【ホール用語】スペックを表す単語のひとつ「TY」ってどういう意味?
チワッスあしのです。
いつもありがとうございます! パチンコ・パチスロに纏わる「ふわっと理解している事」を個人的に調べて解説するこちらのコラム。今回は「TY」について。そもそも聞いたことがないという方もおられるかもしれない単語ですが、その場合はこういう言葉も存在するんだぜという所を含めて頭の中の引き出しにスッと仕舞っておきましょう。どうぞ!
DK-SISとパチンコホールとTY。
「TY」というのは「DK-SIS」(パチンコホール向け会員制情報提供サービス)という情報システム上に登場する単語です。これは発音では「エス・アイ・エス」あるいは「シス」と呼ばれるヤツで、内容としては導入各店舗の台のいろんな情報を集積してデータ化するシステムみたいな感じです。装置産業であるパチンコ業界においては「台の情報」というのは基本も基本。しかもスペック上の数値ではなく実際にその台を動かした場合の各種平均値とかは営業戦略を立てる上での土台になるわけで、これはもう「なくてはならないもの」と言えます。
SISはその中でも最も業界内シェアが高いサービスであり、DKというイニシャルからも分かるように、これは「ダイコク電機」というメーカーさんが開発し運営しているサービスです。誕生は1990年……まだパチンコはCR登場前、パチスロは3号機です。なんと1994年からはインターネットサービスに対応してたとの事ですが、これはまだWindows95の発売前であった事を考えるとめちゃくちゃ早い。2021年の段階で総会員数は3303店舗。台数にして140万台。市場総設置台数の36.8%をカバーしているそうです。要するに我々ユーザーが座る台の3台に1台くらいは、その勝った負けたのデータがSISに集計されているわけですな。
このようにSISはパチンコ業界の歴史の変遷に根深い部分で関わっている事から、そのシステム上で使われる単語もいつのまにやら巷間で広く使われるようになっています。特に営業実数の大規模な平均値をとらないと判明しない数字なんかは大部分がここから出てるのかも。たとえば「コイン単価」とかもそうなのかもしれませんが、中でも広く使われてる割に意味がよくわらん単語のひとつが冒頭の「TY」です。
これは簡単にいうと「大当たり1回あたりの出玉」を指す単語です。
分かりやすくいうと、ボーナス中やAT消化中、データマシンに「現在の獲得枚数」みたいな感じで数字がカウントされていく事があるかと思いますが、感覚的にはアレです。んで、こういうのは単体で見てもあんま意味が無いのですが、この数字が数千・数万単位で集まって平均化されることで「平たくしたら大体このくらい出るぜ」という指標になります。ゆえに「平均TY」が正しい呼び方のような気がしますが、一方で「平均じゃないTY」というのを言葉として使う必要性を全然感じない事からも分かるように、単に「TY」といった場合にも、ほとんどの場面で同じ意味で使われているようです。
で、その「平均」というのがすごい大事です。
例えば解析サイトなどでたまにみかける「TY700枚」という表記。これは「平均して700枚くらい出るぜ」という意味であって、毎回700枚出るわけじゃないです。200枚で終わることもあれば1200枚出ることもある。そして最近は多くの機種で2400枚+差枚が濃厚になるプレミアムATみたいなのを搭載している関係上、平均値から考えると100枚とかで終わるATの比率も当然増えるわけです。もちろん試行回数を増やせば平均値に落ち着いていくものと思われますが、要するに「高TY」を謳う機種が毎回その枚数をもらえるというわけではない事にご注意を。もちろん『超ギラギラ爺夏』みたいなスペックの機種はその限りじゃないですけどね。
MYも大事?
もうひとつ、最近たまに聞く単語に「MY」というのがあります。これも当然「平均」が省略された単語ですが、意味としては「一番ハマった所から一番出た所までの幅」を指します。一番ハマった所が-1000枚で一番出た所が+1000枚ならその機種のMYは2000枚になります。これを数万単位で集計したのが平均MYですな。
投入された金額等を考慮せず、単純に一番凹んだ所から伸びた枚数・玉数だけをカウントする。要するに「一番多くメダルや玉を持ってる瞬間にどのくらい持ってたか」の平均ゆえ、数字がデカければデカいほど見た目は派手になっていきます。つまり3000枚吸い込んでようと2000枚出てればとりあえず箱には手が掛かるゆえ、お客さんが負けてるのにハタから見てると出てるように見える。各機種の特徴次第ではありますが概ね「荒波度」を示した数値だと考えるとスッと入ると思います。
で、機械性能に超えられない上限がある以上、このTYとMYを両方チェックすると、ある程度マシンの特徴というのは分かります。例えば「高TY」か「高MY」はどう考えても超荒波になりますし、逆に「低TY」で「低MY」は水平線みたいなグラフになるはず。「高TY」で「低MY」は決まった枚数を飲んでは吐き出すノコギリ状のグラフ、「低TY」で「高MY」はなだらかに右肩上がりになる安定型になるハズ。あくまでも「ハズ」なのでその限りじゃないですが、平均値を考えるとそういうふうな設計になってる「ハズ」です。
あ、あと余談ですが、6.5号機の有利区間上限枚数が「差枚方式になった」というのはご存知のかたも多いと思いますが、それ以前の方式を「MY方式」と呼びます。つまり「同一有利区間上で一番ハマった所から一番出た所までの幅が2400枚で終了」というのが以前の考え方。そのまんまMYですな。今は「ゼロから2400枚+ハマった分」になっています。
閑話休題。これら平均の「MY」「TY」みたいな数字は基本的にはビッグデータからの抽出が必要になる数字なので、上記のSISのようなシステム上での確認になります。実数の平均値を知るのには何らかのデータロボメーカーの会員になるしかありません(当然、規約で公開が禁止されてます)が、最近はメーカーさんが高TYや高MYを謳うのにパンフ等などにスペックから逆算した数値を乗せたりしてますので、その場合は「平均獲得枚数が多いんやな」とか「荒波っぽいな」みたいな感じで理解すると入ってくると思います。
「ベース」という単語もDK-SIS発祥らしいです
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