってしまう。いや、無力感ともちょっと違う。どこまで行ってもやっぱり客は客。業を営む立場とは決定的に違うし、そこに関与できるものではないという、至極当然の現実を思い知ったということである。
じゃあどうすんの? って、もはやすべてを受け入れるのが「正解」なのだというのが僕の結論である。文句や憤りをぶつけても、店長にはどうしようもない。爆裂AT機は戻って来ない。そしてこの先も負け続ける宿命は続いて行く。こっちは好きでやっとるのだ。文句はあるけどトータルで楽しいから打ってるのだ。ならば不満はあるけどギリギリ目をつぶって、オモロイとこだけ見て遊んでるのが、実のところ客として最も建設的な振る舞いなんじゃないのかと、そういう悟りの境地に至ったのである。パチンコ屋をキャンと言わせたくてあれこれずっと考え続けた結果、ものすごく「いい客」に落ち着く……こんなオチはまるで予想していなかったけれど、まあ自分がそれで納得してりゃ誰も損しないハッピーエンドと言うものであろう。
ただ、ものわかりのいいバカな客だと舐められたくもない。あれこれわかった上で、「あえて負けてる」ってことは業界側に知っといてほしいと思うのだ。そして、すべての遊技客がその感覚を持って楽しく遊べるパチンコが実現したら、たぶん状況は今よりずっと良くなっているだろうし、凄く納得感のある娯楽として繁栄しているのではないか。
僕はあくまで客だが、そう言いながら業界から落ちてくるお金=遊技客の負けでメシを食わせてもらっている業界人でもある。緊張感を忘れず、負けてくれるお客様を舐めず、そして自分が打つ時には全力で楽しんでちょっと負ける。遊んで、仕事もできて、そして業界が繁栄してくれるためのバランスを取りながら、さてあと何年走り続けられるだろうか。
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