【養分】2006年頃からパチンコ＆パチスロ界隈で使われるようになったコレってどういう意味？

チワッスあしのです。

いつもありがとうございます！　パチンコ・パチスロに纏わる「ふわっと理解している事」を個人的に調べて解説するこちらのコラム。今回は「養分」について。あんまり良い意味の言葉じゃないですが、ちょっと解説していきましょう。

カイジが発祥。

「養分」とはそのまんま「誰か」あるいは「ホール」の養分という意味で、パチンコ・パチスロにおいては「負けている人」を指す言葉です。そんなに昔からある言葉ではなく、筆者が覚えている限りでは5号機の序盤くらいからネット上では見られるようになった言葉です。

元ネタは（恐らく）福本伸行先生の『賭博黙示録カイジ』に出てくる「勝たなきゃ誰かの養分、それは船も外界（そと）も変わらない」というセリフから。これに関してははっきりとしたソースがあるわけじゃないのですが、かの漫画が爆発的に流行ってヤンマガ読者以外にも読まれるようになったのは筆者の肌感覚では「地下チンチロリン」から「欲望の沼」にさしかかったあたりなので時期としては2002～2003年くらいだと思われます。そこから2004年にはパチスロ化、2007年のアニメ化、2009年の実写映画化とトントン拍子にメディア展開が行われ今日に至ると。なのでカイジのヒットと共に広がった言葉のひとつだと考えると、やっぱ使われ始めたのは2005～2006年あたり。4号機の終盤から5号機の序盤らへんだと思われます。

そもそも名言が満載の名著ではあるのですが、かのセリフはジャンルの枠を飛び越えて人生訓にも応用できる、この世の弱肉強食っぷりを端的に表した作中屈指の名言であり、パチスロ版でカイジを知った誰かが「勝てなきゃ誰かの養分！」っていいながら打ったのは想像に難くありませんし、また実際に負けた時に「養分だった！」みたいな感じの怨嗟の声をおもわず上げてしまった人もいるでしょう。なのでこの言葉の発祥には地域差はなく、日本全国で同時多発的に発生したスラングだと思われます。

なおカイジ発の言葉としては「僥倖（ぎょうこう）」も頻繁に使われます。こんなもんカイジ以外で見かけたこともないし日常会話で使う事はまずない単語なのですが、カイジ以後は何か凄いラッキーな引きがあった時に「僥倖！」って言っちゃうようになった人も多いと思われます。筆者を含め。

良い意味の言葉じゃない。

まあ字面から受ける印象で分かると思いますがこれは決して良い意味の言葉ではなく。自分を卑下して言うのはOKなのですが、ホントに負けてる人に「養分！」って言っちゃうとケンカに発展しかねないので言わないようにしましょう。最近はこの言い換えとして「ファン勢」という呼称が使われる事が多く、相対的にそれまで不在であった反義語として「ガチ勢」という単語も使われています。ファン勢・ガチ勢というのはどうやら推し活界隈から輸入された単語である模様。推し活界隈ってのがそもそも筆者にはよく分からんのですが、とにかくそっちで生まれた単語のようです。

【養分の言い換え】

ファン勢、趣味打ち勢、ライトユーザー、サンデーパチンカー　など

【養分の反義語】

ガチ勢、勝ちにこだわる人、パチプロ・スロプロ　など

サンデーパチンカーなんて単語聞いたことねぇよという声もありそうですがこれは昔使われていた言葉で、サンデードライバー（日曜くらいしか運転しない人）から作られた造語だと思われ。また「養分」の反義語として真っ先に出てきそうな「パチプロ」「スロプロ」という単語は今は使うのを忌避する風潮があり、自分から「俺パチプロ」という言い方をする人は減ってきている模様。筆者が若かりし頃、2000年くらいはその辺で打ってる絶対仕事してなさそうな人が普通にパチプロを名乗ってたものですが、そういうのは今のトレンドにはもう合わないという事でしょう。

なお養分の言い換えに「ライトユーザー」があるのに反義語に「コアユーザー」が無いのはなんでだ、と疑問に思った方もおられるかもしれませんが、コアユーザーというのは利益貢献度が高いお客さんを指します。パチンコ業界はちょっと特殊で上手に遊べば遊ぶほど利益貢献度が下がっていくという不思議な状況になるゆえ、「養分」と「ライトユーザー」はニアな単語である一方で「コアユーザー」が反義語ではないというねじれ現象が発生します。この辺もパチンコ・パチスロの独特なところ。ライトユーザーって言葉はよく聞くけどコアユーザーって言わないもんね。

と、養分代表の筆者が申しております