大崎一万発「パチンコ業界はコロナ禍で崩壊しても滅亡はしない」新著「パチンコ崩壊論」の話を聞いてみた! (1/3)
大崎一万発
元パチンコ必勝ガイド編集長。2003年に同社を退社してフリーへ。 編集部在籍時から数多くのパチンコ・パチスロ番組に出演しており、現在に至るまで常に業界の最前線で活躍中。パチンコへの愛情から、ホール/メーカーへの歯に衣着せぬ発言でも有名。- https://twitter.com/manpatsu
- 「まんぱつ」YouTubeチャンネル
- https://www.youtube.com/channel/UCIDTrHUN7i2_jqp-88wjufA
- パチンコ崩壊論
- https://www.amazon.co.jp/dp/4594087531
今回のエキスパートは、パチンコライター界の重鎮に再びお話を伺うことになりました!
今回は大崎さんの新著「パチンコ崩壊論」のお話を伺うとともに、世界中を震撼させたコロナ禍によるパチンコ業界への影響について聞いてきました!
今回はZOOMインタビューです新著「パチンコ崩壊論」について
前回の「パチンコ滅亡論」出版時から2回目のインタビューとなりますが、今回も新著「パチンコ崩壊論」に関するお話や、昨今のパチンコ業界に起きた出来事についてお伺いしたいと思います。
よろしくお願いします!
新作が出ましたまずは「パチンコ崩壊論」についてお聞きしていきます。
3/25の発売から2週間ほど経過しましたが、手応えや反響はいかがですか?
※インタビューは4月初旬に行なわれました
反響は全然ないですよ(笑)
「滅亡論」の時もそうだったんですけど、動画を見てくれる視聴者さんや僕のファンの方といった、いわゆるエンドユーザーの方は読んでくれているんですよ。
「滅亡論」は実際に部数としてもヒットしましたからね。
ただ、そういった層の方たちの中には「大崎さんたちの物だったら何でも」という理由で買ってくれる人もいるんですね。
内容に興味があるというよりは、「大崎さんとヤングさんの本だから」という理由で買ってくれる方たちですね。
だから、主な購入者がすでに僕らのパチンコ観を理解してくれる人たちで、「こういう見方があるんだ」とか「これまで知らなかったことに気づけた」みたいな、新しい層からの反応が全くないんですよ(笑)
事前アンケートでは、前作「パチンコ滅亡論」も「業界の反応がほぼゼロだった」と書かれていましたね。
これはまあまあビックリしたことなんですけど、それなりに耳の痛い話を色々とツッコんだので、業界の人から何かしらあると思っていたんですよ。それでも反応はゼロに等しかったですね。
これって考えてみればわかる話で、ホールさんやメーカーさんといった業界職域の方にとって「滅亡論」に書かれていることはわかりきった話なんですよ。
「わかってるけど解決策は一朝一夕に見つからないよね」という話なので、それをどちらかといえば打ち手サイドである僕やヤングさんからイチイチ言われたくないってことですね。
「それくらいわかってるわ!」みたいなことですね。
そんな感じでカチンときたのかな?と思ったりする感覚も少しあったんですよ。
だから2冊目を出す予定も特になかったんです。
1冊で完結するような感じだったんですか?
1冊目で文化論的にというか「パチンコを娯楽の一面から踏み込んで見ることでパチンコとの関わり方の面白さが増すよね」という僕らの主張は充分できたので2冊目を出す気は全然なかったんですよ。
でも、そのうち扶桑社さんの方から「2冊目を出しましょう」と。
前回は大崎さん・ヤングさんの持ち出しだった製作費が「崩壊論」では扶桑社さんから出たと本の中でも書かれていましたね。
そうなんです。ただ、「前の本で大体言ってるし、改めて言うことは特にないよ」って言ってたんです。
ただ、コロナや旧規則機の撤去問題など大きな時事問題がこの1年で色々出てきて「これなら改めて1冊できるんじゃないかな」となったのが「崩壊論」を出すことになった経緯ですね。
どちらもまだ解決していない事案ですからね。
ただ、業界の方たちからすると今回も「そんなことわかっとるわ!」という内容かもしれないですね。それもあって、今回はエンドユーザーの方に向けて書いた部分が大きいです。
例えばパチンコのデカ枠や遊タイムについて、表面的な話だけで「業界はユーザーのことを考えていない!」とTwitterなどで声を上げる方がいるんですよね。
そういうユーザーさんの言い分を見ると誤解されているところもあって、僕からするとそれは少し心外な部分もあるんですよ。
正しく知れば批判されるものばかりではないと。
もちろん批判されるべき部分もあるんですけど、それを見分けるための知見であったり、一歩踏み込んで面白がれるくらいの視座を養うというと偉そうな言い方になっちゃうんですけど。
それぞれの物事に対しての見方を提供したいと思っていますので、今回は業界人よりもエンドユーザーの方に読んでいただきたいと思っています。
ただ、ユーザーさんからは「そんなことより設定判別法とか演出の信頼度を出せ」って言われるかもしれませんけどね(笑)
「そんなことより出玉を出してくれ」ってことですよね(笑)
そうですそうです!「7の日が1番アツい店はここだ!」って書いた方が喜ばれるんですよ。
だから、最終的には誰に向けて書いた本なのか自分でもよくわからなくなってる(笑)
それでもずっとそういう感じでやってきたので、開き直りながら出しましたね。
僕も発売日に購入して最後まで読ませていただきました!
ありがとうございます!
前作「滅亡論」はパチンコに関わる色々な人に同じ価値観で問題を直視できるよう共通の定規を示した印象でしたが、今回の「崩壊論」はコロナによってあぶり出されたパチンコ業界やユーザーのリアルな立ち位置について書かれている印象でした。
今回も名コンビでお送りしていますやっぱりコロナは業界としても2020年で1番大きな話題ですからね。ウイルスが原因でパチンコ屋さんが営業できなくなるなんて、僕の人生の中でも体験したことないことが起きたワケですよ。
その中で予想していたとはいえ酷いパチンコバッシングがあって、偏見や「嫌われているな」というのを痛感した業界人やエンドユーザーは多いと思うんです。その点について「なぜそうなったのか?」ということを僕らなりに考えた内容になっていますね。
そして「それを解消していくことはもう不可能かもしれない」っていう軽いあきらめも含まれている感じです。
それでも巻末で「崩壊はしても滅亡はしない」とあったように、「厳しいけど何とかやっていけるんじゃない?」というポジティブな読後感もありました。
その通りなんですよ。だって、もうこれ以上絶望したくないじゃないですか(笑)。何より「自分の好きなパチンコがなくなる」というのは考えたくないですし。
それと本にも書いていますが「パチンコは形がない」という面があって、業界人やエンドユーザーの方たちがそれぞれの視点で見た「自分たちにとって都合の良いパチンコの姿」があるわけです。
本の中でも仰られている「玉虫色」という一面ですね。
そうですね。何か問題が起きたときに「原点回帰しよう」「昔は良かった」という人が多いんですが、「パチンコが何か」がハッキリしないがゆえにその「原点」が人によって全く違うんですね。「昔は良かった」の「昔」が何年前なのかが、はっきりしないわけです。
その「昔」を一括りにして皆が話している時点で「パチンコに正体はない」ってなっちゃいますよね。100人いれば100通りのパチンコがあって、100通りの理想の形があります。
30代と60代では「昔の台」の定義が全く変わってきますね。
「こうなったら良い」という僕のパチンコ像はあるんですが、それも僕の主観じゃないですか。そんなものを「理想形だ」とするのも超絶おこがましい話ですよね。
この先、パチンコがオンライン化せざるを得なくなったり、キャッシュレス化や釘調整の問題もあるから、釘が触れない台になるかもしれない。
そういったことも今のパチンコが好きな人からしたら「許せない!」ってなるかもしれないんですよ。
規制で機種の仕様が変わるたびにそういう声が上がりますよね。
それはパチンコが世の中に合わせていくために必要不可欠な変化なわけですから、そこを否定しちゃうと先がないですよね。
だから今の形が崩壊したとしても「パチンコ的なもの」が残り続ける限り滅亡はしないし、その時代の人たちはそれを良しと思うんじゃないかな。
これまでも色々と変わってきた結果の今の形ですからね。
そうなんです。その「変わった結果のパチンコ」が好きな人も絶対生まれてくるわけだから、それはそれで受け入れなきゃいけないよねという考えですね。
ちなみに内容に関してですが、前回と同じく大崎さんとヤングさんの対談形式は変わらず読みやすいですね。
堅苦しくなっちゃうし、専門的なことってそもそも業界の色々な方がそれぞれ発信されていますからね。
だから、僕らの本で興味を持ったところがあればそこを調べて掘り下げていくことができるので、あくまでの視座の提供というかきっかけ作りですね。
だから、「ライターのクセに対談でラクしやがって」とかツッコミもくるんですけど、それは読みやすくしてるからなんだよ!って(笑)
そして、今回も注釈の充実が素晴らしいですね!
この最適な力の抜け具合のテキストが今回も良いアクセントになっていると感じました。
その辺は僕も出版人だから雑な本にはしたくなかったので、注釈も含めてトータルでボリューム感のある内容にできたと思います!
注釈も単純な説明じゃなくて、書いてる人の主観を入れて書いてもらうようにしました。
それを書いているのが「滅亡論」と同じく、イトシン(伊藤真一)さんとセールス森田さんですね。
そうです。本当は注釈も僕らが書いたらいいんでしょうけど、いつも締切でテンパっちゃってるから(笑)
文体を見るだけでも、イトシンさんと森田さんのお2人のキャラクターが見えて面白いです。
「事実誤認でもいいから主観で書け!」って言ってますからね(笑)
本文だけじゃなく、注釈もスゴイです!そんな注釈を担当されたイトシンさんインタビューはこちらです制作中のエピソードとして書かれていた「昨年秋から始めていたけど状況の変化で内容が二転三転した」というのは緊急事態宣言の影響でしょうか?
コロナもあったし、その頃から旧規則機撤去問題も動きがあったんですよ。
沖ドキ!撤去問題が挙がり始めたのもその頃でしたね。
その撤去問題についても本の中で書いてるんですけど、片側の目線だけで見ると良い側と悪い側に分けられる話も、見方を変えるとそれが逆になったりするんですね。
それで僕らの考え方もあっち行ったりこっち行ったりしたんですけど、そういったことも含めて「これがパチンコ業界だよね」って納得するしかないというのが現時点での結論です。
そんな風に、作っている最中に内容が変わっていったことが色々ありましたね。
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