沖ドキの撤去率が業界と警察の関係性を左右する?決議違反店舗が減らない理由とは?

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沖ドキをめぐって

 

旧規則機撤去についての21世紀会決議の遵守状況をチェックする役割を担うホール4団体の誓約書確認機関が最新の状況を先週末にリリースしている。それによると沖ドキ期限日以降、つまり1月12日以降に決議非遵守が確認されて全機連に通知した店舗数は全国で132店舗となった。全機連は遊技機メーカーや遊技機販売業者の団体の連合体であり、通知によって確認されると中古書類留保(事実上の停止)や新台販売関係に影響することになる。中古書類留保は業界の枠組みとして決まっているものであり、新台販売については遊技機メーカーが個々に取り組んでいるもの。新台を一切販売しないところもあれば、納期を遅らせたり値引き幅が異なったりあるいは何もなかったり等々、これについてはメーカーごとに対応は異なる。

 

業界関係者だけじゃなく遊技客の間でも当初の確認機関による非遵守店舗の件数の都道府県別内訳について疑問をぶつける人は多かった。特に愛知県で、確認機関がはじめにリリースしたときは決議違反店は県下で1店舗となっていた。現在は26店舗ということになっており、茨城に次いで2番目に多い件数であり3番目の千葉よりも9店舗も多い。愛知県在住の方々にとっては「愛知が1店舗なわけがない」と当初から思っていたことだろう。

 

これについては確認機関の人間ではないが、私からエクスキューズしておきたい。

確認機関は通報を受けて1つずつ決議の非遵守かどうかすべてチェックしている。その作業はケースバイケースになることも多く、特に1月11日のように沖ドキ期限日ともなれば12日以降の通報件数が急増するのは目に見えている。また、地域の枠組みで変更承認(遊技機の入替をする際の行政手続き)の日程に制限があることもあって、11日までに入替をしない(沖ドキが撤去されていない)状態でも決議違反とは限らなかったりすることもある。そういった細かい点も含めて決議違反かどうか、通報されたケースを1つずつ確認していき最終的に決議違反が断定できたところを順次全機連に通知していくという仕組みだ。

 

決議違反の確認に時間がかかったケースもあっただろうし、12日以降に撤去した沖ドキを再設置したケースもあるだろう。11日までに撤去していたら決議遵守であるが、12日以降に再設置したらその瞬間から決議違反である。こういったことを逐一すべて確認するのだから確認機関の事務作業は大変である。全機連への通知店舗数の内訳に疑問を持った人も多かったこととは思うが、闇営業のぱちんこ屋というものは存在しないので(※註 参照)最終的にはほぼすべてが確認されて確認機関から全機連に通知されていくと思っていたらいいかと思う。

 

(※註)

「ぱちんこ業界」というものは「風営法上の営業許可を受けてぱちんこ屋を営んでいる営業者とその取引先の総称」なわけで、営業許可を受けていない営業者について我々は「およそ業界とは無関係の者たち」という認識を持っている。よくあるのは「闇スロ」で、彼らはどこからか中古の4号機や5号機を入手し営業許可を受けずに営業しているが、それはもはや業界ではない。と言っても警察庁から遊技機の中古が闇スロに流れるケースはしばしば指摘・指導されていることであり、日工組や日電協といった遊技機メーカー団体はそういったところに転売されないような対策を努力しているところだ。

 

今のところ、1月12日以降の決議違反店舗の数は日本全体の1%~2%の間になっている。この数字はまだ「決議遵守率98%以上」とは言えることから遵守率は高いのだが、決議違反を確認機関が確認できた段階で全機連に通知していくのであるから累積店舗数はまだこれからも増えていく可能性もある。さらには、これは体感的な話だが、業界あげての中古書類留保ペナが決まっていなかったサラ番はともかく、凱旋よりも決議違反店舗が多いという印象があって、この点も違反店舗の認識に「凱旋と沖ドキは違う」という想いがあるということが見え隠れしているようだ。

 

凱旋は高射幸性パチスロというものにカテゴリされており、経過措置が延長となった時点でも21世紀会決議では「延長前の元の期限までに完全撤去」となっていた。一方、沖ドキは高射幸性パチスロではないので1年間延長された経過措置の中で「元の期限の7ヵ月(細かいところはいろいろある)」延命というのが決議内容だった。経過措置期間中、つまり認定が残っている状態にあるのは間違いないので倉庫で保管していた沖ドキを同一県内(同一公安委内)かつ同一営業者(同じ営業許可名義)の場合は再設置もできるし同じ条件でチェーン店移動もできるもの。なので、撤去した沖ドキを再設置することも行政手続き的には可能である。

 

警察は、行政手続きについて「拒否」することは基本的にできない。それが違法なものなら別だが、正規の手続きを踏んでいる法令の枠組みの話について拒否することは不可能だ。これは随分前の話だが、あるチェーン店が遊技機の無承認変更で営業許可取消し処分となった。このチェーンは別の法人になることで元の店の多くの営業を再開している。このとき、警察庁の担当官僚曰く「あそこが無承認変更で許可取消しを受けた店を引き継いだ上、引き継いだその法人が前の経営者の姻戚関係の経営者であるということを理由に営業許可を申請されて拒否することなんてできない」ということを漏らしたのを聞いたことがある。当たり前だが、行政はギリギリの誘導あるいは一歩踏み外すような誘導をすることも多いが、手続きが完全に法令上正規であれば粛々とやっていくしかないのだ。

 

とはいえ、詳細は聞いていないが、某警察本部が決議違反店舗に対して立入りをしているという話が入っている。当たり前だが沖ドキの設置は今年の5月頃までは違法ではない。だからその件で立入りしているのではなく、まったく別の確認をするための立入りだ。こういうくらいは先程触れたように行政側もギリギリの誘導をする(あるいはこれを一歩踏み外すと評価する人もいる)ことがある。しかしそんな警察本部内でも沖ドキの再設置は確認できているのだ。

 

基本的に、決議違反で中古書類が止まったり欲しい新台が入らないまたは遅れてしまったりすることが店舗の営業上の不利益となって、決議違反の状態から遵守の状態に転じたとしよう。その場合「確認機関による全機連への通知店舗数は減るのか?」というと、詳細を確認機関に対して聞いていないので不明ながらも今のリリースのしかたでいえば単純に累積店舗数になりそうだ。ならば減るということはないのではないだろうか。すなわち今後も「増えていく」ということが懸念される。

 

1月12日から3週間が経過して沖ドキの通報についての確認作業はどうなっているか。一段落しているのであればしばらく全機連への通知件数の急増は、沖ドキのこれからの再設置店舗数分くらいを気にすればいいのでないかもしれない。再設置しても法的撤去義務が5月頃には発生するので再設置するならもうやっていることだろう。しかし、確認作業がまだ積み残されているのであれば、最終的な現時点での通知件数がもっと増えていく可能性もある。この辺及び「全国の決議遵守率」の推移というか実態としての数値がどの程度確保できるだろうか。

 

1月に入って、15日に開催された全日遊連理事会に警察庁の小堀保安課長がやってきて講話した。その中でも決議を遵守するようにかなりはっきりとメッセージを残している。業界団体としても全機連団体とホール4団体は今一度決議遵守の徹底を呼びかけていたのも1月のこと。

 

今後の業界と警察庁との関係性に強く影響する沖ドキその他の「旧規則機撤去問題」(※高射幸性撤去問題ではなくこれは「旧規則機」撤去問題です)。その推移で、今後の業界側の要望や警察庁側の対応が左右されることになるのは確実であり、沖ドキについて決議違反店舗数がじわじわ増えているように見えているのが今だ。最終的な決議遵守率がいかほどで収まるのか。その数値を警察庁が「良」とするのか。そのあたりが今後の注目点となるだろう。

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