極めて異例だが【POKKA吉田コラム #23】
10月7日から、東京都品川区の某ホールが90日間の営業停止命令となった。
広告宣伝に関する行政処分なのだが、これはいろんな意味で極めて異例なことである。
まず、当該店は今年、既に指示処分を2回受けていたということ。
指示処分とは「いついつまでにこれこれの違反状態を改善しなさい」という公安委員会による営業者への命令である。
店の営業は通常通り行えるのだが、これは行政処分なので前歴としては残る。
次に異例なのは、通常の広告宣伝規制違反(風営法第16条)ではなかった、ということ。
広告宣伝規制違反の場合は行政処分の目安は量定Dというもの。
これは基準期間20日間、量定の範囲は10~80日の営業停止命令相当になっている上、一般的には量定Dの場合は営業停止命令ではなく指示処分で終わる。
しかし今回は、風営法第12条(構造設備の維持)と東京都風営法施行条例違反ということで、90日の量定を打った。
東京では、広告宣伝について営業停止命令が出るのは初めてのことであり、当然、指示処分を繰り返しての広告宣伝についての営業停止命令も初めてのこと。
さらには、広告宣伝規制違反では打つことのできない90日という量定を科していることも珍しい。
これには業界中が驚いた。おそらく当の営業者も驚いたに違いない。
10月の頭には、警視庁管内でライター来店系の告知について、警視庁が告知そのものをNGとした、という文書が流れたので、そちらの方を気にしている人が初めは多かった。
これは都遊連健全化センターが警視庁に確認して配信した健全化センターだより、という文書なのだが、この「警視庁に確認」というキッカケの一つがこの営業停止命令でもある。
当該店は9月末に聴聞会、そして東京都公安委員会による異例の90日の営業停止命令の決定、そこから「広告宣伝の乱れ」を懸念して健全化センターが警視庁に確認して文書を配信、当該店は10月7日から営業停止命令、というのが時系列であった。
当該店の違反は、出玉系の告知である。
パチスロ専門店だったので、それは「設定示唆」によるものだった。
だから、今のところ来店系の告知で営業停止命令という話にはなっていない。
しかし、東京都公安委員会による行政処分の前例ではある。
警視庁が業界側(たとえば健全化センターなど)に、これこれこれは好ましくない、違反の疑いがある、等の物言いをするのは警視庁独自の判断によるものが大きい。
しかし、たとえ警視庁保安課(警視庁の業界所管担当部署)の独自判断であったとしても、行政処分の前歴は他県の本部も参考にするものだ。
要は「広告宣伝をガンガン取締ろう」というのは、県警察本部ごとに温度差はあるが、いざ行政処分を打つときは、東京の前例も参考になるということである。
広告宣伝でこんな長期の営業停止命令が打たれるなんて、20年前は思いもよらなかった。 これも時代の流れなのかもしれない。
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